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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科21巻1号

1967年01月発行

文献概要

薬剤

ウイルス性水疱性皮膚疾患,就中単純性疱疹,帯状疱疹に対する防已科植物Biscoclaurin型Alkaloid"Cepharanthine"の投与経験,並びに同剤の単純性疱疹ウイルス増殖に及ぼす影響

著者: 上原信章1 西村長応2 畑清一郎2 松中成浩2 森庸亮2 川崎平和2 磯部茂2 山西由二2

所属機関: 1インマヌエル医院 2和歌山県立医科大学

ページ範囲:P.71 - P.77

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Ⅰ.はじめに
 単純性疱疹(H.S.と略記)や帯状疱疹(H.Z.)は皮膚科以外に内,外,眼科等にも受診するpopularな水疱性ウイルス性疾患で,容易に診断が可能で概ね一定期間内に自然緩解するが,治療は主に対症的で確実に症状を軽快せしめるものは少ない。H.S.は放置しても10日から2週間で治癒するが再発を繰返し,稀にこれが感染源として新産児や乳幼児に初感染をもたらし疱疹性湿疹を含む重篤な発症を起し,或は後遺症では局所の不快感や陰部では患者に性病に羅患しているのではないかとの不安を与え,角膜では視力障碍を残すなど等閑視出来ない。H.Z.は多くは健康人に突然一定の神経支配域の知覚異常や神経痛様疼痛後,帯状に皮疹を生じ所属リンパ腺の有痛性腫脹,発疹部の神経痛様疼痛を伴ない,全経過は2〜3週間で稀に完治後も数ケ月から数年持続する難治性の激烈な帯状疱疹後疼痛(postherpetic pain)があり,特に高齢者の三叉神経領域に生じたものは患者を非常に苦しめる。
 我々は最近これらに防已科植物のアルカロイドであるCepharanthineの単独治療を行ない,作用機序は不明であるが皮疹の改善やH.Z.では特に後遺症としての神経痛の防止に従来の治療に匹敵する興味ある効果を経験したので報告し,併せてCepharanthineによるH.S.virusに対する抗ウイルス作用の有無について若干の実験を行なつたので簡単にのべる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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