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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科21巻10号

1967年09月発行

文献概要

第18回西日本皮膚科連合地方会 シンポジウム 皮膚疾患の地理病理学的検討

梅毒・軟下疳—西日本における皮膚疾患の地理的分布の実態について

著者: 樋口謙太郎1 中垣謙一1

所属機関: 1九州大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.961 - P.964

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 梅毒患者数は社会的背景と鋭敏に反応し,とくに戦争によつて大きく左右されることはよく知られている。最近でも第2次大戦終戦後の急激な増加は驚異的なものであつた。その後世相の安定するに従い,またペニシリンの登場によつて,顕症梅毒はほとんどあとを絶つにいたつたのであるが,昭和35年項より再び早期梅毒患者をみるようになり,その後次第に増加の傾向を示している。今梅毒,軟下疳の地理的分布の実態について考えてみると,はなはだ興味深い問題であると同時に今後の性病対策の上からいつても非常に重要な点であると考える。今回西日本各地の臨床医の協力の下に,昭和40年7月より41年6月迄の1年間にわたり報告してもらつた資料に基いて検討考察を加えたので報告する。
 西日本13県(香川・愛媛・高知を除く)の梅毒の総数は2547,軟下疳の総数は88である。梅毒ではその内訳は顕症梅毒644,潜伏梅毒1786,先天梅毒117で梅毒全体の中では顕症梅毒25.3%,潜伏梅毒70.1%,先天梅毒4.6%の割合をしめる。今人口10万対受診率を罹患率とすると西日本13県で梅毒12.4,軟下疳0.4となる(第1表参照)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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