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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科21巻11号

1967年10月発行

〈原著論文抄録〉

皮膚におけるPolyvinylpyrrolidon沈着症例,他

著者: 福士堯1 上原伸一1 高谷彦一郎2 鈴木啓充3 田村弘幸3

所属機関: 1青森県立中央病院皮膚科 2青森県立中央病院病理検査科 3近藤病院

ページ範囲:P.1121 - P.1121

文献概要

 第1例,45歳,男,水産業。右中足骨析後の障害治療の目的で,中分子PVP 280gおよび分子量不詳のPVP 111gの投与をうけた。経過中に,皮膚に異常感(ちくちくする疼痛とも瘙痒ともつかない感じ),眼瞼浮腫を訴えた。他に特記すべき皮疹をみない。検査事項中,赤沈値亢進,血清ルゴール反応強陽性,PSPの低下をみた。組織学的に,皮膚においては,Congo red染色上,真皮小血管の傍に,陽性に染る顆粒状物質の堆積をみた。表在リンパ節においては,H.E.染色上,泡沫細胞,巨細胞をみ,Congo red染色上,前記細胞は,陽性に染まつた。数ヵ月を経るも,皮膚の異常感,眼瞼浮腫に改善をみなかった。
 第2例,25歳,男,豊業。視神経網膜炎治療の目的で,低分子PVP,1日6g連日投与を受け,総量は450gに達した。経過中に,主に上半身に,第1例と同様の皮膚異常感を訴えた。特記すべき皮疹をみない。検査事項中,特に異常所見をみない。組織学的に,皮膚においては,Congo red染色上,真皮全層,表皮の一部,真皮小血管沿いに,陽性に染る顆粒状物質の沈着をみた。又表在リンパ節においては,H.E.染色上,若干の泡沫細胞をみた。Congo red染色上,泡沫細胞が陽性に染まる他,特にリンパ節辺縁部において,陽性に染まる顆粒状物質の沈着をみた。第2例においてはPVP投与中止後の6週目には,異常感が可成に改善した。又組織学的にも,皮膚においてCongo red陽性の顆粒状物質の減少をみた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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