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原著
Hyalinosis cutis et mucosaeについて
著者: 石橋明1
所属機関: 1日本大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.149 - P.158
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
Hyalinosis cutis et mucosaeを最初に記載したのは,1907年Baselの耳鼻科教授Siebenmann1)である。観察例は19歳女子で,"UeberMitbeteiligung der Schleimhaut bei allgemeiner Hyperkeratose der Haut"と題した。その皮膚の変化についてはichthyosiforme Erkrankungと記しているものの,その所見は皮膚が粗糙であるのみならず,おろし金様を呈し,針頭大の丘疹がとくに四肢には混在し,眼瞼縁睫毛部には真珠頸飾様配列を示す白色調丘疹が認められ,口唇,舌,咽頭等上気道粘膜には著明な黄白色斑が多発しており,生時より嗄声があつたという。病理組織学的には,背部および上腕の切片には,病変部位が当つていないのか,本症特有の所見が記されていないのに対し,粘膜の標本には血管および粘液腺部にビアリン様物質を認め,その図譜には今日見る典型的組織像が画かれている。
その後観察例の追加が相次ぎ,既に150例以上の報告が数えられる2)3)。しかるに本邦においては,片岡ら4),伊崎ら5)の症例を見るにすぎず,筆者の観察は第3例に該当すると思われる。それで,軽症ではあるがこれを記載し,同時に文献を主としてその本態を勘案し,Hyalinosis cutiset mucosaeの名称を採つてここに報告したい。
Hyalinosis cutis et mucosaeを最初に記載したのは,1907年Baselの耳鼻科教授Siebenmann1)である。観察例は19歳女子で,"UeberMitbeteiligung der Schleimhaut bei allgemeiner Hyperkeratose der Haut"と題した。その皮膚の変化についてはichthyosiforme Erkrankungと記しているものの,その所見は皮膚が粗糙であるのみならず,おろし金様を呈し,針頭大の丘疹がとくに四肢には混在し,眼瞼縁睫毛部には真珠頸飾様配列を示す白色調丘疹が認められ,口唇,舌,咽頭等上気道粘膜には著明な黄白色斑が多発しており,生時より嗄声があつたという。病理組織学的には,背部および上腕の切片には,病変部位が当つていないのか,本症特有の所見が記されていないのに対し,粘膜の標本には血管および粘液腺部にビアリン様物質を認め,その図譜には今日見る典型的組織像が画かれている。
その後観察例の追加が相次ぎ,既に150例以上の報告が数えられる2)3)。しかるに本邦においては,片岡ら4),伊崎ら5)の症例を見るにすぎず,筆者の観察は第3例に該当すると思われる。それで,軽症ではあるがこれを記載し,同時に文献を主としてその本態を勘案し,Hyalinosis cutiset mucosaeの名称を採つてここに報告したい。
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