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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科21巻6号

1967年05月発行

雑誌目次

図譜・244

Kasabach-Merritt症候群

著者: 池田重雄 ,   水谷ひろみ ,   浜田明子 ,   小林健正

ページ範囲:P.552 - P.553

患者 7カ月女児(双生児の1子)。現病歴 生下時右肘関節部より前腕中央部にかけて淡紫赤色斑あり。
2カ月目ころより上肢全体に拡大。3カ月目ころより徐々に浮腫状に膨隆。6カ月目,顔面に紫斑らしきもの出没。7カ月目(昭和41年7月)当科受診。

図譜・245

単発した巨大なTrichoepithelioma

著者: 高橋誠 ,   伊藤一弘

ページ範囲:P.554 - P.555

患者 17歳,女子。
主訴 後頭部の腫瘍

綜説

脂漏性湿疹

著者: 帷子康雄

ページ範囲:P.557 - P.564

 脂漏性湿疹は1887年Unnaによつて普通の湿疹Eczema vulgareとは異なる独立疾患—Dasseborrhoische Eczemaとして提唱されて以来,80年後の今日に至るまで,諸家により,その名称・帰属・分類・病因・病理などに関して種々の論議が行なわれているが1)2)3),未だ完全に解明されたとはいい難く,現在はUnnaの記載せる原型が拡大解釈されて,いわゆる脂漏部位に発現せる落屑・紅斑を主とする病変を含めて,本症の病因追求の対象とされている。

展望

皮膚腫瘍

著者: 三木吉治

ページ範囲:P.565 - P.579

 皮膚を構成するものには外胚葉性の表皮,表皮附属器,胎児神経櫛細胞に由来するとされる色素細胞,および,これらを裏打ちする中胚葉性の真皮成分である結合織,血管,リンパ管,起毛筋,細網リンパ系のほか,皮膚神経などがある。これらの各々から,また,これらの要素が種々の割合に組み合つて多種類の皮膚腫瘍が見出されている。
 一般に皮膚腫瘍を検索する上で好都合な点は,両眼視によつて直接その臨床像を完全に把握出来るのみならず,組織片を随時に採取して組織学的,組織化学的検索に供し,経時的な変化を追求出来ること,また,組織片の体外培養によつて生きた腫瘍細胞を細胞学的,細胞化学的に比較観察出来ることである。

原著

汎発性鞏皮症—特に4症例と本症の皮膚と内臓変化の関係について

著者: 宗像醇 ,   荻生真章

ページ範囲:P.581 - P.589

I.緒言
 本症の記載は古く,皮膚の硬化という特異な症状のためか,紀元前から本症らしい記載があるという1)。しかし本症が皮膚のみならず内臓諸器官にも変化を伴う系統的な疾患と明確にしたのは,有名なKlemperer等(1942)のいう所謂膠原病という概念の中に含められてからである。その後Goetz2)は本症の臓器変化を詳細に報告した。しかし皮膚病変と内臓変化の関係について詳しく述べたものは少ない。
 我々も最近4例の本症を相次いで経験し,経過を観察中に皮膚変化の進行程度あるいは罹患範囲と種々内臓変化との間には,何等関係なく症状が進行することを経験した。

大動脈炎症候群に併発した壊疽性膿皮症について

著者: 長島正治 ,   西川武二

ページ範囲:P.591 - P.598

I.はじめに
 1930年Brunstingら29)は,その4例に潰瘍性大腸炎の合併をみた進行性難治性皮膚潰瘍の5例を経験,これを壊疽性膿皮症(Pyodermagangrenosum)と命名報告したが,同症異名の疾患は,Pyodermia ulcerosa serpiginosa41)42)を始め種々多数記載されている(第1表)。本症の報告例は,欧米においてすでに100例を越え46),その臨床概念はほぼ確立され,今日では主としてその成因に関し,種々論議されている。本邦においては,従来本症に注目するもの少く,その類似症例は,主として慢性乳頭状破潰性膿皮症(Zurhelle u.Kleine)或いはその他の慢性膿皮症として報告されたものの如く,1958年松原ら11)の報告まで,本症としての明かなる記載はない。しかしながら以来今日まで,ここ数年間に10数例(第2表)の追加症例に接し,漸く本症に対する関心の深まつたことを感じる。
 最近我々も,大動脈炎症候群に併発した本症を経験したので,文献的考察を加えてこれを報告したい。

Corticoid軟膏の効果判定に関する知見

著者: 高屋通子 ,   中村家政

ページ範囲:P.599 - P.607

 臨床的に広く用いられているCorticoid軟膏の効果判定法としてdouble blind testがあるが,その総合判定に納得のいく統計処理を試みた報告は意外に少く,検定成績を杜撰なものにしている。かような見地から,私達はdouble blindtestで得られた成績を総合判定するにあたり検討した結果,判定基準を厳格に定めて判定,Waldの逐次検定法,BrossのRidit法を応用して検定を行えば,少数例で良果が得られることが判つた。この3検定法並びにこれらの検定法を2,3軟膏の比較に応用検討した成績について報告する。

疱疹状膿痂疹

著者: 戸田浄

ページ範囲:P.609 - P.614

I緒言
 Hebraが1872年に記載したImpetigs herpe-tiformisに関しては,その発生病理に末だ定説はなく,類縁疾患との異同についても,種々議論がある。Acrodermatitis continua Hallopeau,Psoriasis pustulosa,特に,1956年,Sneddon &Wilkinsonが独立性疾患としたsubcornealpustular dermatosisとの鑑別については特に問題点が多い。
 最近,妊娠にひきつづき発症したImpetigoherpetiformisと思われる1例を経験のたのを機会に,本症について文献的考察ならびに検討を行うことができたので,これについて記載し,御批判をあおぎたい。

検査法

組織化学的検査法

著者: 笹井陽一郎

ページ範囲:P.615 - P.623

 皮膚病変部の病理組織学的検索は,皮膚科学において最も重要な検査方法の1つであり,皮疹の外観のみでは不明の点が,これによつて明らかにされる。しかしながら,病変を動的な面から捉えるためには,かかる組織形態学的検索のみでは不充分で,組織化学的検索が必要である。
 組織化学とは,形態学的の微細構造とその部位に存在する諸種の化学的物質との関係をもとに,生理的の機能状態および病態を研究する学問である。したがつて,普通の組織学における染色などの操作もまた組織化学の一部とみなすこともできるが,組織学における染色は形態学的変化の観察を容易ならしめるためにおこなわれるのに対し,組織化学における染色は化学変化の表現としておこなわれるものといえよう。

薬剤

Kenacomb軟膏による皮膚カンジダ症の治療経験

著者: 安田利顕

ページ範囲:P.627 - P.629

 Corticosteroidの局所的応用は,今日においては種々のアレルギー性ならびに非アレルギー性の炎症性皮膚疾患に用いられて迅速な治療効果と副作用が少いことによつて広く皮膚科領域で応用されている。その間hydro—cortisoneにはじまつて,今日まで抗炎症作用が強くて,副作用の少い,いろいろのステロイド剤が開発されてきた。また一方ではステロイドに種々の薬剤を配合して,ステロイド単体の際に禁忌とされた皮膚疾患への応用範囲を拡げようとする努力が行われてきた。
 Kenacomb軟膏はこうした局所治療薬の1つとみることができるが,その組成は次の通りである。

教室紹介

東北大学/九州大学

著者: 高橋伸也

ページ範囲:P.634 - P.635

 東北帝国大学医科大学に皮膚病学・黴毒学講座が設けられたのは大正6年9月11日でありますが,皮膚病学の講義は明治40年(医専時代)から初代科長の遠山郁三教授によつてなされておりました。したがつて当教室は,今年(昭和42年)で満60周年を迎えることになります。以後の歴代科長は,2代太田正雄教授(1926〜1937),3代伊藤実教授(1937〜1957),4代高橋吉定教授であります。それぞれに著しく個性的な,当代錚錚たる学者を主任に仰いだ当教室の歴史は光輝に充ちたものであります。幾多の輝かしい業績を遣された遠山,太田両教授がかつて当教室において御研鑽なされたことを憶いますとき,まこと私どもは身が引緊るおもいが致します。21年間の御在任中,アレルギー性皮膚疾患,メラニンの研究に多大の業績を報告された伊藤実名誉教授は,古稀の齢を越された今日でも矍鑠として研究を続けられ,学会においては後進に貴き助言と鞭撻とをお与え下さつていることに唯々敬服致しております。現科長の高橋吉定教授は昭和32年に順天堂大学から転任されました。御承知のように教授は医真菌学の泰斗で,戦後のわが国医真菌学会の発展に主導的役割をはたして来られましたが,また太田正雄教授以来一時途絶えていた当教室の医真菌学研究を再興されました。外柔内剛の御性格は,生半可な妥協の許されぬ医学の厳しさを,つね日頃身をもつて私どもにお示し下さつております。
 教室における研究の中心が皮膚真菌症,医真菌学におかれていることは申すまでもありません。その研究内容は甚だ多岐,多方面にわたつておりますが,ことに昭和43年第67回日本皮膚科学会総会が仙台において開催されますことから,宿題報告としてとり上げられるこの方面の研究に一層の拍車が加えられております。主な研究内容を申し上げますと,高橋(伸)の猩紅色菌の研究以来,真菌の形態学的,生物学的ならびに生理学的研究は継続して行なわれ,最近ではノカルジア菌(笠井),星芒状菌および趾間菌(牧野)についてなされております。螢光抗体法を用いた白癬の免疫学的研究,白癬菌の同定,分類(三浦)は,さらにカンジダ(斎藤),ノカルジア(笠井)にまで発展されております。私ども臨床家の研究は,あくまで臨床的問題に結びついていなければならないとの教授のお考えから,白癬の発症病理に関する研究もつねに研究テーマとしてとり上げられております。毛白癬(大沼)については既に検討されましたが,現在は組織の電顕的観察をも併用して爪白癬(秋葉,棚橋),頑癬(佐藤)の発症病理について研究が進められております。また高橋(伸),藤山は,全身性異常と皮膚真菌症との関係という難問題を研究テーマにとり上げております。入局以来10年間,各種皮膚疾患の組織化学的研究に情熱を打込んでいる笹井は,当教室においては特異かつ貴重な存在でございます。

外国文献

外国文献—専門誌から/外国文献—一般誌から

ページ範囲:P.636 - P.638

ACTA DERMATO-VENEREOLOGICA 46 : 4, 1966
Effects of Detergents on Guinea Pig Skin : H. Gisslén and B. Magnusson 269
Patch Test Methods. III. Influence of Adhesive Tape on Test Response : B. Magnusson and K. Hersle 275

〈原著論文抄録〉

汎発性鞏皮症—4症例と本症の皮膚と内臓変化の関係について,他

著者: 宗像醇 ,   荻生真章

ページ範囲:P.645 - P.645

 最近4例の本症を相次いで経験し,経過を観察中に皮膚変化の進行程度或いは罹患範囲と種々内臓変化との間には,何等関係なく症状が進行することを経験した。
 そこで本症の本邦文献(昭和30〜39年迄の10年間の213例)について比較的詳しく調査し,主に皮膚と内臓変化の関係を中心として調らべた。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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