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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科21巻7号

1967年06月発行

文献概要

〈原著論文抄録〉

Contagious Pustular Dermatitis,他

著者: 芝木秀臣1

所属機関: 1北海道滝川市立病院皮膚科

ページ範囲:P.745 - P.745

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 contagious pustular dermatitis(orf.)は,緬羊,山羊の口唇に疣状の痂皮を形成する良性限局性のvirus性疾患で,人には感染動物との直接の接触により伝染し,痘瘡様の発疹を生ずる。著者は,北海道滝川市の種畜場で,緬羊の間に本症が多発したさいに,獣医1名,労働者2名の計3名に,本症が発生したのを観察した。いずれも手指または前腕に,単発性の痘瘡様膿疱を生じたもので,組織学的には,マルピギー層細胞の空胞変性と核の濃縮,水疱形成があり,真皮には乳頭層の強い浮腫と,乳頭下層のリンパ球を主とした炎症性細胞浸潤が認められた。3例ともに2〜4週間の経過で治癒したが,フェノキシエチルペニシリンは無効のようで,テトラサイクリンの使用により2次感染を防止し,経過を短縮させることができた。
 本症は,緬羊および山羊を飼養している世界各国からの報告があり,本邦でも緬羊間の発生が報告されているが,人への感染報告はまだないようである。しかし,世界の報告例をみても,文献的には比較的少ないが,実際にはかなりあるものと考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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