icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科21巻8号

1967年07月発行

文献概要

綜説

アトピー性皮膚炎

著者: 浜口次生1

所属機関: 1三重大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.755 - P.763

文献購入ページに移動
 人における自然発生的な過敏症をアトピーと呼んだのはCocaであるが,1933年,Wise,Sulz-bergerはそれに関連ある皮膚の炎症性病変をAtopic dermatitisと称した。1940年のSulzb-ergerの著書Dermatologic Allergyにおいては,本症をアレルギーの立場から接触性皮膚炎に対比的な,極めて明確な概念として詳細に記載している。Landsteinerらの非蛋白性単純化学物質抗原に関する研究の進展する以前にも,もとよりアレルギーに関する概念も異なつたものではあつたが,この接触性皮膚炎とアトピー性皮膚炎(以下AD)といつた対比的なものの存在は,既にBlumenthal,JafféのEkzem und Idiosyn-krasie(1933年)ににおいても示唆されていたとみてよいであろう。湿疹ないし皮膚炎という一応形態学的に規定された病変の解明には,一方には接触アレルギーの機序の解明から進んで環境物質を広範かつ微細にわたつて知ると共に,他方にはアトピーにおける皮膚素因あるいは皮膚感作抗体,レアギンの意義を究明しなければならない。しかもADにおいてすら,接触性要素と無関係ではありえないのである。
 本症が本来,従来の記載皮膚科学的な病名とはやや趣を異にした存在である結果,本症と同義語と解される病名は極めて多数である。例えばendogenes Ekzem(Korting1)),Neuroder-mitis disseminata,Prurigo diathesique Bes-nier,früh-,spätexsudatives Fkzematoid,Eczéma constitutionnel(Brocq)等がある。その他にも同義またはそれに準ずるものとしていろいろあげられ,そこに諸家の解釈の相違をみるのであるが,ここにはADの位置に関する一つの見解として伊藤(実)博士2)の分類を掲げる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?