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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科21巻8号

1967年07月発行

文献概要

検査法

パッチテスト

著者: 小林健正1

所属機関: 1千葉大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.811 - P.819

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 我々が接触皮膚炎患者を診察するに当つて,治療方針,予後,再発防止の観点から最も大切なことは注意深く記録した病歴と発疹の部位,形態,経過の観察とにより原因々子を探知することにある。しかし我々の生活環境には接触皮膚炎を招来する可能性を持つ物質が数限りなく存し,日進月歩の工業の振興と新製品の誕生とはこれに携わる労務者はもとより,一般消費社会にも接触皮膚炎の原因々子に触れる機会をますます増大せしめつつあつて,我々が治療上真の原因物質を知る必要に迫られることが少くない。この目的には臨床暴露試験("use testing","rest of avoidance andre-exposure")とパッチテスト(patch test)とが補助診断法として用いられる。前者は原因と疑われる物質を実際の条件で使用し,あるいは避けて反応をみる方法である。後者はJ.Jadassohn(1895)が水銀皮膚炎患者の経験から,スクラッチや注射に頼らないで,皮膚面に原因と思われる物質を一定時間直接作用させるという簡単な方法で過敏な人には皮膚反応--接触皮膚炎のミニアチュア--を起し得ることに想到し,診断的意義を持つ臨床検査法として紹介して以来,Bloch, Sul—zbergerらの業蹟を含む70年にわたる研究と経験とから,次第に標準化され,普及されるに至つた技法である。
 もとよりパッチテストは人工的な処置であつて発汗,摩擦,浸軟などの諸因子の参与する真の接触皮膚炎を正確に再現するものではないが,Baerand Witten1)は次の諸点をあげて,パッチテストの優秀性を指摘した:1)パッチテストは実際の臨床状態では普通大きな領域がアレルゲンにさらされるのに,皮膚面の僅かな部分しかさらされないので,患者が不便,不快あるいは就業不能に陥ることがない。2)臨床暴露試験では部位的に不便なことがあるが,パッチテストは適当に選択せる皮膚部に施行できる。3)臨床暴露試験では疑わしい物質の1種類しか調べられないのに,パッチテストは同時に多数を検査できる。4)パッチテストは試験域の大さのみならず,濃度を調整できるので重篤な反応の可能性を最小限にくいとめることができる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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