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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科21巻9号

1967年08月発行

文献概要

原著

皮膚リンパ上皮腫の1例

著者: 中村絹代1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部皮膚科学教室 2

ページ範囲:P.875 - P.879

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 Lymphoepithelioma(Le. と略す)は病理組織学的に,泡沫状,クロマチンに乏しい核を持つ境界不鮮明な原形質の大型な上皮細胞が,索状,塊状又は不規則な島嶼状,時に個々分散してリンパ球の豊富な間質に包埋されている像を特徴としている。本腫瘍は一般に鼻孔後部,欧氏管,軟口蓋,扁桃,喉頭,咽頭,舌根等に発生し,往々にして原発巣は小さく容易に頸部リンパ腺に転移し,時には頭蓋底を侵し,非常に稀に遠隔内臓諸臓器及び皮膚に転移を見る。原発性鼻喉頭部腫瘍の臨床所見が不明瞭であるにも拘らず,頸部リンパ腺L. e. を認める事は屡々であり,多くの学者はこの頸部リンパ腺L. e. を鼻喉頭腫瘍よりの2次的病変又は転移と考えている。
 現在迄,皮膚L. e. に関しては,遠隔転移の一症状として発生した症例,及びリンパ腺,深部軟部組織L. e. からの2次的な皮膚変化の報告があるのみで,定型的な皮膚L. e. は報告されていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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