icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科21巻9号

1967年08月発行

文献概要

原著

所謂皮膚混合腫瘍の1例

著者: 服部昌利1

所属機関: 1岡山大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.895 - P.899

文献購入ページに移動
I.はじめに
 所謂皮膚混合腫瘍は,1892年Nasse1)にょつて顔面鼻側の皮膚に発生した症例を内皮細胞性腫瘍として初めて報告されて以来,その特異的な,上皮性の腫瘍細胞巣と間葉性の粘液腫様ないし軟骨様組織が混在する,多形性をとる組織像から病理学者の興味をひき,それ以前に報告された,耳下腺を主とする唾液腺混合腫,後に発表された,涙腺に発生する涙腺混合腫瘍と共に,その発生病理が論ぜられて来た。現在では唾液腺混合腫瘍,皮膚混台腫瘍,涙腺混合腫瘍はそれぞれ,唾液腺,汗腺,涙腺の腺上皮から発生する異型腺腫であるとする,上皮説が一般に認められて来ているが,粘液腫様ないし軟骨様組織の発生機序については必ずしもいまだ一致していない。
 厳密にいえば,混合腫瘍とは2種以上の胚葉に由来する組織成分が,ともに腫瘍性性格を示す腫瘍であり,この考えから,増田・池田2)らは,唾液腺混合腫瘍が多型性腺腫(pleomorphic ade—noma)とWillisらによつて改称されつつある様に,皮膚混合腫瘍を多形性汗腺腺腫 (pleomo—rphic hidradenoma) とでも呼ぶことを提案している一方,これらの腫瘍に共通する特徴的組織像になじみの深い名称としての混合腺瘍の呼称をこれに"所謂"の名を冠する事によつて一応みとめている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?