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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科22巻10号

1968年09月発行

雑誌目次

図譜・276

家族性良性慢性天疱瘡

著者: 三宅一雄

ページ範囲:P.960 - P.961

患者 60歳,男子。初診 昭和41年8月15日。
主訴 頸部,両側腋窩及び両側鼠径部の発疹。既往歴 腎炎(54歳)。

図譜・277

有棘細胞癌のBleomycin治療

著者: 寺山勇

ページ範囲:P.964 - P.965

患者 34歳家婦。
現病歴 3歳時,囲炉裏の中に落ちて頭部を熱傷する,局所は長期に亘り湿潤し思春期より徐々に増大し約3年前より急速に膨隆して腫瘤を形成し悪臭強く,発熱し全身状態悪化して来院する。

綜説

先天異常性皮膚疾患の型と成因に関する検討

著者: 藤田英輔 ,   室田省三

ページ範囲:P.967 - P.978

I.はじめに
 先天異常に対する関心は最近,サリドマイド禍1)等の問題を契機に,急激に高まりつつあるが,皮膚科領域におけるこれに対する関心は未だ極めて乏しいように思われる。
 先天異常は,これを成因の面から見ると,1)遺伝要因によるもの,2)胎内環境要因によるもの,3)両要因の協同によるものの3種に分けられるが1),先天異常性皮膚疾患(以下先天性皮膚疾患と略)に関する従来の研究は,主として1)の観点から行なわれ,しかも,家系調査によるものが主であつた2)〜4),これに反し,2)ないし,3)の観点からの研究としては,先天梅毒に対するTreponema pallidumの病原性が確立された以外は,Klippel-Weber氏母斑症に関する母の妊娠中の風疹罹患5)や臍帯異常6)等の病因的役割の可能性を指摘したもの等,少数の報告が見られるにすぎない。以上のごとき実状にかんがみて,先天性疾患(広,狭義)に属する,過去5年間の教室例を基にして,それ等が異常の種類,程度,発現の時期および経過に関していかなる態度を示すかを検討するとともに,成因に関する研究として,遺伝要因に関しては,父,母(妊娠前)のコーヒー,酒,タバコの常用癖の有無についてのアンケート調査と染色体分析を,また,胎内環境要因に関しては,貧血,アレルギー性疾患,内分泌疾患,ウイルス性疾患,性病,薬物投与,レ線照射,妊娠性嘔吐,妊娠中毒を始め人工流産や自然流産の経験,患児分娩時における異常の有無についてのアンケート調査を行ったので,未だ予備的調査の段階ではあるが,その成績についてもふれて見たい。

原著

火傷瘢痕癌16例の経験

著者: 石原和之 ,   柳田英夫

ページ範囲:P.981 - P.985

I.はじめに
 火傷瘢痕より皮膚癌が誘発されるということは従来より多くの報告に認められる1)〜6),15)
 最近われわれは5年間に133例(外陰癌を除く)の有棘細胞癌を経験したが,その中16例は火傷瘢痕癌であつた。これらについて,その火傷の発生状況,癌発生までの期間,発生部位,症状,治療成績その他について記載する。

弾力線維性仮性黄色腫に続発したElastosis perforansの1例

著者: 中内洋一 ,   西脇宗一

ページ範囲:P.987 - P.994

I.緒言
 1952年にLutz1)が21歳男子に見られた頸項部の角化性蛇行性皮疹をKeratosis follicularisserpiginosaとして報告し,更にMiescher2)が1955年に同様症例に詳細な組織学的検討を加え,Elastoma intrapapillare perstans verrucifor-meとして報告して以来,本症は欧米においては数十例の報告例が知られている。本邦においては,1961年に大森,肥田野により第1例が報告されて以来,長島,中村(2例),皆見,一原(1例)船橋,露木(1例),神畠(1例),の諸家により,6例の報告例がみられる**)
 我々も最近典型的な弾力線維性仮性黄色腫に併発したElastosis. Perforansの1例を経験したので,之について報告し,主に弾力線維性仮性黄色腫(以下PXEと約す)との関係について,文献学的考案を加えた。

多発性血管脂肪腫の2例

著者: 浅越博雅 ,   大森純郎

ページ範囲:P.995 - P.999

I.緒言
 血管脂肪腫はangiolipoma,vascular lipoma,hemangiolipoma, Lipoma teleangiectaticumなどの名称で呼ばれ,多発性のものは後述するように臨床的,組織学的にかなり特徴がある。Ho-wardら1)の報告によると脂肪腫,血管脂肪腫,血管線維腫など種々の診断がついた1678枚の組織標本に再検討を加えた結果,血管脂肪腫としてよいものが248例もあつたと述べている(但し多発197例,単発21例,不明30例)。それにもかかわらず血管脂肪腫の報告は意外に少なく,本邦ではこれまでに多発性のもの3例2)3)4),単発性のもの1例5)が報告されているにとどまる。そこで最近相次いで経験した多発性血管脂肪腫の2例を追加報告する。

Senear-Usher症候群—症例報告

著者: 鈴木和子 ,   赤井昭

ページ範囲:P.1001 - P.1006

I.緒言
 本症は1921年Ormsby & Mitchell1)がChi-cago Dermatological Societyにおいて最初に患者を供覧したのにはじまり,1926年Senear &Usher2)が自験例も含めて11例の症例を報告して以来,Senear-Usher syndromeあるいはPem-phigus erythematodesなどの名称で呼ばれてきた。外国ではRichter3)によれば,1949年までに,すでに122例もの症例が報告されており,それほど稀な疾患ではないと思われる。しかしわが国ではなお相当稀な疾患に属する。すなわち大正11年阪上4)による天疱瘡様紅斑性狼瘡という標題のもとでの第1例の報告以来,佐野ら5)は,昭和29年までに自験例も含めて6例の報告をみるにすぎないといい,また昭和38年加納ら6)は4例を報告した際,10数例を数えるのみと記載し,最近はやや増加の傾向があるけれども,第1表の如く著者らの調べた限りでは自験例も含めて48例4)〜44)にすぎない。最近われわれは本症と思われる1例を経験したのでここに報告する。

腹壁Desmoid Tumorの1例

著者: 木村正方 ,   三上ホフ ,   黒田正宏 ,   中内幸郎

ページ範囲:P.1007 - P.1013

I.はじめに
 Desmoid tumor (類腱腫)は1832年Macfar—leneにより初めて報告され,1838年Müllerにより,本腫瘍が密な腱様の硬度を有するところから,desmoidと名づけられた。
 欧米においては,既に多数例による検討もなされているが,本邦での報告は非常に少なく,従つて本腫瘍についての組織学的検索も不充分のようである。

教室紹介

岐阜大学/東邦大学

著者: 阿部貞夫

ページ範囲:P.1026 - P.1027

教室の歴史
 校史によれば明治8年8月岐阜県立病院附属医学校として産声を挙げ明治13年3月岐阜県医学校となる。明治19年7月長良川大洪水のため県財政の危たいに瀕し,勅令第15号で廃校となつたが,その後岐阜県病院として存続していた。
 昭和18年12月岐阜県立女子医学専門学校が設置され,昭和22年6月岐阜県立医科大学に昇格,昭和39年4月より国立移管業務が始まる。昭和42年6月全移管業務を終り岐阜大学医学部の現在に至る。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.1028 - P.1029

DERMATOLOGICA INTERNATIONALIS 6 : 1, January-March 1967
Odds and Ends of the Moon-Child Albino Study : C. Keeler 1
Tissue Reactivity to Tuberculin and Ink in Lepromatous Leprosy With Respet to the "Isopathic Phenomenon" : P. Kanaar 11

〈原著論文抄録〉

火傷瘢痕癌16例の経験,他

著者: 石原和之 ,   柳田英夫

ページ範囲:P.1031 - P.1031

 火傷瘢痕癌16例について,火傷の状況,発癌迄の期間,発生部位,治療成績,転移,再発その他について記載した。火傷の状況はイロリ,焚火など直接火を浴びる場合が殆んどで,且,治療に長期間(3カ月乃至11カ月)を要している。火傷から癌発生迄の期間は一定せず,最低16年から最高70年をかぞえたが,20年以下の2例は,共に火傷程度が強く,骨髄炎をも惹起した症例である。また,癌に変る数年内における火傷瘢痕の症状には,紅斑,糜爛,皹裂などが先行するようである。
 発生部位は一概にはいえないが,我々の経験では,膝,下腿に多く,次いで頭であるがかかることより外界から刺激を受け易い部位またはよく動き易い部位に多いのではないかと推察される。治療法については,ベータートロンによる電子線照射,外科的治療(切除,植皮)並びに両者の併用によるもの15例では,何れも相当の成績が得られ,また再発した2例については電子線照射で事なきを得ている。当該リンパ腺に認められた転移は外来初診時,局所灌流例をのぞいて,2例をかぞえたが,リニア・アクセラレータの照射で消失している。局所灌流1例については,已に今迄各施設にて治療を行い手のつけようのない症例であり,間もなく死の転帰をとったものである。局所灌流療法については,その使用する抗癌物質によって効果が異り,今後の検討を要しよう。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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