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綜説
先天異常性皮膚疾患の型と成因に関する検討
著者: 藤田英輔1 室田省三1
所属機関: 1山口大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.967 - P.978
文献購入ページに移動I.はじめに
先天異常に対する関心は最近,サリドマイド禍1)等の問題を契機に,急激に高まりつつあるが,皮膚科領域におけるこれに対する関心は未だ極めて乏しいように思われる。
先天異常は,これを成因の面から見ると,1)遺伝要因によるもの,2)胎内環境要因によるもの,3)両要因の協同によるものの3種に分けられるが1),先天異常性皮膚疾患(以下先天性皮膚疾患と略)に関する従来の研究は,主として1)の観点から行なわれ,しかも,家系調査によるものが主であつた2)〜4),これに反し,2)ないし,3)の観点からの研究としては,先天梅毒に対するTreponema pallidumの病原性が確立された以外は,Klippel-Weber氏母斑症に関する母の妊娠中の風疹罹患5)や臍帯異常6)等の病因的役割の可能性を指摘したもの等,少数の報告が見られるにすぎない。以上のごとき実状にかんがみて,先天性疾患(広,狭義)に属する,過去5年間の教室例を基にして,それ等が異常の種類,程度,発現の時期および経過に関していかなる態度を示すかを検討するとともに,成因に関する研究として,遺伝要因に関しては,父,母(妊娠前)のコーヒー,酒,タバコの常用癖の有無についてのアンケート調査と染色体分析を,また,胎内環境要因に関しては,貧血,アレルギー性疾患,内分泌疾患,ウイルス性疾患,性病,薬物投与,レ線照射,妊娠性嘔吐,妊娠中毒を始め人工流産や自然流産の経験,患児分娩時における異常の有無についてのアンケート調査を行ったので,未だ予備的調査の段階ではあるが,その成績についてもふれて見たい。
先天異常に対する関心は最近,サリドマイド禍1)等の問題を契機に,急激に高まりつつあるが,皮膚科領域におけるこれに対する関心は未だ極めて乏しいように思われる。
先天異常は,これを成因の面から見ると,1)遺伝要因によるもの,2)胎内環境要因によるもの,3)両要因の協同によるものの3種に分けられるが1),先天異常性皮膚疾患(以下先天性皮膚疾患と略)に関する従来の研究は,主として1)の観点から行なわれ,しかも,家系調査によるものが主であつた2)〜4),これに反し,2)ないし,3)の観点からの研究としては,先天梅毒に対するTreponema pallidumの病原性が確立された以外は,Klippel-Weber氏母斑症に関する母の妊娠中の風疹罹患5)や臍帯異常6)等の病因的役割の可能性を指摘したもの等,少数の報告が見られるにすぎない。以上のごとき実状にかんがみて,先天性疾患(広,狭義)に属する,過去5年間の教室例を基にして,それ等が異常の種類,程度,発現の時期および経過に関していかなる態度を示すかを検討するとともに,成因に関する研究として,遺伝要因に関しては,父,母(妊娠前)のコーヒー,酒,タバコの常用癖の有無についてのアンケート調査と染色体分析を,また,胎内環境要因に関しては,貧血,アレルギー性疾患,内分泌疾患,ウイルス性疾患,性病,薬物投与,レ線照射,妊娠性嘔吐,妊娠中毒を始め人工流産や自然流産の経験,患児分娩時における異常の有無についてのアンケート調査を行ったので,未だ予備的調査の段階ではあるが,その成績についてもふれて見たい。
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