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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科22巻10号

1968年09月発行

文献概要

〈原著論文抄録〉

火傷瘢痕癌16例の経験,他

著者: 石原和之1 柳田英夫1

所属機関: 1国立がんセンター皮膚科

ページ範囲:P.1031 - P.1031

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 火傷瘢痕癌16例について,火傷の状況,発癌迄の期間,発生部位,治療成績,転移,再発その他について記載した。火傷の状況はイロリ,焚火など直接火を浴びる場合が殆んどで,且,治療に長期間(3カ月乃至11カ月)を要している。火傷から癌発生迄の期間は一定せず,最低16年から最高70年をかぞえたが,20年以下の2例は,共に火傷程度が強く,骨髄炎をも惹起した症例である。また,癌に変る数年内における火傷瘢痕の症状には,紅斑,糜爛,皹裂などが先行するようである。
 発生部位は一概にはいえないが,我々の経験では,膝,下腿に多く,次いで頭であるがかかることより外界から刺激を受け易い部位またはよく動き易い部位に多いのではないかと推察される。治療法については,ベータートロンによる電子線照射,外科的治療(切除,植皮)並びに両者の併用によるもの15例では,何れも相当の成績が得られ,また再発した2例については電子線照射で事なきを得ている。当該リンパ腺に認められた転移は外来初診時,局所灌流例をのぞいて,2例をかぞえたが,リニア・アクセラレータの照射で消失している。局所灌流1例については,已に今迄各施設にて治療を行い手のつけようのない症例であり,間もなく死の転帰をとったものである。局所灌流療法については,その使用する抗癌物質によって効果が異り,今後の検討を要しよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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