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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科22巻11号

1968年10月発行

雑誌目次

図譜・278

Eosinophilic Lymphfolliculosis of the Skin

著者: 安西喬 ,   富澤尊儀 ,   岡部省吾

ページ範囲:P.1054 - P.1055

患者 24歳,男。
現病歴 約10年前右耳後部に,5年前左耳後部に弾性軟の腫瘤を認める。2,3年前より左耳前部にも,同様腫瘤を生じ,何れも次第に増大した。

図譜・279

色素失調症

著者: 佐藤壮彦

ページ範囲:P.1058 - P.1059

患者 生後4日の女児。
初診 昭和42年5月18日。

綜説

薬疹について

著者: 山田実

ページ範囲:P.1061 - P.1068

I.はじめに
 薬疹と呼ばれる皮膚現象は日常よく経験するところであるし,又最近の医薬の進歩によつて夥しい種類の医薬品が提供され,その使用量も尨大なものがある。これに伴つて薬疹の発生頻度も高まる傾向が見られる。又薬剤の種類の殆んど数えきれない程の増加は薬疹の病態をより複雑なものにしている。

原著

全身性エリテマトーデスと帯状疱疹

著者: 鷲尾勝 ,   清水順也 ,   佐藤良夫

ページ範囲:P.1069 - P.1076

I.はじめに
 全身性エリテマトーデス(以下SLEと略す)に帯状疱疹(以下HZと略す)が合併しやすいことはTuffanelli & Dubois1a),Vachtenheim2),浜口3)らによつて指摘されている。そしてVach-tenheim2),浜口3)はその原因をSLEにおける免疫系の異常に帰している。著者らも最近,2例のSLEにHZが合併し,うち1例がHZの再発を来した例を経験したので(昭和42年,東日本連合地方会にて発表),あらためて当教室の最近11年間のSLE患者についてHZ合併の面より統計的観察をなし,SLEにかなり高率にHZが合併することを確認した。今回はこの統計的観察について述べるとともに,SLEにおけるHZ合併の問題を,HZの発症機転,SLEの免疫系の異常,ステロイドの影響などの面から検討してみた。

環状肉芽腫の3例

著者: 藤沢竜一

ページ範囲:P.1077 - P.1089

I.はじめに
 環状肉芽腫Granuloma annulareは1895年,Fox1)によりUnusual ringed eruption on the fingersとして記載されたのが最初とされる。次いで1902年,Crocker2)が初めて,Granuloma annulareと命名した。さらに1908年,Little3)が経験例を含めた49例について総括的記載を行なつた。以後,欧米においては多数の報告があり,本症の臨床像,組織像,発症病理,鑑別診断,治療などにつき色々と論じられている。種々のSynonymがあるが4)102),一般にはこの病名が使用されている。本邦では,昭和6年の百瀬5)の報告を第1例とし,戦前は稀な疾患とされていたが,戦後は報告例も増加し,最近では,それほど稀な疾患ではなくなつた感がある。著者の集め得た範囲の本邦報告例5)〜98)は,43年3月までに120例を数える。最近経験した3例を報告し,本邦例を総括した要点を記載して,本邦における病像確立の一端に資したい。

肝疾患に続発した高コレステロール血性黄色腫の1例

著者: 福士堯 ,   山内哲 ,   上原伸一

ページ範囲:P.1093 - P.1098

I.緒言
 黄色腫は古くから知られている疾患の1つであり,その臨床所見,血液学的所見,病理組織学的所見,全身病的な関連などの観点から分類されており,多くの病型が知られているが,その本態に関して尚明らかにされてない点が少くない1)
 このような黄色腫のうちで,肝疾患に高コレステロール血症を伴つて来るものが知られている。本邦においては,この型に属する黄色腫は稀であるとされており,10余例2〜16)が報告されているに留るようである。

多発性毛嚢々腫症について

著者: 大川原脩介

ページ範囲:P.1099 - P.1102

I.はじめに
 多発性毛嚢々腫症は,1898年BoselliniによりSteatocystici multiple follicoli pilosebaceiの名称で報告されて以来,Steatocystoma multiplex(Pringle,1899),Sebocystomatosis(Günther,1917),Folliculäre Zysten(Siemens,1923),Gruppierte Retentionsatherome(Bernstein,1931),Ölzysten(Strempel,1931),Maladie polykistique épidermique hérédetaire(Sezary et Lévy-Coblentze,1931)等々の名称で報告されてきた。一方本邦では,1922年駒屋1)が多発性毛嚢々腫症という名称で報告して以来,その発生機序に関する考え方は別として,一般に,この名称がつかわれ多くの報告がなされているが,最近9歳男子の胸骨部より心窩部にかけて多発した毛髪を内蔵する多発性毛嚢々腫症の1例を経験したので,この機会に当科における本症の統計的観察と併せ報告する。

毛包虫の共生をみた白癬性毛瘡の1例

著者: 高島巌 ,   矢島千穂 ,   永井盛人

ページ範囲:P.1103 - P.1107

I.緒言
 白癬性毛瘡は,Sycosis parasitaria & tricho-phytica, Tinea & Trichophytia barbaeなどと呼ばれ,白癬のうちでは比較的稀な疾患である。Miescher1)によると,既にローマ時代からMentagraとして知られていたという。Götz2)が,第一次世界大戦後に,理容上の不衛生のため流行性に蔓延したと記載していることや,さきのMiescher1)の文献中の記載をあわせ考えると,戦時,戦後を通じて本疾患は増加の傾向にあるように思われる。しかしわが国ではこのような報告はみられず,諸家の白癬統計中にも白癬性毛瘡の病名をみることが少ない。著者らはこのたび,湿疹と診断されてコルチコイド療法を施行されたために病像が悪化し,身体各部に斑状小水疱性白癬の発生をみたばかりか,毛瘡病変の膿疱中に毛包虫の共生を認めた本症症例を経験したので,ここに報告する。

検査法

抗核因子およびDNA抗体の検査法

著者: 本間光夫 ,   富永教洋

ページ範囲:P.1109 - P.1115

I.はじめに
 膠原病とか自己免疫疾患とかいうのは,昨今の流行である。
 わが国ではリウマチという言葉を原因不明というニュアンスをもつた意味で使用してきた憾みがある。同じように膠原病,自己免疫疾患という場合,原因不明の疾患の代名詞かのように軽く考え,この範疇に入れようとする疾患の数がだんだん多くなつている。このような風潮の基礎となつたものは免疫学の進歩にある。

薬剤

Ronicol Timespanの皮膚科領域における治験

著者: 熊坂鉄郎 ,   宮沢偵二

ページ範囲:P.1126 - P.1133

I.はじめに
 最近末梢血行障害に対する研究がたかまり,皮膚温測定や脈管造影等の種々の検査と相俟つて末梢血管拡張・血行改善剤の開発がなされている。
 Ronicol Timespanはニコチン酸誘導体の酒石酸塩で,一般名をNicotinic alcoholの名で呼ばれる血管拡張剤ロニコールの持続性製剤である。

外国文献

外国文献—専門誌から/外国文献—一般誌から

ページ範囲:P.1139 - P.1142

DER HAUTARZT 19 : 2, Februar, 1968
Neues aus der amerikanischen Dermatologie. I. Teil : A. Hollander 49
Über die Lipidregenerationszeit im Bereich talgdrüsenfreier Haut : C. G. Schirren und C. Honsing 53

〈原著論文抄録〉

全身性エリテマトーデスと帯状疱疹,他

著者: 鷲尾勝 ,   清水順也 ,   佐藤良夫

ページ範囲:P.1147 - P.1147

 全身性エリテマトーデス(以下SLEと略す)と帯状疱疹(以下HZと略す)が合併しやすいことの理由としてはSLEにおける免疫系の異常,あるいは個体の抵抗力の減弱が思惟されている。著者らは,昭和32〜42年の11年間に,新大皮膚科を受診したSLE 27例についてHZが27例中6例,22.2%の高頻度に合併することを確認した。うち2例はHZの再発を来している。また6例中4例が10才台であることは注目すべきである。これらHZ合併例は臨床症状,検査成績から,SLEとして中等〜重症とみなされた。しかしSLE発病後,現在まで約10年の生存者2例を含み,全例生存しており,HZ合併は特別予後の悪いことを示唆するものではない。HZの合併頻度の高い原因として,自験例の(統計的)観察からSLEの免疫系の異常によることが強く思惟された。しかしステロイドの影響も看過できないと思われる。今後,これらの問題を解明していくためには,免疫グロブリン,中和抗体,細胞抗体の態度をはじめ,プロパージン,インターフェロンなどの問題を究明していくことが必要と考えられる。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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