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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科22巻12号

1968年11月発行

雑誌目次

図譜・280

Werner症候群角化病巣に生じた悪性黒色腫

著者: 古賀道之

ページ範囲:P.1160 - P.1161

患者 36歳,男子,歯科医。
初診 昭和41年11月28日。

図譜・281

人疥癬症例

著者: 近藤慈夫

ページ範囲:P.1164 - P.1165

患者 17歳,男子,調理人。
初診 昭和42年4月26日。

綜説

皮膚疾患の放射線治療

著者: 高橋信次 ,   伴和友

ページ範囲:P.1167 - P.1174

I.緒言
 皮膚に対する放射線治療の歴史は他疾患に対するそれに比べて最も古い。Röntgen教授のX線発見の翌年にはすでにその報告が行なわれているくらいである。本邦においてもX線の治療は始めて,土肥,遠山などにより皮膚疾患に対して行なわれた。これは皮膚疾患によつてはX線によく反応するものがあり,しかもそれが視診で容易に観察されたからであろう。しかし一方,X線障害が照射の適切をあやまると無視できないことが次第に明瞭になつてきた8)12)13)16)17)18)19)。他方,照射の能率をあげるために,新しい機器も開発されて,いろいろな線質の放射線を使用する事ができるようになつて来た。
 その結果,皮膚疾患に放射線照射を行なうためには,放射線に対する物理学的,生物学的知識の理解が要請されるようになつてきた。それでいま,これらの観点から皮膚疾患の放射線治療を考えてみることにしよう。

原著

オスラー氏病について

著者: 松本維明 ,   大国剛 ,   蔭山亮市

ページ範囲:P.1177 - P.1183

I.はしがき
 本症は欧米に於ては古くから知られているが,比較的まれな疾患であり,本邦に於ては僅か数例の報告しか見られない。我々は昭和38年1月の第157回日本皮膚科学会大阪地方会に於てオスラー氏病の一家系について報告したが,最近再び本症の3例を経験したので報告する。

汎発性扁平疣贅

著者: 安部佳子 ,   辻卓夫 ,   須貝哲郎

ページ範囲:P.1185 - P.1190

I.緒言
 1922年LewandowskyおよびLutz1)は生後まもなく,扁平疣贅様ないし粃糠疹様の皮疹が全身に多発し,治癒することなく残存した29歳女子の1例を報告し,組織学的に,表皮において,著明な空胞細胞の認められたことから,疣贅様表皮発育異常症(Epidermodysplasia verruciformis)と命名した。さらに両親が血族結婚であり,幼少時より皮疹が発生し,変化することなく経過し,また治療に対しても皮疹の改善が認められなかつたことから,本症を先天性表皮発育異常症の1つであろうとした。その後,疣贅様表皮発育異常症として報告された症例は100例をこえ,尋常性ないし扁平疣贅との関連性や,病因に関して多くの意見が述べられてきた。
 1966年RuiterおよびVan Mullem2)は,本症の皮疹表皮の棘細胞層上部から移行層までの細胞核内に,結晶状に配列したウィルス粒子集団を認めnegative stainによつて,疣贅ウィルス群と同定した。かくして疣贅様表皮発育異常症は,疣贅ウィルス群に抵抗性の弱い特異的な素質に発現する一種の汎発性扁平疣贅であろうと考えられるようになつた3)

Naevus lipomatosus cutaneus superficialis(Hoffmann-Zurhelle)の1例

著者: 清水夏江

ページ範囲:P.1191 - P.1196

I.緒言
 臨床的に主として骨盤帯に多発する特有な結節形成を,また組織学的に脂肪組織の真皮内異所的発生を特徴とする本症は,極めて稀な疾患であるが,1921年Hoffmann-Zurhelle1)によりNaevus lipomatodes cutaneus superficialisとして報告されて以来,諸外国に於ては19例,本邦に於ては16例が報告されている。
 著者は最近,23歳女子の右腰部に発生した本症の1例を経験したので,ここに報告する。

Pseudoxanthoma elasticumの4例

著者: 島田博光 ,   園田節也

ページ範囲:P.1197 - P.1204

I.はじめに
 本症は1884年BalzerによりXanthoma ela-sticumとして記載され,後Darier (1896)により真の黄色腫と異なるとしてPseudoxantho-ma elasticum (以下Px-E)と命令されたものである。1929年に至り眼科医Grönbladと皮膚科医StrandbergがPx-Eに眼底のangioidstreakが合併した同一症例を,それぞれ別々に報告した。以来両者の合併例が多く報告され,Grönblad-Strandberg症候群とよばれるようになつた。しかしながら単に眼底のみならず,他の内臓の諸病変,特に血管ないし循環系の障害,骨の変化などをも合併することが明らかにされ,本症が全身系統的疾患であるという考えが強くなつてきた。本邦ではこれに関する高橋1)のすぐれた綜説があるが,最近われわれも本症の4例について全身疾患として若干の検索を試みたので,それについて簡単にのべてみたい。

Subcorneal pustular dermatosis, Sneddon-Wilkinsonについて

著者: 番場秀和

ページ範囲:P.1207 - P.1216

I.緒言
 従来,疱疹状皮膚炎,疱疹状膿痂疹ないし天疱瘡群の不全型あるいは移行型として報告されていた慢性水疱—膿疱性疾患の一群の症例1)2)3)4)が知られていた。1956年SneddonおよびWilki—nson5)は自験例7例とこれらの報告例を検討してその特異な臨床的,組織学的病像からこれをsubcorneal pustular dermatosis (以下S.P.D.と略す)と命名し,その独立性を主張した。その後報告例があいつぎ海外に約80例,本邦に20例の記載がある。しかしながら諸家が指摘しているように,原著者らの診断基準から逸脱している症例も散見され,本症の分類学上の位置はもとよりその本態の解析を困難にしている。
 著者は最近本症の3例を経験したのでここに報告し,併せて若干の私見をのべてみたい。

検査法

実験白癬の手技

著者: 高橋伸也

ページ範囲:P.1219 - P.1227

I.緒言
 白癬の研究においては,しばしば実験白癬がつくられるが,その主な研究目的は下記のごとくである。
1)動物に対する病原性の有無,強弱をしらべる。この成績を当該白癬菌同定の資料とする。

薬剤

慢性蕁麻疹におけるヒスタミン固定能とヒスタグロビン治験

著者: 滝沢和彦

ページ範囲:P.1237 - P.1240

I.緒言
 蕁麻疹は喘息,アレルギー性鼻炎,偏頭痛と共にいわゆるアトピー症候群の代表的なものとしてあげられている。しかしながら全てのアトピー症候群と同じく,蕁麻疹も1つの症候群にすぎず,その起因機序を抗原抗体反応に基づくアレルギー性反応に求め得る場合は非常に稀である。
 一般にこれらアトピー症候群にみられる抗原抗体反応は即時型に属しレアギンなる同種皮膚感作抗体によつて特徴づけられる。このレアギンを産生し易い能力は遺伝的に決定されておりautosomal dominant geneによつて伝えられるといわれる。

教室紹介

東京女子医科大学

著者: 細木梅子

ページ範囲:P.1242 - P.1242

 「本校ハ女子ニ医学ヲ教授シ併セテ婦徳ノ養成ヲナス処トス」これは大正14年に制定された本学の学則第1条である。わが東京女子医大は今日,本邦唯一の女子医科大学としてユニークな存在を誇つているが,ここに至るまでの70年間の歳月は,創立者吉岡弥生先生(1871〜1951)の生涯とともに,波瀾万丈,苦難と栄光の歴史であつたといえよう。
 先生が明治22年,18歳で済生学舎に入学した当時は,男尊女卑の社会的風潮を如何ともしがたく,後に女子医学教育の先駆者となる大きな動機となつたというが,誠に今昔の感にたえない。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.1243 - P.1245

DERMATOLOGICA 137: 1, 1968
Hypersensitivity to Chromium Compounds: L. H. Jansen and L. Berrenes 1
Percutaneous Absorption from Chromium (5/Cr) Solutions of Different PH, 1.4-12.8. An Experimental Study in Guinea Pig: J. E. Wahlbert 17

〈原著論文抄録〉

オスラー氏病について,他

著者: 松本維明 ,   大国剛 ,   蔭山亮市

ページ範囲:P.1247 - P.1247

 家族内発生,出血及び毛細血管拡張の認められた20歳の女子,18歳の女子及び30歳の男子の3例のオスラー氏病症例を報告し,本症の文献的考察を行つた。Gjessingによれば本症は家族内発生,出血及び毛細血管拡張のtriasをもつた疾患である。遺伝に関しては極めて不明確な場合が多いが,本症の他の徴候である出血及び毛細血管拡張も夫々特異的なものではなく,Bean et al. は明らかに遺伝を認めないものをvenouslakeという独立疾患としている点等より家族内発生,出血及び毛細血管拡張のtriasをもつたもののみを本症とするのが妥当であると思われる。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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