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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科22巻3号

1968年03月発行

原著

Dimethyl Sulfoxide(DMSO)添加苛性カリ液を用いた真菌直接鏡検法

著者: 高橋伸也1 斎藤信也1

所属機関: 1東北大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.245 - P.250

文献概要

I.緒言
 皮膚真菌症の診断にあたつては,病的材料について菌の存在を証明することがきわめて重要であることはいうまでもない。真菌の検査法には,a)直接鏡検法,b)培養法,c)組織学的検査法がある。この中で最も頻々に行なわれるのが真接鏡検法で,これによつてある程度原因菌の菌属を推定することも可能である。しかも直接鏡検法において菌が陰性であれば,培養を行なつてもほとんど陰性であるので,直接鏡検法を確実に行なうことが皮膚真菌症の診断にははなはだ大切なことになるのである。
 浅在性皮膚真菌症の場合,検査材料は鱗屑,毛,爪といつた角質物である。これらの材料中の菌を検出するためには,20〜40%苛性カリ液にて処理した無染色標本の真接鏡検法(以下に苛性カリ法と略称する)が広く一般に行なわれて来た。この苛性カリ法は,簡便で優れた方法ではあるがa)厚い材料(爪甲,爪甲下角化物,厚い角質層など)の場合には,菌検出までにかなりの時間を要する,b)この時間を短縮するために加熱を要することが少なくない,c)菌要素と角質物とのコントラストがあまり明瞭でないので,菌要素の発見が困難なことがある,d)厚い材料の場合,透明度が低いので菌要素が見えにくく,材料を圧延する必要がある,従つてe)菌の寄生形態が不自然になる,等の煩わしさ,欠点があつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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