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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科22巻4号

1968年04月発行

綜説

皮膚疾患と脳波

著者: 林原祐治1

所属機関: 1鳥取大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.315 - P.322

文献概要

I.はじめに
 1924年Hans Bergerによつて人体脳波が発見されAdrianによつて確認されて以来,脳波の研究は急速に拡がり,1936年Gibbs,F.A.,Davis,H.,Lennox,W.G.等がてんかん小発作の患者が発作時に,3c/s wave and spikeをしめすことを発見し,またWalter,W.G.は1936年脳腫瘍の際に脳波に徐波が出現するからその出現部位を決定すれば脳腫瘍の部位をかなり正確に局在づけうることを見出し,脳波の臨床診断への応用面をさらに開拓した。
 さらに最近では各種の内科領域の疾患,例えば消化器潰瘍,高血圧,内分泌疾患にも応用される等,脳波の臨床面への応用はますます拡がりつつある。しかし皮膚科の分野では脳波検査の行なわれることは非常に少なく,発生異常に基づくと考えられる2,3の疾患,例えばBourneville-Pringle病,Recklinghausen病等にてんかんを併有することが知られている関係上,時に行なわれるに過ぎなかつた。しかし脳波が内科的疾患のかなりルチーンの検査としてとり入れられつつある現在,皮膚科領域でももつと注目される必要があるのではなかろうか。脳波は心電図等と比較してまだ不明な要素が多く,したがつて異常の判定が困難であること,さらに脳波は大発作てんかん,小発作てんかん,精神運動性てんかん,脳腫瘍,脳外傷等のごく限られた疾患にのみしか適用されないという固定概念が強いこと等が皮膚科における脳波検査が重視されない理由になつていると思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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