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原著
全身性肥胖細胞症の1例
著者: 斎藤信也1
所属機関: 1東北大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.347 - P.352
文献購入ページに移動I.緒言
従来色素性蕁麻疹は皮膚のみの変化と考える人が多く,皮膚以外の組織変化については,注意されることが少なかつた。リンパ節において肥胖細胞の増殖を証した報告はあつたが(Gray1),1938),本症が全身性変化を示すと考えられるまでには至らなかつた。しかし1949年,Ellis2)は肝,脾,胸腺,骨髄,腎,膵およびリンパ節に肥胖細胞の著明な増殖を認めた剖検例を報告して,本症が全身性疾患であることを指摘した。以後全身性変化を伴なう症例が相次いで報告され,現在では従来の色素性蕁麻疹と,全身性変化を伴なうものとを一括して,肥胖細胞の増殖を来たす疾患という意味で,肥胖細胞症Mastocytosisなる名称が広く用いられている。本邦でもすでに3例の全身性肥胖細胞症が西脇ら3),西脇4)および福代ら5)によつて報告されている。
特異な皮疹を示し,骨髄および末梢血に肥胖細胞の増殖を認めた1例を経験したので報告する。
従来色素性蕁麻疹は皮膚のみの変化と考える人が多く,皮膚以外の組織変化については,注意されることが少なかつた。リンパ節において肥胖細胞の増殖を証した報告はあつたが(Gray1),1938),本症が全身性変化を示すと考えられるまでには至らなかつた。しかし1949年,Ellis2)は肝,脾,胸腺,骨髄,腎,膵およびリンパ節に肥胖細胞の著明な増殖を認めた剖検例を報告して,本症が全身性疾患であることを指摘した。以後全身性変化を伴なう症例が相次いで報告され,現在では従来の色素性蕁麻疹と,全身性変化を伴なうものとを一括して,肥胖細胞の増殖を来たす疾患という意味で,肥胖細胞症Mastocytosisなる名称が広く用いられている。本邦でもすでに3例の全身性肥胖細胞症が西脇ら3),西脇4)および福代ら5)によつて報告されている。
特異な皮疹を示し,骨髄および末梢血に肥胖細胞の増殖を認めた1例を経験したので報告する。
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