文献詳細
文献概要
原著
魚鱗症患者の血清脂酸について
著者: 柿沼豊1 皆川禎子1
所属機関: 1福島医科大学皮膚科教室
ページ範囲:P.573 - P.577
文献購入ページに移動I.はじめに
1906年Tswettは粗製の葉緑素を石油エーテルに溶かし,炭酸カルシウムを充填したガラス塔に流し続けると緑と黄色の着色帯に分離することを発表した1)。以来クロマトグラフィーの技術は毛細管クロマトグラフィーから薄層クロマトグラフィー迄急速に発達してきたが,これらの多くのものは移動相として液体を用いたもので,その分析結果を得るまでには長時間を必要とした。
1952年Martin&James2)は移動相として気体を用い,少量の試料で短時間に正確な分析結果が得られるガス—クロマトグラフィーを用い脂酸の分析を行ない,更にCopper&Heywood3)は脂酸をメチール化すると容易に分析出来ることを報告した。その後ガス—クロマトグラフィーはカラム,検出器,恒温槽等に改良が加えられた結果,現在は各種分析に利用され,医学の分野でも広く応用されるようになつた。皮膚科的にも本方法を使用した多くの報告があり,本邦でも皮膚の各層4),脂漏性湿疹患者血清5),乾癬患者血清6)並びにその落屑7)の脂酸についての報告がある。
1906年Tswettは粗製の葉緑素を石油エーテルに溶かし,炭酸カルシウムを充填したガラス塔に流し続けると緑と黄色の着色帯に分離することを発表した1)。以来クロマトグラフィーの技術は毛細管クロマトグラフィーから薄層クロマトグラフィー迄急速に発達してきたが,これらの多くのものは移動相として液体を用いたもので,その分析結果を得るまでには長時間を必要とした。
1952年Martin&James2)は移動相として気体を用い,少量の試料で短時間に正確な分析結果が得られるガス—クロマトグラフィーを用い脂酸の分析を行ない,更にCopper&Heywood3)は脂酸をメチール化すると容易に分析出来ることを報告した。その後ガス—クロマトグラフィーはカラム,検出器,恒温槽等に改良が加えられた結果,現在は各種分析に利用され,医学の分野でも広く応用されるようになつた。皮膚科的にも本方法を使用した多くの報告があり,本邦でも皮膚の各層4),脂漏性湿疹患者血清5),乾癬患者血清6)並びにその落屑7)の脂酸についての報告がある。
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