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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科22巻7号

1968年06月発行

雑誌目次

図譜・270

先天性爪甲欠損症(短趾症合併)の1例

著者: 田辺与市 ,   岡村喜明

ページ範囲:P.638 - P.639

患者 3歳9カ月,♀。
主訴 両足趾の変形と左足趾の爪欠除。

図譜・271

紅色陰癬—そのWood螢光と鱗屑内菌体

著者: 高島巌 ,   郭功基

ページ範囲:P.642 - P.643

患者 50歳の男子。初診 昭和42年7月15日。
現病歴 10数年以前から,両側陰股部に褐色鱗屑面があり,自覚症はない。

綜説

動物性皮膚症

著者: 岩重毅

ページ範囲:P.645 - P.652

I.はじめに
 動物性皮膚症とは,小動物の皮膚寄生または皮膚を侵襲することによつておこる皮膚病変を指しており,非常に広範囲の小動物を対象としているが,ここでは,一応その一部である昆虫綱による,所謂虫螫症として著者の経験した,しかも日常の診療に当り,しばしば遭遇することのある疾患についてのみ記述する。

原著

β-グルクロニダーゼ阻害物質のアポクリン汗腺,脂腺に対する作用機序と皮膚科的応用の2,3について

著者: 大久保達也 ,   神畠茂 ,   雨宮直幹 ,   佐野栄春

ページ範囲:P.653 - P.663

I.まえがき
 近年酵素製剤の工業化と共にその臨床応用が拡大しつつあるが,かかる酵素療法を更に広く解釈すると,助酵素とか逆に酵素阻害物質もこれに含めてよく,皮膚科領域においても従来の治療薬中これにあてはまるものも少くはない。しかし,特定の疾患に対して特定酵素の阻害作用を治療に応用した例は未だ寥々たるもので,疾患および酵素の選択がまず問題となるが,かかる観点から,その疾患発症機序が逆に類推しうるという可能性も有するので極めて興味深いことと思われる。そこで今回は比較的生体内での動向のはつきりしたβ-グルクロニダーゼ(以下β-G)を目標酵素として採り上げ,主としてアポクリン汗腺,脂腺機能との関連性から,その阻害剤の作用機序につき基礎的検討を行い,併せて2,3疾患に対し臨床的応用を試みたので,その大要について報告する。

Angioma serpiginosum—1例報告と文献的考察

著者: 三宅一夫 ,   長島正治

ページ範囲:P.665 - P.670

I.はじめに
 1889年Hutchinson1)により,"A Peculiar Form of Serpiginous and Infective NaevoidDisease"としてはじめて報告され,1893年Rad-cliffe-Crocker2)によつて,"angioma serpigino-sum"と命名された本症は,従来主として米国学派3)〜6)により,いわゆる"pigmented purpuric dermatoses"の範疇に属する疾患として紹介さている。しかしがなら,1957年英国のFrain-Bell7)が,本症の独立性を論じ,従来の報告例中には,Hutchinsonの原著に一致せざる症例があることを指摘して以来,最近では米国においても,その見解に従う論文17)18)が散見されるに至つている。
 最近われわれは,20歳女子に発生した本症を経験し,これを一種の毛細血管性母斑と推定することができたので,文献的考察を加え,ここに報告するものである。

エクリン汗口腫(Eccrine poroma)について

著者: 赤野明之 ,   三浦祐晶

ページ範囲:P.671 - P.675

I.はじめに
 エクリン汗口腫(eccrine poroma)は,Pinkusら1)が1956年に足蹠に発生した5例の腫瘍を組織学的に検討して,その腫瘍が表皮内汗管の組織学的特長を有することを見出し,従来基底細胞腫,老人性疣贅の中に含まれていた腫瘍から,表皮内汗管より生じた腫瘍として独立させたものである。その後本症の報告は世界各地から相次ぎ,この腫瘍がまれでないこと,またエクリン汗管は,皮膚腫瘍の発生母地として重視されるべきことを示している。われわれは最近本腫瘍の1例を経験したのでここに記載し,あわせてこの腫瘍について少しく考察を加えた。

皮下コレステロール性肉芽腫について

著者: 東順子 ,   須貝哲郎 ,   斎藤忠夫

ページ範囲:P.677 - P.680

I.はじめに
 最近著者らはきわめて特異な組織像を示す一種の脂肪肉芽腫を経験した。組織学的に肉芽腫の大部分はエステル型コレステロールの結晶によつて占められ,これは1942年にUrbachが報告した皮下コレステロール性肉芽腫(Granuloma choles-terinicum subcutaneum)1)に一致するものと思われる。以下にこの興味ある症例を報告すると共に本症の成因および独立性について検討を加えたい。

汎発性鞏皮症の2剖検例

著者: 野中勇夫 ,   岡吉郎

ページ範囲:P.681 - P.687

I.緒言
 汎発性鞏皮症は単に皮膚の変化をきたすのみならず,全身諸器官を侵す系統的疾患であり,近時皮膚科のみならず,内科方面でも興味をもたれてきた。内臓諸器官のうちでも,特に心,肺,腎の変化は致命的であり,大多数の症例はこれが原因で死亡する。このうち特に肺における変化はかなり特異であり,最も注目されてきた。私共は最近,本症の発症から死亡まで1年という比較的急性の経過をとつた1例と同じく10年の長い経過をとつた1例を相ついで経験したが,いずれも呼吸器症状が著しく,剖検により肺,心の病変が著明であつた。この2例を報告し若干の考察を加えたい。

悪性化を示したRecklinghausen氏病の1例

著者: 木村正方 ,   福士勝久 ,   鳴海康安

ページ範囲:P.689 - P.696

I.はじめに
 悪性化したRecklinghausen氏神経線維腫症の報告は少なく,本邦では未だ20数例を数えるにすぎない。
 私達は最近,全身性皮膚腫瘤のうち左側胸壁のものが悪性化を示した1例を経験したので報告する。

検査法

表皮,真皮の取り方

著者: 小倉良平 ,   松藤宗淳 ,   皆川重美

ページ範囲:P.697 - P.702

I.はじめに
 皮膚や結合組織は従来からあまり生化学的に興味をもたれていなかつた。これは代謝速度の点もあるが,これらの組織が物理的に化学的に強固であるため試料調製上の難点が大きな原因であつたように思われる。これらの組織を発生学的にみると皮膚は表皮epidermisと真皮corium dermisからなり,前者は外胚葉性の組織であるが,後者は中胚葉性で結合組織などと同じ性質のものである。生体内における役割をみても異つている点が多い。従がつて,これらの材料を生化学的に取扱う場合には,表皮と真皮とを区別して取扱わねばならない。また,皮膚は動物の体表面をおおつている大きな組織であり,絶えず外部から物理的,化学的の刺戟をうけている。これらの刺戟の種類や強弱に応じて身体の部位により皮膚の性状も異なつてくる。そこで実験に用いる動物の種類や部位も考慮しなければならない。ここでは,皮膚を取り扱つて実験する場合,表皮と真皮の分離法についてその概要を述べてみたい。

薬剤

オイリッチクリームの皮膚科領域における使用経験

著者: 手塚正 ,   入交敏勝 ,   山口淳子 ,   大川原修介

ページ範囲:P.711 - P.717

I.はじめに
 副腎皮質ホルモン含有軟膏の出現によつて皮膚科領域の軟膏療法はその様相が一変してしまつたといつてもいいすぎではないと思われる。しかしながら,副腎皮質ホルモンは優れた抗炎症作用を持つ反面,重大な副作用を有し,かつ高価であることのためにその抗炎症作用をそこなわずに出来るだけその濃度を低めるように努力されている。今回,日立化学よりコルチコイド作用を有するグリチールレチン酸とデキサメサゾンを含有せる軟膏(オイリッチクリーム)の提供を受け,数種類の皮膚疾患に対してその効果を検討したので報告する。

教室紹介

日本医科大学/名古屋市立大学

著者: 本田光芳

ページ範囲:P.718 - P.719

 教室の歴史 本学の歴史は古く,日本医学専門学校--日本医学校と遡り済生学舎にその源を発し,日本医専以後も既でに60余年を経ている。皮膚科泌尿器科教室は昭和5年以来北川淏教授(現在名誉教授)の主宰するところであったが,昭和23年皮膚科と泌尿器科の講座が分離し,皮膚科は丸山千里教授の担当となり,その後教室,外来とも完全にわかれて現在に至つている。
 本学の病院は,文京区千駄木附属病院(丸山千里院長),千代田区飯田橋第一病院(斎藤淏院長),川崎市小杉第二病院(馬越直通院長)と3つあり,これと略々同格に私立共済組合下谷病院(大藤敏三院長)がある。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.720 - P.721

ARCHIVES OF DERMATOLOGY96 : 5, November, 1967
Topical Methotrexate in Psoriasis : L. Fry and R. M. H. McMinn 483
Livedo Vasculitis : J. W. Bard and R. K. Winkelmann 489

〈原著論文抄録〉

β-グルクロニダーゼ阻害物質のアポクリン汗腺,脂腺に対する作用機序と皮膚科的応用の2,3について,他

著者: 大久保達也 ,   神畠茂 ,   雨宮直幹 ,   佐野栄春

ページ範囲:P.723 - P.723

 β-glucuronidaseの阻害剤であるglucaro(1→4)(6→3)dilactoneおよび(1→4)lactoneのアポクリン腺及び脂腺に及ぼす作用機序につき,基礎的検討を行い,併せて2,3臨床的応用を試み,以下の如き結果を得た。
 1.glucaro(1→4)monolactoneの投与によりtestosteronによるラット脂腺の発育増大は抑制される。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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