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原著
いわゆる膠原病の臨床的観察,特にその遠隔成績について
著者: 菅原光雄1 道部秉1
所属機関: 1弘前大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.773 - P.779
文献購入ページに移動1941年Klempererが病理形態学的立場から,全身の膠原線維に類線維素変性を中心とする病変が系統的に表われる疾患の存在に注目して,膠原病の概念を提唱した1)。その後病変は膠原線維のみでなく,血管,筋肉,結合織全般にわたることが明らかにされ,膠原・血管病,結合織病などの名称もあり2)3),その範囲も当初はリウマチ熱,リウマチ性関節炎,エリテマトーデス,汎発性鞏皮症,皮膚筋炎,結節性動脈周囲炎の6種であつたが,今日では極めて多数の疾患が本症とみなされている。皮膚科領域においても上記の他に,We-ber-Cristian病,Behçet病,Shönlein-Henoch病,栓球減少性紫斑病,Bürger病,全身性血栓性静脈炎,側頭動脈炎,結節性紅斑,多形滲出性紅斑,Osler病,血清病等の帰属が問題となつている。狭義のそれとしては,エリテマトーデス,汎発性鞏皮症,皮膚筋炎,結節性動脈周囲炎および成年性浮腫性硬化症があげられる。今回,昭和25年から40年迄の16年間にわたり,当教室を訪ずれた狭義のこれらの疾患患者について,臨床的観察を行なうと共に,その遠隔調査をしたので,以下に報告する。なお慢性円板状エリテマトーデス(DLE)については諸家の見解が必らずしも一致しないが,SLEとの間に移行型ないし中間型の存在も知られていることから本病類に入れた。又これら疾患は,周知の如く,膠原病の概念が導入される以前から予後不良の皮膚病といわれていたもので,皮膚疾患の予後研究の一環として遠隔成績の調査を行なつたものである。
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