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原著
顔面播種状粟粒性狼瘡の13例
著者: 藤沢竜一1 滝口都三1 末延清志1 中山芙蓉1 内野モモヨ1 矢代昭夫1
所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.781 - P.790
文献購入ページに移動顔面播種状粟粒性狼瘡は1878年のT.Foxの報告にはじまり,本邦では大正4年,土肥の報告を嚆矢とする1)。以後,本症に関する発表,報告は枚挙に遑なく,現在,本邦では結核疹の中の一代表疾患とされている1)2)。周知の如く,本邦における本症の問題点としては,統計的に第2次大戦後,特に昭和30年代以後増加をみること,さらに病理組織学的には定型的結核結節の形成を主体とし,そのほか類肉腫様構造,上皮嚢腫形成,毛嚢表皮腫様構造を呈する場合もあること,皮膚結核中,ツ反応陽性率が最も低いこと,治療学的には抗結核剤による化学療法に対し反応し難いことなどであり,これらに関連して,類肉腫症との関係が本態論として問題とされている。
当教室では昭和37年から42年までの6年間に30例の皮膚結核症例を経験したが,うち真正皮膚結核は僅かに2例であり,第1位は本症の13例であつた。これらの症例について報告する。
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