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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科22巻8号

1968年07月発行

文献概要

海外見聞記

65.Tagung der Vereinigung Südwestdeutscher Dermatologen am 27/28, April 1968 in Heidelberg

著者: 徳永信三

所属機関:

ページ範囲:P.819 - P.821

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 (前略)当地は,只今春酣と云つた所で黒々とした冬の暗さは影をひそめ今はすつかり美しい新緑に色どられ溜息が出る程の見事さです。去る4月27・28の両日ハイデルベルヒで春の学会があり小生も医局の連中と一緒に会に出席致しました。学会は病理の講堂で行なはれました。大体東京地方会より少し多いかと思われる出席者で,今は引退して居られるProf. GansがPräsidentとして座長のSchnyder教授と会を主催され81歳で矍鑠たるものです。日本人は小生と東大皮膚科の石橋先生と東京医歯大の病理の人の3人でした。別表の様に皮膚の病理組織の演題が主でとくに電顕の仕事が多いようでした。ケルン大学のSteiglederは新進気鋭の教授で比較的理解しやすく印象的でしたが,とにかく小生の語学力をもつてしては残念乍ら未だ正確に内容を把握する事は不可能ですからその内容については報告を遠慮致します。学会には何時も必ず名物男が居るものですがこの学会ではMünchenのBraun-Falco,MainzのKortingだそうでKorting教授は,殆ど毎回の演説に何か発言して居た様です。WürzburgのRöckl教授がBedeutung der Histopathologie für die Diagnose knotigenUnterschenkeldermatoseと云う題で,P. N. 結節性紅斑,バサン,アレルギー性血管炎等につき話し,バサンには組織学的にPathognomonicな所見がないので従来バサンと臨床的に考へられて来た症例は殆ど前記何れかのカテゴリーに含める事が出来る。従つて結核菌が証明されない限り本症の診断を決定するには,慎重な考慮を要するのではないかと思うと云うような事を云ひました所,ムックリと起ち上がつて自分はそうは思はない,組織学的にはそうかも知れないが臨床的には,バサンと云う皮膚疾患は,charakterischなものである。あなたのような論法で話をすれば皮膚疾患はなくなつて終うと極端に云へば云へると云うような事を始めは,平静に次第に顔を真紅にして手を振りあげて反論しRockl教授も敗けじと又これに反論し聴衆はニヤニヤしながら両大家の論争を楽しんで居たようです。
 夜はネッカール河畔のStiftsmühleと云うホテルで夕食会がありましたが会がはねる頃各自さいふから自分の食べたり飲んだ分を各自の席で係のボーイに支払うのですがこんなマナーになれない小生には一寸奇妙な感じがしましたが或はこれがまともなのかも判りません。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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