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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科23巻1号

1969年01月発行

検査法

梅毒トレポネーマ感作血球凝集反応(TPHAテスト)について

著者: 水岡慶二12

所属機関: 1東京大学医学部附属病院中央検査部 2東京大学医学部附属病院皮膚科

ページ範囲:P.65 - P.71

文献概要

I.はじめに
 通常,梅毒の補助診断法としておこなわれている血清学的反応は,Cardiolipin-Lecithin抗原(脂質抗原)を用いる反応であつて,いわゆるWassermann反応としてふるくより親しまれたものである。このような脂質抗原による梅毒血清反応(Serologic Tests for Syphilis,略してSTS)は,抗原に精製されたCardiolipinが使われるようになつて鋭敏度,特異度ともに非常にすぐれたものになつたが,抗原活性をもつと考えられるCardiolipinが梅毒病原体のTreponemapallidum (TP)とは無関係のリン脂質であるため,梅毒でない血清でもかなりしばしば反応が陽性になる。この偽陽性反応は生物学的偽陽性(Biological False Positive,略してBFP)反応としてすでにふるくより知られていたことであり,現在でも患者ならびにその家族間にいろいろなトラブルをひきおこし,BFPのための相談をもちこまれて困惑させられる臨床医家が多いことと思う。
 BFPがおこるのはSTSの抗原がTPと無関係のリン脂質であることに原因があるわけであるから,STSの術式をいくら改良してみたところでBFPを皆無にすることは不可能で,抗原をTPに由来するものに代えない限り解決されない問題である。ここにTPを抗原に使つてTPに対する本当の抗体を検出しようとする研究が進められたゆえんがある1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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