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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科23巻10号

1969年10月発行

雑誌目次

図譜・300

扁平紅色苔癬

著者: 久保田昭男 ,   大野忠義 ,   山岸明子 ,   原田誠一

ページ範囲:P.992 - P.993

患者 28歳の女子。2児あり
初診 昭和43年8月27日

図譜・301

老人性角化腫(萎縮型)の1例

著者: 木根淵承一

ページ範囲:P.994 - P.995

患者 67歳,女子
既応歴 異常なし。

原著

先天性魚鱗癬様紅皮症—とくに水疱型と非水疱型との差異について

著者: 長島正治

ページ範囲:P.999 - P.1008

I.はじめに
 久しく混迷を続けた魚鱗癬ないし魚鱗癬様疾患の分類は,最近に至つて遺伝的,病理組織学的また細胞動態的な見地から再分類される傾向にある。すなわち,Wells et al.26)(1965年),Frost et al.5)(1966年)またSchnyder et al.21)(1968年)は,それぞれ独自の分類案を示している(第1表)。これらの分類案は,一部になお見解の不一致を示しているが,すくなくとも,従来先天性魚鱗癬様紅皮症(以下CIEと略す)として一括されていたその水疱型と非水疱型たる乾燥型とを全く別個の疾患単位とすることについては意見の一致をみている。
 最近当科外来において,3例のCIE (水疱型1,非水疱型2)を経験したのを機会に,CIEことにその水疱型と非水疱型の差異について考察し,かつその他の魚鱗癬との鑑別を試みたい。

炎症性辺縁隆起性白斑について—Vitiligo with inflammatory raised Border

著者: 野崎憲久 ,   横田徳久 ,   岡田吉郎

ページ範囲:P.1009 - P.1017

I.はじめに
 通常尋常性白斑は脱色斑のみを主徴とする皮膚疾患で一般には自覚症状を欠如しており,境界明瞭で辺縁部に色素集積がみられることを特徴とするが,自覚的に瘙痒感をもち脱色斑の辺縁に炎症性隆起を伴う特殊な白斑の存在が1928年Freudenthal1)により第3期梅毒患者の腹部に認められ"luetic leucomelanoderma"と記載したのが最初で,その後1948年Garb & Wise2)が現在の名称である"Vitiligo with raised Borders"としたもので,白斑の1臨床型として梅毒には関係のないものと考えられている。
 最近までにこの種の白斑例は文献上外国で4例本邦で1例の計5例が報告されているに過ぎず,極めて稀な症例と考えられているようであるが,私共は本学皮膚科外来において最近2年間に本症に該当すると思われるものを4例経験したのでここにまとめて報告し,いささか考察を配することにした。

非定型的環状肉芽腫—巨大紅斑を主徴とした汎発型の1例

著者: 真海文雄

ページ範囲:P.1019 - P.1023

I.はじめに
 環状肉芽腫はFox (1895)により始めて記載され,Crocker (1902)がこれをGranuloma annulareと命名して以来,欧米および本邦において多数の報告がなされ,それほど稀有な疾患ではなくなつてきている。しかしながらその非定型疹に関する報告は本邦,また欧米でも比較的少ない。
 筆者は最近,当科外来において巨大な紅斑を主徴とし,汎発性に発生した本症の1例を経験し,その経過を観察しえたので主として非定型疹に関する若干の文献的考察を加え報告する。

Melanosis circumscripta precancerosaより発生したと思われる悪性黒色腫

著者: 平山泰照 ,   橋本功 ,   山田匡

ページ範囲:P.1025 - P.1031

I.はじめに
 我々は今回,約16年前より右踵部に出現し最近徐々に拡大して来た色素斑の1例を経験し,臨床的ならびに組織学的にMelanosis circumscripta precancerosaより発生した悪性黒色腫と診断したのでここに報告する。

Eccrine Poromaの1例

著者: 石川謹也

ページ範囲:P.1033 - P.1038

I.はじめに
 1956年,Pinkus,Rogin & Goldman1)によつて初めて記載された本症はその後,世界各国の学者の注目するところとなり,その報告は次第に数を増している。2)〜35)一方,本邦においても昭和38年坂本14)の症例を最初とし,報告が相次いでいるがまだ7例にすぎない18)24)26)30)32)33)。最近,著者は手指に発生した本症を経験したので報告する。

検査法

染色体の検査法

著者: 笹川正二 ,   西田尚史

ページ範囲:P.1043 - P.1048

I.はじめに
 最近10数年の間に人の死因および各種の疾患の比率は大きく変化してきた。医学の夫々の分野において遺伝性疾患の占める位置が大きくなつている。このことは皮膚科領域においても勿論例外ではない。ところで一般の疾患に対する場合と同様に,遺伝性疾患に取り組む場合も,近時新しい特殊の方法が進出してきている。
 現在のところ人類遺伝学的な方法論として主なものは概略下記のごとくであろう。1)ごく大ざつぱに次の3つに分けることが出来る。

薬剤

尋常性痤瘡の血清脂質代謝—Pyridoxal Phosphateの臨床効果および生化学的影響

著者: 恒石静男 ,   小川滋 ,   菅野英男 ,   生駒元彦 ,   中西綾子 ,   新谷紘一 ,   亀井幸雄 ,   松橋節子 ,   植松茂生 ,   海保鈴代

ページ範囲:P.1055 - P.1063

I.はじめに
 尋常性痤瘡(以下痤瘡と略す)の発生には,毛包皮脂腺系の先天的な解剖学上の欠陥,内分泌系ことに性ホルモンの変動,細菌感染,脂質代謝,あるいは糖質代謝などの異常,そのほか胃腸障害,肝機能障害,ある種の薬剤,精神的ストレス,食餌および生活環境など種々の要因が関与し,これらの要因がいくつかくみ合わさつて痤瘡が発生すると考えられている。この際,脂質代謝の異常も重要な因子の1つてあろう。
 ビタミンB6はアミノ酸代謝および糖質代謝に補酵素として作用する1)。また脂質代謝では不飽和脂肪酸の生成2),Acetyl-CoAの生成3),脱コレステロール作用4),脂血清浄因子の増加,あるいは抗脂漏作用などがあり,痤瘡の脂質代謝異常に対し効果が期待される。ビタミンB6は生体内ではPyridoxal-phosphate (以下PAL-Pと略す)の型で利用され,その構造式は次のごとくである。

特集

皮膚科領域における電子顕微鏡的研究−1

著者: 電顕研究会(日本皮膚科学会第19回中部連合地方会)

ページ範囲:P.1064 - P.1112

結節性黄色腫の電顕像……山本桂三・他…1065
結節性黄色腫の電顕的観察……鈴木啓之…1071

海外見聞記

ラテンアメリカ便り(6)—パラガイ

著者: 大城戸宗男

ページ範囲:P.1114 - P.1115

 どこへ行つてもむし暑くうだる様で,そこに北から風が吹くと,これがたまらなく暑さを増すので冷房が恋しくなるが快適な喫茶店がある訳でなし,これ迄泊つたホテルにもそれはないから睡眠不足が続く。夜中に起きてシャワーを浴びるが,お湯が出ないので風邪をひくのは我慢できるとし,時には水さえ出ない。リオデジャネイロで泥水が猛烈な勢いでふき出してきたのには弱つた。しかしもつと弱るのは水道の水が飲めないことである。昼間はコカコーラばかり買つてすませるが,夜中にあまり渇くので我慢できず水を飲むと下痢をする。途中で会つたボリビアの衛生局長やアルゼンチンの医者は自宅に濾過器を備えていると自慢していたが,旅行者にはそれも不可能。ここらあたりまで旅が続くと,同行3人は交代に下痢をくり返えし,それも時々血性となる。細菌性赤痢か病原性大腸菌か判らぬが,あわててクロマイを内服するから診療用に準備した筈のが足りず街に出た時薬局をさがして買い込む始未。これが耐性菌をつくるのは判つているが,ままならぬのが人情である。それならコカコーラばかり飲んでいればよさそうだが,現在海外技術協力団よりブラジルのペルナンブコ大学の訪問教授になつている寄生虫教室の浅見敬三先生にいわすと,レストランで飲むコカコーラの中に入つている氷がどの様な水から作られたかを考える必要があり,さらに氷を入れず生ぬるいのをと云つても,そのコップがいかなる水をもつて洗われたかを考える必要があると教えられる。暑さと下痢で疲れて寝ると蚊とブヨの攻撃がある。あきらめて体中刺されぱなしで翌朝おきると,靴をはく前に片方ずつ持つてトントンとたたかないと,中にサソリが入つていて危険である。
 アルゼンチンのブエノスアイレスでは2日間で近郊の移住地の調査を終り,翌日は市内の病院見学,夕方には遠距離バスに乗り15時間かかり大草原を横断し,次の目的地アンデスに着く。午前に着くから昼食後直ちに調査,翌日は午前が病院訪問で午後はもう飛行機に乗るという超人的なスケジュールにもつてきて,先年この国に派遣されてくびになつた有名な大使から日本の悪口を聞かされるという幕間もあり,パラガイの首都アスンシオンに着き,ホテルの部屋に入つた時は心からほつとした。ホテルは小さいが中央公園に面して清潔であり,しかもルームクーラーを発見した時の喜びは大変で,このアメリカ製の古いボタンというボタンはすべてとれ,大きな音をたてる機械が頼もしく思える。しかも最近アメリカの援助で,ここの水道工事が完了し,水は安心と聞いては,ついこの前迄ロバに乗つた子供が水を買いに行く風景がみられなくなつたのも残念とは思えない。夜も庭先きで原住民のグアラニー音楽をききながらのビールはうまく,しかも住民の96.5%がスペイン人と原住民の混血の為1)我々に似ていて心をゆるす。

外国文献

外国文献—専門誌から/外国文献—一般誌から

ページ範囲:P.1116 - P.1120

DERMATOLOGICA 138: 2, 1969
Pustular Psoriasis: M. Gordon, H.H. Pearlstein and C.F. Burgoon 65
The Interrelationships Between Drug Allergy and Allergic Vasculitis of the Skin: V. Aroutyunov 75

〈原著論文抄録〉

先天性魚鱗癬様紅皮症—とくに水疱型と非水疱型との差異について,他

著者: 長島正治

ページ範囲:P.1125 - P.1125

 2カ月男児の水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症ならびに15歳および19歳女子の非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症を報告した。この両型が臨床的・病理組織学的また遣伝学的に異なつた疾患単位であることをのべた。またこの両型を含めた最近における魚鱗癬ないし魚鱗癬様疾患の分類を紹介し,その鑑別点を表示した。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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