文献詳細
原著
炎症性辺縁隆起性白斑について—Vitiligo with inflammatory raised Border
著者: 野崎憲久1 横田徳久1 岡田吉郎1
所属機関: 1名古屋大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.1009 - P.1017
文献概要
通常尋常性白斑は脱色斑のみを主徴とする皮膚疾患で一般には自覚症状を欠如しており,境界明瞭で辺縁部に色素集積がみられることを特徴とするが,自覚的に瘙痒感をもち脱色斑の辺縁に炎症性隆起を伴う特殊な白斑の存在が1928年Freudenthal1)により第3期梅毒患者の腹部に認められ"luetic leucomelanoderma"と記載したのが最初で,その後1948年Garb & Wise2)が現在の名称である"Vitiligo with raised Borders"としたもので,白斑の1臨床型として梅毒には関係のないものと考えられている。
最近までにこの種の白斑例は文献上外国で4例本邦で1例の計5例が報告されているに過ぎず,極めて稀な症例と考えられているようであるが,私共は本学皮膚科外来において最近2年間に本症に該当すると思われるものを4例経験したのでここにまとめて報告し,いささか考察を配することにした。
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