icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科23巻11号

1969年11月発行

雑誌目次

図譜・302

陰茎結核疹

著者: 大滝倫子

ページ範囲:P.1138 - P.1139

患者 70歳,男子
家族歴 妻と2人の子に肺結核の既往歴がある。

図譜・303

水疱性ヨード疹

著者: 木村恭一

ページ範囲:P.1140 - P.1141

患者 42歳女子
初診 昭和43年11月8日

原著

Senear-Usher症候群—自己抗体の観点から考察

著者: 大城晶子

ページ範囲:P.1145 - P.1153

はじめに
 Senear-Usher症候群(以下S-Uと略す)は1921年Ormsbyらが患者供覧した最初の症例も含めて,1926年Senearら1)によつて11例が報告されて,当初,本症が水疱をもつエリテマトーデス(LE)かあるいはLEに似た水疱性疾患であるかその病態について論議された。しかし,1949年最初の報告者であるSenearら2)により,天疱瘡の1つのタイプでありS-Uと呼ぶよりはPemphigus erythematosusの方がふさわしいと結論された。現在ではacantholysisの存在により天疱瘡の異型とされ,なかんづく落葉状天疱瘡の限局型または頓坐型と考える説3)4)が一般的である。しかしながら,近年免疫学的見地からLEとの近縁関係を強調する説5)6)もあり,天疱瘡群およびLEの自己免疫説,また自己免疫疾患のoverlappingという面からも興味深い疾患である。わが国においては欧米にくらべてかなり稀な疾患で,最近の鈴木ら7)の報告によれば大正11年以来48例という。当教室において本症と診断され入院の上精査加療を行なつた症例は昭和29年より,昭和43年までに5例であるが,これらを一括報告するとともに最近の症例に行なつた免疫学的検査所見も報告し,考察を加える。

口腔に限局している尋常性天疱瘡の1例

著者: 滝沢和彦

ページ範囲:P.1155 - P.1160

はじめに
 尋常性天疱瘡がしばしば口腔粘膜に初発し,かなり長期間口腔内に限局することは欧米の文献には記載が多いが本邦での記載は比較的少ない。
 尋常性天疱瘡が口腔に先行限局している場合は皮疹の生じないかぎり診断がときに困難であり,難治性の不明の口内炎もしくは2次的にcandidaが寄生し易いことからcandida性口内炎としてみすごされている場合が多いと思われる。

グラビッツ腫瘍の皮膚転移例

著者: 野村房江

ページ範囲:P.1161 - P.1166

はじめに
 グラビッツ腫瘍において転移を見ることは数多く,その経路は,血行性,淋巴行性および腎被膜・腎盂・尿管・下大静脈に直接浸潤する型が知られている。しかし皮膚に転移することは比較的稀とされている。最近著者はグラビッツ腫瘍の皮膚転移を示した1例を経験したのでここに報告し,本邦における昭和35年から昭和43年までの9年間の文献上に見られる本症の転移巣などにつき若干の統計的観察を行なつたので述べてみたい。

膿瘍性穿掘性頭部毛嚢周囲炎の1例

著者: 山田統正

ページ範囲:P.1167 - P.1171

はじめに
 現在一般に使用されているPerifolliculitis ca-pitis abscedens et suffodiensなる語は1907年Erich Hoffmannおよび1913年Reuteが提唱したものであるが,本邦では太田1)はsuffodie-nsという言葉に対し潜蝕性なる訳語を採り,皆見2)は穿掘性と訳し,現在膿瘍性穿掘性頭部毛嚢周囲炎として諸家が用いている。
 当疾患は慢性難治性膿皮症で,従来より外科的,理学的および保存的に種々の治療法が試みられ,容易に治療効果が上らなかつたが,われわれは保存的療法すなわち抗生物質,副腎皮質ホルモン併用投与を主体とし,これに一部電気焼灼術を加え比較的短期間に軽快せしめたのでここに報告する。

薬剤

シッカニンの抗白癬菌作用

著者: 池田真康 ,   熊谷武夫 ,   荒井邦夫 ,   松原為明 ,   竹内健 ,   柳下邦男

ページ範囲:P.1179 - P.1184

はじめに
 シッカニン(Siccanin)1)(三共株式会社提供)はHelminthosporium siccans Drechslerの培養液から単離された抗生物質で,下記のような構造式をもら,各種白癬菌に対して強力な発育阻止作用を示すといわれる。金沢大学皮膚科において,この物質の抗白癬菌作用を実験的ならびに臨床的に検索した。以下にその成績を述べる。

特集

皮膚科領域における電子顕微鏡的研究−2

著者: 電顕研究会(日本皮膚科学会第19回中部連合地方会電顕研究会)

ページ範囲:P.1194 - P.1248

Epoxy包埋における迅速浸透法について……安部 勝…1195
器官培養人胎児皮膚の電子顕微鏡像—特にビタミン添加による所見—……上田 恵市・他…1199

海外見聞記

ラテンアメリカ便り(7)—パラガイ

著者: 大城戸宗男

ページ範囲:P.1253 - P.1254

 パラガイは人口200万位であるが医科大学は首都アスンシオンに1つあるだけである。もつとも日本の人口を1億として,医科大学約50とするとほぼ同じ比率となる。この国でも勤務医の給料は安く,開業してもうまみが少ないので大学の卒業生はアルゼンチンを初めとした周辺の比較的先進国に流出していく。医者不足の上,好んでジャングルの奥の無医村に入つていく人はいないから,日本の移住事業団が経営している診療所は大もてになる。現在聖母病院産婦人科に勤務されている大森茂氏が現地に居られた時は,その医術が評判となり遠方から原住民が集り,次第に周辺の国々から国境を越えて医治を乞う人が増え,最後には外国人の方が多くなつた位であるという。その為近辺の開業医から恨みを買い,去らざるを得なかつたが帰国に際してパラガイ政府から感謝の勲章を授かつた話は今だに語り草である。
 南アメリカ・ブラストミセス症は文字通り南米に限つているが,それもアンデス山脈の東側,特にブラジル,パラガイ,アルゼンチン,ベネズエラに多い1)。ブラジルはサンパウロ,ミナス・ジェラエス,リオデジャネイロ,グアナバラ等の州に多く,ここらあたりはまた,日本人が移民として多く入り込んだので,ある時期には患者の半数以上が邦人によつて占められたという2)。その罹患し易い理山として細江は2)栄養不良を挙げているが,実際生活状態が改善されると共に患者の減少をみている。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.1250 - P.1252

HERMATOLOGICA138 : 3, 1969
Disc-elektrophoretische Untersuchungen der wasserlöslichen und "strukturellen" Proteine in normaler und psoriatischer Epidermis : A. Krebs, K. Sellei und H. Schaltegger 129
Skin Absorption of Bath Oil : R. Ogura, D.W. Owens and J.M. Knox 144

〈原著論文抄録〉

Senear-Usher症候群—自己抗体の観点からの考察,他

著者: 大城晶子

ページ範囲:P.1255 - P.1255

 1)最近15年間に当教室で経験されたSenear-Usher症候群5例を一括報告した。
 2)それぞれ6カ月から6年間経過観察し,重症筋無力症で死亡した1例をのぞき予後良好であつた。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?