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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科23巻12号

1969年12月発行

雑誌目次

図譜・304

若年性悪性黒色表皮腫

著者: 西久保国雄 ,   木村昭二郎 ,   本郷碩 ,   中村功

ページ範囲:P.1266 - P.1267

患者 22歳男子,学生
初診 44年6月18日

図譜・305

Pearly Penile Papules

著者: 川上登喜子

ページ範囲:P.1268 - P.1271

患者 24歳,男子,会社員
初診 1968年11月

原著

悪性腫瘍に随伴した紅皮症の2例

著者: 宮沢偵二 ,   熊坂鉄郎

ページ範囲:P.1273 - P.1280

はじめに
 われわれは最近相ついで悪性腫瘍(骨髄性白血病,細網肉腫)に随伴して発生した紅皮症2例を経験した。紅皮症の分類は古くて新しい問題である。最近,紅皮症を独立症として考えるより,多元的にあらわれる一種の皮膚症状と解する考え方1)2)に立つて本症を把握しようとする傾向が強い。
 われわれの2症例はまさに上述の考え方を支持する症例である。これらの2症例を報告するとともにこれら症例を基礎にして紅皮症の分類に関する一私見を述べたい。

Erythema elevatum diutinumの1例

著者: 番場秀和 ,   岡本昭二 ,   加藤友衞

ページ範囲:P.1281 - P.1286

はじめに
 1894年CrockerおよびWilliams1)は,四肢ことに関節部伸側に好発する隆起性の慢性紅斑を主徴とする1症例を記載し,その特異な臨床像をとらえてerythema elevatum diutinumなる名称を提唱した。かれらは,すでにHutchinson2)(1878)また,Bury3)(1889)により報告されていた症例もその範疇に入れ,それぞれに若干の臨床的相違点があるものと考えて,その是非は別としてHutchinson型およびBury型なる2型を分けた。しかし,組織学的記載において,現在本症の終末状態であるとされている真皮の線維化のみ強調されていたためにgranuloma annulareとの異同が近年に至るまで永く論ぜられることとなつた4)5)6)。本症の組織像のもうひとつの重要な所見,すなわち真皮上層の多核好中球を主体とする滲出性炎症変化は,Audry7)(1904)またDallaFavera8)(1910)により明らかにされ,現在フィブリノイド変性と見なされているtoxic hyalinなる血管変化の記載は1929年のWeidmanおよびBesancon9)の著述をまたねばならなかつた。諸賢の認めるごとく,1955年のHaber10)の詳細かつ説得力に富む論文の上梓をみて,本症の概念はほぼ確立された。また,いわゆるextracellu-läre Cholesterinoseを本症の1異型とし,またnodular dermal allergideと本症との間に密接な関連をみとめたHerzberg11)(1955)の論文も重要なものである。一方,Duperratら12)(1955)は,最初allergides nodulaires dermiquesに似た臨床所見を示し,のちに定型的なerythemaelevatum diutinumの像を呈した1例を報告して,両者の組織学的類似から同領域の疾患であろうとした。Allen13)またRookおよびWilkin-son14)がその教科書で本症をいわゆるallergicangitisの1型として著述しているように最近では大方の意見がかかる考えに一致しているようである。

汗孔角化症を思わせた扁平苔癬の2例

著者: 中村絹代

ページ範囲:P.1287 - P.1291

はじめに
 扁平苔癬の定型的発疹の報告は非常に多く見出されるが,その特異な形態を呈するものの報告は少ない。
 最近筆者は,昭和37年より昭和42年までのわが教室における扁平苔癬の統計的観察1)においても見られなかつた,一見汗孔角化症を思わしめた稀有な型の扁平苔癬を2例経験したので,ここに扁平苔癬の特異な型の1つとして追加報告する。

抗結核剤(INAH, Ethionamide)によるMultiple itamine Deficiency Stateの1例

著者: 小野公義

ページ範囲:P.1293 - P.1298

はじめに
 Isonicotinic acid hydrazide (以下INAH)によるビタミンB6の欠乏,精神神経症状は,その副作用としてよく知られている。しかし,INAHがニコチン酸誘導体の一種であるためニコチン酸と競合いを生じその結果,ニコチン酸の欠乏を生じ,ペラグラに類似した症候を呈してくる事は,理論としてうなづける事ではあるが,いまだその症例報告が,はなはだ少ないためもあつてあまり知られていない。著者は最近,INAHと,同じくニコチン酸誘導体であるエチオナマイド(ethionamide)によつて生じたペラグラ類似のビタミン欠乏性皮膚疾患を経験したので以下に報告する。

薬剤

皮膚疾患に対するLT−86(Drenison Tape)の使用経験

著者: 高木章好

ページ範囲:P.1305 - P.1309

はじめに
 副腎皮質ホルモン含有軟膏(以後ステロイド軟膏)の外用は,湿疹皮膚炎群,各種炎症性角化症などに広く応用され,塗擦のみでもかなりの効果をあげている。しかしながら,強度の浸潤を伴なう症例においては,その治療に困難を感ずることが多く,この点から近年,プラスチックフィルムを用いた密封包帯法(以後ODT療法)が用いられるようになり,治療期間を短縮できるようになつた。
 他方,ODT療法など各種皮膚疾患の処置後,熱傷および手術創などの創面を被覆する補助材料として布絆創膏をはじめ,紙絆創膏,通気性絆創膏,プラスチック性絆創膏など次々に改良され,接触皮膚炎などの不快な副作用の発現を防止する努力がなされているが,まだ充分とは云えない。

特集

皮膚科領域における電子顕微鏡的研究−3

著者: 日本皮膚科学会第19回中部連合地方会電顕研究会

ページ範囲:P.1314 - P.1314

Acid Phosphatase Activity in Melanosomes……菊池禮子・他…1315
2,3メラニンを有する細胞の電顕的観察……石原和之・他…1321

海外見聞記

ラテンアメリカ便り(8)—ブラジル

著者: 大城戸宗男

ページ範囲:P.1364 - P.1365

 この旅を通して最もショッキングであつたのはブラジルのサンパウロでFogo salvagem隔離病院をみた時のことであろう。
 慶応出身で戦前からブラジルの無医村巡廻診療をされている細江静男先輩の紹介で,サンパウロ大学病院を朝8時に訪れたが主任教授はまだ来ていないとの事。受付けの英語のうまい秘書がその間病院を案内してくれ,最後に皮膚科病棟を訪れた時,廻診中のCampinas大学の皮膚科教授でここの講師のDr.R.M.Castroに会う。この病棟には南アメリカブラストミセス症,皮膚粘膜型リーシュマニア症を初めとした熱帯病患者が多く,是が否でも1日費したいと思つたが,このDr.Cast-roが今からとても面白い所に連れて行つてやるという。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.1369 - P.1371

ARCHIVES OF DERMATOLOGY99: 6, June, 1969
Effect of Antibiotics on the Nasal Flora In Acne Patients: R. R. Marples, J. E. Fulton. J. Leyden and K. J. McGinley 647
Dermal-Epidermal Junction in Lupus Erythematosus: D. L. Tuffanelli, D. Kay and K. Fukuyama 652

〈原著論文抄録〉

悪性腫瘍に随伴した紅皮症の2例,他

著者: 宮沢偵二 ,   熊坂鉄郎

ページ範囲:P.1373 - P.1373

 最近われわれは相ついで悪性腫瘍に随伴した紅皮症の2例を経験した。第1例は亜急性骨髄芽球性白血病,第2例は細網肉腫症である。第1例は形態学的血液検査のみによつて診断した。骨髄性白血病に紅皮症が併発することは稀である。両例ともステロイドおよび制癌剤によつて皮疹および原発疾患はともに軽快したが,その後いづれも鬼籍に入つた。第1例において皮疹軽快時,粟粒大紅色丘疹が観察された。
 紅皮症は一種の皮膚反応であり,急性および慢性紅皮症に分類されるのが妥当である。慢性紅皮症には湿疹,乾癬等に続発して発生するもの,悪性腫瘍に随伴してくるもの等が含まれる。原因不明の慢性紅皮症の中には本症例のごとく悪性腫瘍に随伴することが検査により判明され,このような紅皮症は現在考えられているより,その発生頻度は多いのではないかと考える。

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臨床皮膚科 第23巻 総索引

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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