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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科23巻2号

1969年02月発行

文献概要

原著

膠状稗粒腫—血特に膠状物質の組織化学的性状について

著者: 笹井陽一郎1 斎藤信也1

所属機関: 1東北大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.181 - P.185

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I.緒言
 膠状稗粒腫は,多数の淡黄褐色,半透明な小丘疹が集簇性に生ずるのを特色とする。1866年Wagnerが54歳女性の第1例を報告して以来,既に100例以上の報告をみるが,膠状物質の性状については一致した見解が得られていない。Ferreira-Marquesおよびvan Uden1),Findley2)は本物質を異常弾力線維とみなしたが,Prakken3),Piredda4),そしてAgius5)は膠原線維の変性によるものとした。他方,PercivalおよびDuthie6)は膠状物質は結合組織の変化とは無関係であつて,血液内成分に由来すると考えた。Zoon, JansenおよびHovenkamps7),次いでBeckerおよびWilson8)はペーパークロマトグラフィーを用いて,本膠状物質のアミノ酸組成の定性分析をおこない,膠原線維や弾力線維のアミノ酸組成よりはむしろ血清蛋白質のそれに類似することを述べた。最近,SullivanおよびEllis9),GrahamおよびMarques10)は組織化学的検索の結果から,膠状物質とアミロイド物質が多くの類似点をもつていることを報告した。彼等によると,膠状物質は真皮性線維芽球による異常線維性蛋白質で,コラーゲンともエラスチンとも異なる。そして,この線維性要素が酸性粘液多糖類からなる基質内に包埋されているという。われわれは最近,膠状稗粒腫の1例を経験し,膠状物質の性状について2, 3の組織化学的検索をおこなつたので,その成績を報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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