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原著
Microsporum canisによるKerion Celsiの3例
著者: 白取昭1 嶋崎匡1
所属機関: 1市立札幌病院皮膚科
ページ範囲:P.285 - P.293
文献購入ページに移動近年頭部浅在性白癬は著しく減少し,それに伴なつて深在性白癬であるKerion Celsi (ケルスス禿瘡)も稀有な疾患となつている。特にMi-crosporum canis (以下M.canisと略す)によるものは1952年以来ほとんど影をひそめた感があり,1965年までは1例も報告がない。元来,M.canisは本邦では1934年北海道で高橋1)(信)によつて発見されたもので,その後も臨床報告はすべて北海道内からに限られており,糸状菌としては特異な分布を呈していた。ところがその後は(Kerionのみらなず) M.canis感染症自体次第に減少し,青木ら2)によつて報ぜられた札幌地方を中心とした流行(1952年)以後にはまつたく影をひそめた感があつた。しかるに最近札幌において2,3の施設から再びM.canis感染症が報告されるようになり,Kerion Celsi 7例,毳毛部白癬23例,頭部浅在性白癬2例の計32例が今までに知られている。われわれの外来でもKerionCelsi 3例,毳毛部白癬4例,頭部浅在白癬1例の計8例を経験したが,毳毛部白癬については次の機会にゆずり,今回Kerion Celsiの症例について所見を報告し,あわせて若干の考察を行ないたい。
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