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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科23巻4号

1969年04月発行

雑誌目次

図譜・288

単発性色素性蕁麻疹

著者: 新井亮一

ページ範囲:P.358 - P.359

患者 2歳1カ月,女児。
初診 昭和43年1月25日。

図譜・289

全身性紅斑性狼瘡

著者: 小幡宏子

ページ範囲:P.360 - P.361

患者 20歳,未婚女性。
初診 昭和43年1月19日。

綜説

多発性骨髄腫にみられる皮膚病変について

著者: 小宮勉

ページ範囲:P.365 - P.375

I.緒言
 多発性骨髄腫は形質細胞系の細胞が悪性腫瘍状に増殖する疾患で,別名形質細胞腫とも呼ばれ,古典的・典型的な場合には,骨の破壊と尿中へのベンス・ジョーンズ蛋白の排泄がみられる。古くから類澱粉症との関係についても興味がもたれてきたが,近年はその増殖した形質細胞系細胞が産生する異常な血清蛋白と,免疫グロブリンとの関連性が注目されている。
 かつて我国には非常にまれだと考えられていた本疾患も,最近は決してまれではないことが明らかになつているが,この疾患の多彩な症状のうち皮膚の病変については,我国では注目されることが比較的少なかつたようである。このたび我々は出血性の水疱を主訴とした多発性骨髄腫の1例を経験したので報告し,あわせて文献的考察を加えるとともに,類澱粉症との関係,更に広く異常蛋白血症における皮膚病変について述べてみたい。

原著

Incontinentia pigmenti知見補遺

著者: 伊藤実 ,   玉井定美

ページ範囲:P.377 - P.384

I.Incontinentia pigmenti (I.p.)の発症過程
 I.p.の初発期に発赤腫脹・苔癬様丘疹あるいは帯状疱疹様小水疱形成の病変を前駆することはBloch-Sulzberger1)以来指摘された所で,生下時あるいは生後間もなく発現し,しかも数年で色斑の消褪する経過とともに主要な特徴Prototypeである。しかし成年期まで該色斑の一部を稽留する異例もSulzberger-Fraser-Hutner2)始め数例の報告があり,私3)も26歳女子で経験してI.p.continuaと称うべき亜型と考えている。
 さらに最近私はi)9歳の少女で2年前麻疹様で初発せる例ii)25歳の女子で1カ月前より左側の胸部ならびに上肢屈側に紅斑小丘疹を展開せる例iii)23歳の女子で半年前に右膝膕に苔癬様皮疹を発生し下肢後面において漸次上下に進展した例がそれぞれその後I.p.に一致する色斑に変転せる患者を経験し,その組織学的所見もI.p.典型例と合致したもので,正にI.p. tardaとも称えられるべきものと思推されるが,さらに症状ならびに経過の酷似するLichen striatusについて演繹考究したい。

遺伝性出血性毛細血管拡張症(Osler病)の4例

著者: 西脇宗一 ,   山本達雄 ,   浜田明子 ,   野村益世

ページ範囲:P.385 - P.397

I.はじめに
 遺伝性出血性毛細血管拡張症はOsler病あるいはRender1)—Osler2)—Weber3)病とも呼ばれ,Triasとして,頻回にくり返す鼻出血,皮膚および粘膜の毛細血管拡張,遺伝的発生を主徴とする疾患である。本邦では現在まで21例,20家系が報告されている。本症はあとで述べる如く,内臓諸臓器にも病変がみられ,全身的な血管形成異常性疾患として甚だ興味がある。著者らは典型的な本症の一家系を経験したので報告する。

いわゆる顆粒変性を伴つた列序性角化母斑と先天性掌蹠角化腫について

著者: 長島正治

ページ範囲:P.399 - P.406

I.はじめに
 NikolskyによりAkanthokeratolysisまたLapiereにより顆粒変性17)18)と称された組織学的変化は,水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症(以下b.c.i.e.と略す)の特徴的所見として,今日周知のことである。一方かかる変化が,時として或種角化母斑また掌蹠角化腫に認められることは,古くGassmann7)またVörner20)以来知られており,本邦においてもこの種角化母斑については,桐島29),福代26)の詳細な研究がみられる。しかしながら,b.c.i.e.といわゆる顆粒変性を示すこれら諸疾患相互の組織学的同一性また密接な臨床的関係が指摘されるに至つたのは,比較的近年のことであつて本邦に於ては未だこの点に関し,殆んど注目されていない。
 筆者は当教室に於て,昭和35年以降昭和42年末までに,組織学的に検索し得た列序性疣状母斑9例を経験したが,そのうち3例に角化母斑を認め,しかもその3例全例にいわゆる顆粒変性を証明した。また臨床的に先天性掌蹠角化症と診断された1例にも,偶々同様の組織像を見出すことが出来た。よつて以上の4症例を一括報告し,いわゆる顆粒変性に関する最近の知見を紹介すると共に,b.c.i.e.とこれら諸疾患との関係を考察したいと考える。

Lichen plan post-auriqueの2例

著者: 植木宏明

ページ範囲:P.407 - P.411

I.はじめに
 2次的な,あるいは薬剤による扁平紅色苔癬様皮疹については以前から砒素剤によるものが多く知られているが1〜5),ときとして金剤によるもの6〜12),パラ・アミノ・サルチル酸13),テラマイシン14),ストレプトマイシン15),キニン16),キニジン17),プロカイン18),ハイドロ・クロロサイアザイド19)20),更にはカラーフィルム現像液の接触によるもの21)などが報告されている。
 ところで医療面への金剤の使用は,歯科領域を除いて,しばらく減少していたが,最近になつて,慢性関節リウマチなどで再びその効果的作用や,ステロイドホルモン剤に比べてその副作用の軽微なことから見直され,広く長期間にわたつて応用されるようになつた。

検査法

実験皮膚炎の手技—DNCB皮表感作法を中心にして

著者: 宮沢偵二

ページ範囲:P.423 - P.430

I.はじめに
 動物実験の目的はヒトにおける疾病を動物に再現せしめ尿その疾病の発生病理をみきわめ,適正な治療方法をみいだすことである。この目的を達成するために,動物に疾病を惹起させる方法,惹起され,あらわれた症状がヒトのそれらと共通性を持たねばならない。
 湿疹の発生機序として接触アレルギーが擬せられ,アレルギー性接触皮膚炎の動物実験を通して湿疹の発症病理が多くの人々によつて研究されてきた。本実験の初期から,化学物質をFrennd's adjuvantとともに,または赤血球基質あるいは血清とのconjugateを用い,モルモット足蹠あるいは腹腔内に注射される感作方法が行われて来た。あるいは化学物質のみの注射によつて不自然に人工的に侵襲せしめる方法が行なわれてきた。このやうな方法はヒトにみられる接触皮膚炎の発生経路とは非常にかけはなれた方法である。これらの研究方法が行なわれた所以は接触アレルギーを遅延型アレルギーとして漠然と把握し,接触アレルギーとツベルクリンアレルギーとの明確な区別を持たなかつたところにあるのではないかと考える。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.432 - P.433

THE JOURNAL OF INVESTIGATIVE DERMATOLOGY 51: 3, September, 1968
Measurements of the Thermal Conductivity of the Skin as an Indication of Skin Blood Flow: W.J.B.M. Staak, A.J.M. Brakkee and H.E. Rijke-Herweijer 149
The Pattern of Vascular Leakage Induced by Monochromatic UV Irradiation in Rats, Guinea Pigs and Hairless Mice: R.S. Cotran and M.A. Pathak 155

〈原著論文抄録〉

Incontinentia pigmenti知見補遺,他

著者: 伊藤実 ,   玉井定美

ページ範囲:P.437 - P.437

 Bloch-SulzbergerのIncontinentia pigmentiの典型に対し,私は成年期まで色素斑の稽称するもの(I. P. Continua)を経験し,またネガ像ともいうべきI. P. achromiansを発見した。さらに最近少年期以後に発症する1亜型(I. P. tarda)を観察し,かつLichen striatusなる病変の経過においてI. P. と酷似する色素斑を招来し,やがて消退することを認めた。これらは恐らくMelano-labilなわれわれ黄色人種の皮膚に好発かつ指摘され易いのであろうと推察される。
 その色素斑の特徴たる漆喰ばね様型態即ち対外凹彎に就き組織学的に再吟味し,光学顕微鏡でメラニン顆粒は真皮内に遊離的に散在するものが尠く,概ね真皮表層の毛細血管を囲繞する組織球に貪喰された浅在性のmelanophageであることを認識した。これを電子顕微鏡で追求すると乳頭層の組織球がpseudopodialな突起を表皮基底層直下に派生してメラニン顆粒をactiveに貪喰せるものと想察される所見がよく指摘された。すなわちこの両種の顕微鏡検査より,I. P. は血管運動末梢に職由する先天的あるいは後天的の特殊な病変が基底層に影響し,組織球が動員されて発現するものと推察される。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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