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原著
Incontinentia pigmenti知見補遺
著者: 伊藤実1 玉井定美2
所属機関: 1育森県立中央病院 2弘前大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.377 - P.384
文献購入ページに移動I.p.の初発期に発赤腫脹・苔癬様丘疹あるいは帯状疱疹様小水疱形成の病変を前駆することはBloch-Sulzberger1)以来指摘された所で,生下時あるいは生後間もなく発現し,しかも数年で色斑の消褪する経過とともに主要な特徴Prototypeである。しかし成年期まで該色斑の一部を稽留する異例もSulzberger-Fraser-Hutner2)始め数例の報告があり,私3)も26歳女子で経験してI.p.continuaと称うべき亜型と考えている。
さらに最近私はi)9歳の少女で2年前麻疹様で初発せる例ii)25歳の女子で1カ月前より左側の胸部ならびに上肢屈側に紅斑小丘疹を展開せる例iii)23歳の女子で半年前に右膝膕に苔癬様皮疹を発生し下肢後面において漸次上下に進展した例がそれぞれその後I.p.に一致する色斑に変転せる患者を経験し,その組織学的所見もI.p.典型例と合致したもので,正にI.p. tardaとも称えられるべきものと思推されるが,さらに症状ならびに経過の酷似するLichen striatusについて演繹考究したい。
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