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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科23巻5号

1969年05月発行

雑誌目次

図譜・290

Angioleiomyoma

著者: 溝口昌子

ページ範囲:P.458 - P.459

患者 54歳,男子。
家族歴・既往歴 特記すべきことなし。

図譜・291

毛嚢上皮腫

著者: 近藤湘子

ページ範囲:P.460 - P.461

患者 23歳男子。初診 昭和43年2月10日。
主訴 顔面の小結節。既往歴 特記すべきことなし。

綜説

接触アレルギーの発生機序について

著者: 佐藤和三

ページ範囲:P.465 - P.473

I.接触アレルギー研究の現況
 即時型アレルギーが,抗体蛋白の生化学的研究の進展に伴つて,その抗原抗体反応の機構が急速に解明されて来たのにひきかえ,遅延型アレルギーの代表的反応型であるアレルギー性接触皮膚炎の発生機序に関しては,その研究の歩みはのろく,現在なお多くの謎に包まれた分野と云わなければならぬ。このことは,血清中に抗体を証明できない点もさることながら,発生機序そのものが即時型アレルギーと同列に論じられない複雑さにあることも否定出来ない。
 遅延型アレルギーの共通点として,反応が最高度に達するのは24時間から48時間であること,従来の検索法では血清中に抗体を証明出来ないこと,生きている細網リンパ系細胞が抗体様因子の保有細胞として特異的反応に参画することが挙げられる。従つて,遅延型アレルギーに関しては,抗原抗体反応と表現するよりは,むしろ抗原・抗体様因子反応とか,抗原・リンパ球反応という用語の方が常用される。

原著

狭義後天性特発性血管拡張症—特にAngioma serpiginosum同一説について

著者: 井上勝平 ,   菊池一郎 ,   村上文男

ページ範囲:P.477 - P.485

I.はじめに
 Brocq1),Miescher2)らは臨床形態学的見地からTeleangiektasie(以下Taと略記)をびまん性と限局性(斑状)のものと分類した。しかも先天性の血管母斑をもTaに含めたため,Taの疾患概念に明確さを欠いた(第1表)。Wertheim3)はTaを先天性と後天性に大別,後者をさらに原発性と続発性に分類した。後天性のTaは従来,慢性放射線皮膚炎,色素性乾皮症,Pringle病,酒皶,エリテマトーデス,汎発性鞏皮症,皮膚筋炎,血管性萎縮性多形皮膚症,凍瘡性狼瘡,慢性萎縮性肢端皮膚炎,血友病,色素性蕁麻疹などの種々の皮膚疾患の随伴症状として出現することが知られている。かかる事実に着目してWertheimは後天性の原発性ないし特発性血管拡張症を,他の皮膚症状を前駆もしくは随伴しない毛細血管ないしは細小静脈の進行性に拡張する状態と定義している。
 さてBrocqの記載以来,特発性Taとして報告されている症例の中にはかなり異つた臨床像を示すものがあり,又Miescher2)は特発性Taの診断のもとにまだ充分に分類が出来ない後天性Taが寄せ集められており,その原因に種々なものがあるといえるから,これらの複雑な疾患群を解明するためには各症例の臨床像の詳細な観察が最も大切であろうと述べている。われわれはこの4年間に後天性特発性と思われる3症例を経験したので症例を追加し,併せてangioma serpiginosum,purpura pigmentosa chronicaなどとの関係に言及したい。

Albinoidismにみられる雀卵斑について

著者: 斎藤忠夫 ,   浜田稔夫 ,   長妻堯

ページ範囲:P.487 - P.494

I.緒言
 雀卵斑は普通,肌色の異なつた各個体にみられるが,一般に赤毛,青い眼の人に雀卵斑の程度が強く,色素斑も大きく,しかもこれらの人達の皮膚は紫外線照射に対して感受性が強いことが知られている。一方,髪の毛の黒化度の強い程,雀卵斑の数は少なく,形も小さく,紫外線に対する皮膚の感受性も減少しており,これらの人の眼は一層黒い人が多い1)。日本人でも皮膚色の白い人に多くみられる傾向にあるが,しばしば家族発生も認められ,遺伝的関係のあることが知られている2)3)
 albinismは全身の皮膚,毛髪および眼のメラニン色素の欠如によつて特徴づけられる。その中に,年齢の進むにつれて皮膚,毛髪および眼に少量のメラニン形成がみられるようになり,また紫外線照射によつて皮膚に軽度の点状色素斑が出現して来るincomplete albinismが含まれている4)。それとは別に皮膚や毛髪のメラニン欠如は不完全であり,眼球震盪や羞明などの眼症状はみれらないか軽度に認められ,また年齢の進むにつれてメラニン形成がかなり行なわれるようになるalbinoidismは,紫外線照射を頻回にうけると,露出部などでは皮膚は褐色調を示すようになり,また雀卵斑を来たす場合も多い5)〜7)。普通にみられる雀卵斑は顔面,特に鼻背より両頬部に主として対称的に集簇して出現するのに対し,albinoi-dismにみられる雀卵斑は露出部に出現するものの,特に顔面に限局するというのでなく,また一般に数も少なく,まばらで,間もなく消褪する場合が多く7),幾分臨床像も普通の場合と異なつている。

直腸癌を伴つたBowen病の1例

著者: 小林寿美子

ページ範囲:P.495 - P.499

I.緒言
 1959年Graham & Helwig1)はBowen病と内臓悪性腫瘍との合併についてその因果関係を論じ,以来この両者の関係が注目されるようになつた。本邦においては,上野ら2)によると170例中6例に内臓癌の合併があり,その後さらに2例の報告が3)されている。この8例の内訳は子宮癌4例,胃癌3例,直腸癌1例である。合併内臓癌は,数年遅れて発症することが多いとされている4)。最近経験した直腸癌を伴つたBowen病の1例を報告すると共に,Bowen病と合併する癌臓器について本学病理学教室5)における剖検悪性腫瘍755例の統計的観察を参考にして考察してみたい。

Epithelioma planum cicatricansについて—特に基底細胞腫における実質と間質との関係について

著者: 上野賢一 ,   五十嵐勉 ,   小野莞爾 ,   新村真人

ページ範囲:P.501 - P.509

I.はじめに
 基底細胞腫(以下Bと略す)の分類は,旧くから種々試みられている1)〜11。著者の一人上野は764個のBを観察,これを臨床的に次の如く分類した。
1)結節潰瘍型<結節型219個33.2%潰瘍結節型324 49.1

当教室における扁平紅色苔癬について

著者: 籏野倫 ,   長島正治 ,   三宅一夫 ,   松尾聿朗 ,   川島博 ,   近藤湘子

ページ範囲:P.511 - P.516

I.緒言
 扁平紅色苔癬は比較的稀な疾患であるが,近年,斎藤1)および安田2)が本症の増加傾向をみとめているのに対し,小川ら3)はこの傾向を否定している。われわれは昭和37年より昭和42年までの6年間に当科外来を訪れた扁平紅色苔癬患者について統計的観察およびアンケートによる予後調査を行なつたので,ここにその結果を報告する。

検査法

真菌抗原による検査法—白癬症の沈降反応を中心に

著者: 原田誠一 ,   三浦恒久

ページ範囲:P.521 - P.528

I.緒言
 皮膚科領域における真菌症は,白癬カンジダ症が主なもので,そのほかスポロトリコージス,クロモブラストミコージス等があるが,対象の豊富な点では到底前二者におよばない。白癬,カンジダ症は通常病巣からの菌検出が容易で,また培養も手軽にでき診断的には直接検出法でこと足りる場合が多く,皮膚反応は補助的に,血清反応に至ってはその価値が凡そ実用的に乏しく,動物実験の一部を除いては単に学問的興味に止まるのが現状である。近時,副腎皮質ホルモンと目覚しい抗生物質の普及により治療界は大いに変化したが,同時に,これらの影響から従来みられなかったような型の真菌症が増加しつつあることは否めない。真菌検査が単に形態学に止まるのではなく,さらに血清反応の開発が次第に望まれるゆえんである。
 我々の教室では上述の疾患に対して血清反応中沈降反応について実験を進めているので,まだその臨床的応用には程遠いにしても,血清反応中最も簡単な方法として以下白癬を中心にその成績を述べてみたいと思う。

薬剤

Flumethasone pivalate creamによる皮膚疾患の治験

著者: 井村春光

ページ範囲:P.533 - P.536

I.はじめに
 すでに多くの副腎皮質ホルモン含有軟膏が使用され,それぞれに特徴のある効果をみている。
 今回構造上dexamethasoneのC21位にトリメチールアセテートとC6位にフッ素のついているflumeth-asone pivalate 0.02%含有クリーム(locorten cr-eam)をCIBAより提供され2.3皮膚疾患に用い興味ある成績をみたので報告する。

学会印象記

第68回日本皮膚科学会総会並びに学術大会

著者: 籏野倫

ページ範囲:P.538 - P.540

 第68回日本皮膚科学会総会並びに学術大会は東京慈恵会医科大学土肥淳一郎教授が会頭になり昭和44年4月7日から3日間にわたり東京都港区の東京プリンスホテルに於いて開催された。この頃は雨天がちという気象統計も幸いにはずれて花曇りないし晴天にめぐまれ連日さしもの広い会場が満員の盛況であつた。空気調節下の快適な会場はもとより宿泊,食事,休憩等一切の事が同一場所で足すことができて学会も漸く欧米なみの観がして誠に申し分ない環境であつた。
 学術大会は例によつて宿題報告,国際皮膚科学交換講座,シンポジウム,一般演題,学術展示及びスライド供覧に分けられるが,今年は一般実地医家を対象とした講習会が連日開催されたことと,別個にこの期日を利用して今後の皮膚科教育のあり方に関する座談会がもたれたことが特異であつた。前者は漸く皮膚科専門医の問題がやかましくなつた折柄,又後者は今までの教育法を謙虚に反省して将来の教育のあり方に真剣にとり組んだものであつて誠に意義深いものであつた。学会は概ね午前中の前半が会場に於いて一般演題に,後半が宿題報告,国際交換講座等に,又別会場では講習会が行われ,午後は前半が主として学術展示およびスライド映写に対する討議,後半がシンポジウムに夫々あてられたが一部で時間が少なく討論が十分につくされぬ点がないではなかつたが,総じて時間に余裕があつて活溌な討議をくりひろげることができたことはプログラム編成に対して慎重な配慮の賜と考えられた。以下,みたまま,きいたままの印象を若干の私見をまじえながらお伝えしたい。興味の対象によりかたよりのあることを予めおゆるしを乞う次第である。

海外見聞記

ラテンアメリカ便り(1)

著者: 大城戸宗男

ページ範囲:P.541 - P.542

 アメリカの学生は色々なクラブを作るのが好きで,例えば優等生だけが集つたものは最高に属するであろうし,一方金曜日の夜に魚だけを食べる会の会員になつたと喜んでいる様なふざけたもの迄ある。最近再びアメリカに立寄つた時には大学教授間にまでグループという流行語が生まれていたが,これは秘密めいた傾向があつてここには書かない。それはさておいて,この様なクラブの会員になると仲間意識を発揮するために,指輪や特別な握手を決めているが,見方によつては日本の入墨をする階級の人々とあまり変わらない。
 世の中は広いもので頭のキレル人間もわれわれの目につかずいて,その様な幼稚なことはせず素人のくせに皮膚病の自然経過を熟知していて,それを利用して自分の部落民とすぐ分る様な習慣を持つている所がある。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.543 - P.544

ARCHIVES OF DERMATOLOGY 98: 4, October, 1968
Lichen Amyloidosis and the Nature of Amyloid : E.L. Saltzer, L.G. Cranmer and J.W. Wilson 331
A Uniques Stellate Plant Hair on Human Skin : C.E. Cornelius and W.B. Shelley 336

〈原著論文抄録〉

狭義後天性特発性血管拡張症—特にAngioma serpiginosum同一説について,他

著者: 井上勝平 ,   菊池一郎 ,   村上文男

ページ範囲:P.547 - P.547

 後天性の血管拡張症のなかで,他の皮膚疾患の先駆ないしは合併,全身症状のまつたく認められないものを狭義後天性特発性血管拡張症と規定,その範疇に属する自験症3例を報告するととともに,かかる病型のものはangioma serpiginosum(Hutchinson型)と同一疾患であり,naevus flammeus,angiokeratoma circumscriptum,solitary andmultiple angiokeratomaなどとも発症病理学的に近縁関係にあることを推論した。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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