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綜説
接触アレルギーの発生機序について
著者: 佐藤和三1
所属機関: 1日本大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.465 - P.473
文献購入ページに移動I.接触アレルギー研究の現況
即時型アレルギーが,抗体蛋白の生化学的研究の進展に伴つて,その抗原抗体反応の機構が急速に解明されて来たのにひきかえ,遅延型アレルギーの代表的反応型であるアレルギー性接触皮膚炎の発生機序に関しては,その研究の歩みはのろく,現在なお多くの謎に包まれた分野と云わなければならぬ。このことは,血清中に抗体を証明できない点もさることながら,発生機序そのものが即時型アレルギーと同列に論じられない複雑さにあることも否定出来ない。
遅延型アレルギーの共通点として,反応が最高度に達するのは24時間から48時間であること,従来の検索法では血清中に抗体を証明出来ないこと,生きている細網リンパ系細胞が抗体様因子の保有細胞として特異的反応に参画することが挙げられる。従つて,遅延型アレルギーに関しては,抗原抗体反応と表現するよりは,むしろ抗原・抗体様因子反応とか,抗原・リンパ球反応という用語の方が常用される。
即時型アレルギーが,抗体蛋白の生化学的研究の進展に伴つて,その抗原抗体反応の機構が急速に解明されて来たのにひきかえ,遅延型アレルギーの代表的反応型であるアレルギー性接触皮膚炎の発生機序に関しては,その研究の歩みはのろく,現在なお多くの謎に包まれた分野と云わなければならぬ。このことは,血清中に抗体を証明できない点もさることながら,発生機序そのものが即時型アレルギーと同列に論じられない複雑さにあることも否定出来ない。
遅延型アレルギーの共通点として,反応が最高度に達するのは24時間から48時間であること,従来の検索法では血清中に抗体を証明出来ないこと,生きている細網リンパ系細胞が抗体様因子の保有細胞として特異的反応に参画することが挙げられる。従つて,遅延型アレルギーに関しては,抗原抗体反応と表現するよりは,むしろ抗原・抗体様因子反応とか,抗原・リンパ球反応という用語の方が常用される。
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