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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科23巻5号

1969年05月発行

文献概要

原著

狭義後天性特発性血管拡張症—特にAngioma serpiginosum同一説について

著者: 井上勝平1 菊池一郎1 村上文男1

所属機関: 1熊本大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.477 - P.485

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I.はじめに
 Brocq1),Miescher2)らは臨床形態学的見地からTeleangiektasie(以下Taと略記)をびまん性と限局性(斑状)のものと分類した。しかも先天性の血管母斑をもTaに含めたため,Taの疾患概念に明確さを欠いた(第1表)。Wertheim3)はTaを先天性と後天性に大別,後者をさらに原発性と続発性に分類した。後天性のTaは従来,慢性放射線皮膚炎,色素性乾皮症,Pringle病,酒皶,エリテマトーデス,汎発性鞏皮症,皮膚筋炎,血管性萎縮性多形皮膚症,凍瘡性狼瘡,慢性萎縮性肢端皮膚炎,血友病,色素性蕁麻疹などの種々の皮膚疾患の随伴症状として出現することが知られている。かかる事実に着目してWertheimは後天性の原発性ないし特発性血管拡張症を,他の皮膚症状を前駆もしくは随伴しない毛細血管ないしは細小静脈の進行性に拡張する状態と定義している。
 さてBrocqの記載以来,特発性Taとして報告されている症例の中にはかなり異つた臨床像を示すものがあり,又Miescher2)は特発性Taの診断のもとにまだ充分に分類が出来ない後天性Taが寄せ集められており,その原因に種々なものがあるといえるから,これらの複雑な疾患群を解明するためには各症例の臨床像の詳細な観察が最も大切であろうと述べている。われわれはこの4年間に後天性特発性と思われる3症例を経験したので症例を追加し,併せてangioma serpiginosum,purpura pigmentosa chronicaなどとの関係に言及したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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