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原著
Albinoidismにみられる雀卵斑について
著者: 斎藤忠夫1 浜田稔夫1 長妻堯2
所属機関: 1大阪市立大学医学部皮膚科教室 2長妻医院
ページ範囲:P.487 - P.494
文献購入ページに移動雀卵斑は普通,肌色の異なつた各個体にみられるが,一般に赤毛,青い眼の人に雀卵斑の程度が強く,色素斑も大きく,しかもこれらの人達の皮膚は紫外線照射に対して感受性が強いことが知られている。一方,髪の毛の黒化度の強い程,雀卵斑の数は少なく,形も小さく,紫外線に対する皮膚の感受性も減少しており,これらの人の眼は一層黒い人が多い1)。日本人でも皮膚色の白い人に多くみられる傾向にあるが,しばしば家族発生も認められ,遺伝的関係のあることが知られている2)3)。
albinismは全身の皮膚,毛髪および眼のメラニン色素の欠如によつて特徴づけられる。その中に,年齢の進むにつれて皮膚,毛髪および眼に少量のメラニン形成がみられるようになり,また紫外線照射によつて皮膚に軽度の点状色素斑が出現して来るincomplete albinismが含まれている4)。それとは別に皮膚や毛髪のメラニン欠如は不完全であり,眼球震盪や羞明などの眼症状はみれらないか軽度に認められ,また年齢の進むにつれてメラニン形成がかなり行なわれるようになるalbinoidismは,紫外線照射を頻回にうけると,露出部などでは皮膚は褐色調を示すようになり,また雀卵斑を来たす場合も多い5)〜7)。普通にみられる雀卵斑は顔面,特に鼻背より両頬部に主として対称的に集簇して出現するのに対し,albinoi-dismにみられる雀卵斑は露出部に出現するものの,特に顔面に限局するというのでなく,また一般に数も少なく,まばらで,間もなく消褪する場合が多く7),幾分臨床像も普通の場合と異なつている。
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