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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科23巻7号

1969年07月発行

雑誌目次

図譜・294

慢性潰瘍を疑わしめた悪性黒色腫

著者: 石井敏直 ,   鳥沢寛昌 ,   斎藤義雄

ページ範囲:P.676 - P.677

患者 58歳,農夫。
家族歴 父は胃癌,母は肝臓癌で死亡。

図譜・295

Pachydermoperiostose

著者: 小野莞爾

ページ範囲:P.678 - P.679

患者 26歳,男。家族歴 両親いとこ同志。家族に同症なし。
既往歴 特記すべきことなし。

綜説

Griseofulvinについて

著者: 横田一郎

ページ範囲:P.683 - P.692

I.はじめに
 Griseofulvin (以下Gと略)の発見は抗生物質中penicillinに次いで古く約30年前,すなわち1939年Oxfordら1)によってpenicillium grise-ofulvum dierckxの代謝産物として分離されていたが,その抗真菌作用に注目されたのはさらに遅れ,1946Brianら2)がpenicillium janczew-skiiの代謝産物に2,3の真菌の菌糸を巻き毛状にする作用,いわゆるcurling factorの存在を観察し,翌1947年Grove & Mc Gowan3)によつてこの両物質が化学的に同一であることが証明されてからである。その後同じ物質がpenicilliumnigricans, penicillium urticae, penicilliumraistrickiiなど同じpenicillium属から次々と発見された。
 このようにGの発見は古く,またその抗真菌作用もかなり以前から知られていたが,Gが水に極めて難溶性であることから内服治療剤としての効果は期待されぬとされ,実際に真菌症に治療薬として使用されたのは10年ほど前からである。すなわち1958年Gentles4)はモルモットの実験的白癬にGの内服が有効であつたことを報告し,続いてRiehl5),Williamsら6)が人間の白癖にGを内服使用し著効を呈したことを相次いで報告するにおよんで,その後数多くの基礎的あるいは臨床的研究が発表されるようになつた。

原著

Dubreuilh黒皮症について

著者: 石川謹也

ページ範囲:P.693 - P.698

I.緒言
 Hutchinson1)〜3)(1890)の記載に始まり,次いでDubreuilh4)(1912)の詳細な論文に基づく本症はその後Miescher5)6)(1932,1936)により研究されたが,今日欧米において特に注目されており,その報告多く,又,三島7)〜11)の新しい見解に基づく業績が数多く見られる。一方,本邦においては本症は上野12)(昭和34年)により観察され,次いで久木田13)〜15)(昭和35年)により黒色癌前駆症の名称のもとに報告され,以来その症例が増えつつある16)〜25)
 最近,著者も悪性化像を件なえる本症と思われる1例を経験したので報告する。

黒色癌前駆症より発生した悪性黒色腫の1例

著者: 佐藤昭彦 ,   藤山忠昭

ページ範囲:P.707 - P.713

I.緒言
 悪性黒色腫は色素性母斑,黒色癌前駆症および正常皮膚より発生するが1),このなかで黒色癌前駆症から発展した悪性黒色腫の予後は比較的良好である1)〜6)。しかし黒色癌前駆症がその好発部位である顔面と異つた部位に生じた場合は,悪性黒色腫の発生は急速で予後はかならずしも良好でない7)
 我々がここに報告する症例は56歳の女性で,初診時すでに外陰部に黒色癌前駆症より発生した悪性黒色腫と肺転移巣が認められ,その後急激な経過を辿り脳内転移により死亡した1例である。

麻疹不活化ワクチン接種既往者に発生した異型麻疹の2例

著者: 西脇宗一 ,   山本達雄 ,   浜田明子 ,   川崎憲一

ページ範囲:P.715 - P.720

I.はじめに
 日本では昭和41年はじめから麻疹ワクチンが市販され,これには不活化ワクチン(K)と,弱毒化生ワクチン(L)の2通りがある1)。接種方式は,KL法,KKL法,KKK法,L+γグロブリン法などがあつて,原則的にはKL法がすすめられていたが1),一部の虚弱者では生ワクチンの発熱反応などを懸念して,KKK法が行なわれていた。
 一方,Kワクチンを数回接種したものが数年後自然麻疹に感染する状態におかれると,異型麻疹を生じることは,1965年Rauhら2),Karzonら3),1966年Norrbyら4),1967年Fulginitiら5),Naderら6)によって既に報告され,発疹の状態についてはFulginitiら5),Rauhら2)の報告に記載されている。著者らは昭和43年春,麻疹の流行期に2例の異型麻疹患者を観察した。

Dermatofibrosarcoma protuberans—症例報告

著者: 佐藤吉昭

ページ範囲:P.721 - P.726

I.はじめに
 1924年Darierの報告に始る皮膚結合織性腫瘍の一型Dermatofibrosarcoma protuberansは,比較的稀な疾患であると考えられていたが,最近わが国でも報告が相つぎ,とくにこの2年間で13例を数え,総計40例に達した。われわれの教室でもその1例を経験したので報告する。

組織診断困難な皮膚腫瘍の1例(Histiocytoma ?)

著者: 木村正方 ,   東野有子 ,   中村義弘 ,   大滝正通

ページ範囲:P.727 - P.731

I.はじめに
 私達は最近,29歳,女性の右膝蓋骨外上方皮膚に生じ,組織診断上非常に難解であつた軟部組織腫瘍の1例を経験したので報告する。

顔面血管腫の形成外科的治療

著者: 藤野豊美 ,   山下真彦 ,   橋本和夫

ページ範囲:P.737 - P.745

I.はじめに
 血管腫は,ごくありふれた疾患であり,診断も多くの場合容易であるが,その治療に関しては,放射線照射7)8),凝固剤注入16)あるいは真皮内に色素剤を刺青する14)17)23)など,種々試みられているものの,これらは局在的あるいは組織学的には治癒しても患者の希望である整容という点で,今一歩という段階であり9),時には,治療したことにより醜形を残すことさえある。
 とくに,顔面の血管腫は患者に強い劣等感を与えていることが多い。われわれの外来を訪ずれる患者は,この疾患を自分の身体の一部から取り除くことによつて,劣等感より解放され,新しい自分の人生を踏み出そうとする動機をもつたものが多い。実際に治療した結果においても,この事実は証明されている(症例7)。したがつて,本症は機能的に障害がなくても,形成外科的治療の適応となると考えている。

海外見聞記

ラテンアメリカ便り(3)—ボリビア

著者: 大城戸宗男

ページ範囲:P.748 - P.749

 ボリビアには1832年創立のサンアンドレSan Andrés大学(La Patz)とSucre及びCochabambaに併せて3つの大学があり,毎年合計100名位の医師がでている。高校迄12年の教育を経てから入る医学部は7年制で卒後国家試験がある。次いで1年間の実地修練後開業するが,多くは欧米の如く地区病院とaffil-ateしている。専門医は5年間指定病院でのtrainingを行うと医師会より免状がでるが,南米一般の皮膚科教育等については回を改めて詳述する。
 医療保険としては給料の7.5%を本人が,30%が雇用主が払い込む制度があるが,実際の加入者は総人口の20%に満たない状況である。医師は1日1時間,週に6時間働いて約300ドルの収入を得るから,この制度に賛成する者も多くなつてきている。ここでも薬価が高いが,これは国内に製薬会社が1つしかなく,欧米の会社よりの輸入に頼り過ぎている為とも云われる(Santa Cruz医師会長,Dr.Kuramoto談)。

外国文献

外国文献—専門誌から/外国文献—一般誌から

ページ範囲:P.754 - P.758

THE JOURNAL OF INVESTIGATIVE DERMATOLOGY 51 : 5, November, 1968
The Responses of the Basophil Leucocyte : C. N. D. Cruickshank and K. R. Hayti 324
A Physical and Chemical Study of Sea Nettle Nematocysts and Their Toxin : J. W. Burnett, J. H Stone, L. H. Pierce, D. G. Cargo, E. C. Layne and J. S. Sutton 330

〈原著論文抄録〉

Dubreuilh黒皮症について,他

著者: 石川謹也

ページ範囲:P.761 - P.761

 Hutchinson及びDubreuilhの観察に始まる本症は欧米及び本邦において近年特に注目されている疾患でその名称も未だに統一されていない。
 症例は64歳女子で約25年前より右示指に色素斑を生じ,最近一部腫瘍性となつてきた。組織学的所見と合せて本症より発生した悪性黒色腫と思考した。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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