臨床皮膚科23巻8号

1969年08月発行

原著

全身汎発型環状肉芽腫

著者： 棚橋善郎¹ 秋葉弘¹ 三浦隆¹

所属機関： ¹東北大学医学部皮膚科教室

ページ範囲：P.811 - P.816

文献概要

I．緒言
　1895年Colcott Fox^1）が環状肉芽腫の限局型を初めて記載したが，本症に関しては以後現在に至るまで数多くの症例が報告されている。しかしそれらの報告例のほとんどすべてにおいて皮疹の数は一般に少なく，すなわち本症の汎発型ないし播種型とも云うべき症例については，報告数が極めて少ない。著者らは最近2例の全身汎発型本症を経験した。これらの症例における皮疹は，全身皮膚完膚なきまでに密に散在しており，この点極めて稀な症例であつた。以下にその症例につき述べると共に，全身汎発型環状肉芽腫について文献的考察を試みる。