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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科24巻10号

1970年10月発行

雑誌目次

図譜・324

豪猪状魚鱗癬

著者: 池田重雄 ,   水谷みろみ ,   堀嘉昭

ページ範囲:P.930 - P.931

患者 15歳,未婚女子(初診昭和39年3月)
家族歴 血族結婚なし。同一家系に同病は認められない。

図譜・325

膿疱性乾癬

著者: 北村啓次郎

ページ範囲:P.932 - P.933

患者 22歳,男,会社員 初診 昭和43年2月28日
主訴 全身の紅斑落屑性皮疹および小膿疱局面

原著

限局性鞏皮症の5例と脊柱の変化

著者: 福士堯 ,   平山泰照

ページ範囲:P.937 - P.943

 限局性鞏皮症は,通常,斑状鞏皮症,帯状鞏皮症および線状鞏皮症の3病型に分けられ,その他に特殊な型が知られている1,2,3)。本邦においては,樋口1)によれば,昭和29年までに,102例が報告されており,さらに昭和32年から同44年までの日皮会誌には60余例が報告されており,けつしてまれな疾患とはなし難い。しかし本症の原因に関しては,定説がなく,諸説がなされている1,2,3)
 われわれは,最近,斑状・帯状あわせて5例の本症を経験したが,そのうらの3例において,X線写真上,脊柱の側彎をみ,それぞれの皮疹存在部は,側彎を示す脊柱の位置から発する神経支配域に一致すると解し得たので,2例の参考例とともに報告する。

除草剤による接触性皮膚炎(死亡例)

著者: 渡辺進 ,   渡辺悟

ページ範囲:P.945 - P.949

 最近における農薬の開発はめざましく,そのため農産物は飛躍的に増産をみるようになつた。しかしながら反面,農薬は多くの併害をもたらすようになり大きな社会問題となつてきている。皮膚科領域においても農薬による皮膚炎は今後増加するものと思おれ,したがつてこの方面の知識が皮膚科医にも要求されるようになつてきた。
 最近,われわれは農薬の一種である除草剤の使用後,発熱,倦怠感などの全身症状とともに,四肢,顔,口唇,口腔粘膜などに紅斑,紫斑,血痂などを生じ入院20日後に不幸にして死亡した例を経験したので報告するとともに,改めて農薬使用にさいしての注意を喚起したいと考えるものである。

クロモミコーシスの1例—症例報告と本邦例の集計

著者: 加茂紘一郎 ,   西川武二 ,   原田鍾造

ページ範囲:P.951 - P.962

 クロモミコーシス(Chromomycosis)は,種々の黒色真菌感染により惹起され,主として皮膚および皮下組織に慢性肉芽腫様病変を形成する疾患である。
 われわれの教室ではすでに原田がその1例79)を報告したが,最近第2例を経験しこれをアンフォテリシンBの局注療法によつて治癒せしめ得たので,本邦における本症例を集計検討するとともに若干の考按を試みたい。

SLEの1剖検例

著者: 熊坂鉄郎 ,   宮沢偵二

ページ範囲:P.963 - P.968

 SLEが皮膚のみならず血管,結合織をふくむ全身臓器を,増悪と緩解をくり返しながら,系統的かつ広範にわたつて侵すきわめて重篤な疾患であることはあまねく知られている。本症はKlem-perer1)の提唱以来膠原病2)の代表的疾患とされてきたが,Hargravesら3)のLE現象観察以後病理発生論的な見地よりも,むしろ免疫化学的色彩の強い自己抗体病4)的性格をもつ疾患としてとりあげられてきている。
 本症の治療として,今日では副腎皮質ホルモンの全身療法が諸種の症状をおさえる中心的方法と考えられているが,そのねらいはあくまでも対症療法による延命効果であり,本剤の長期使用による副作用発現をいかに抑制するかが治療上の重要な問題である。また本症のうちでも白血球減少症・貧血などをみる例では死亡率が多く,腎機能障害を伴うものはその予後絶望とされている5)。私どもは,高度の腎障害を有し終極的にはステロイド潰瘍による穿孔性腹膜炎で死亡の剖検例を経験したので報告する。

螢光抗体法による白癬菌およびカンジダ混合感染の証明

著者: 斎藤信也 ,   三浦隆

ページ範囲:P.971 - P.977

 浅在性皮膚真菌症の原因菌としては,白癬菌およびカンジダがそのほとんどを占めている。この場合1種類の菌が皮膚角層に寄生するのが普通であるが,時に同一個体の異なる部位に,2種以上の白癬菌,さらには白癬菌とカンジダが重複して感染することがある。まれではあるが2種以上の菌が同一部位に混合して感染することも認められている。これまで混合感染の証明法としては,単に菌の分離培養によつていたにすぎず,これには避け得ない欠点を伴うものであった。
 今回,白癬菌とカンジダとの混合感染を証明するにあたり,初めて螢光抗体法を応用してみた。その結果,本法により迅速かつ確実に両菌の混合感染を証明することができたので,ここに報告する。

器官培養人胎児皮膚の電子顕微鏡像とくに合成副腎皮質ホルモン添加による所見

著者: 上田恵一 ,   安野洋一 ,   外松茂太郎

ページ範囲:P.979 - P.985

 器官培養人胎児皮膚の電子顕微鏡像については,13週人胎児皮膚を6〜8日間にわたり器官培養したさいの表皮の分化過程を本誌22巻5号1)に,さらに培養液にビタミンAを添加した場合の表皮細胞の所見を本誌23巻11号2)に発表した。今回は前者を対照とし培養液中に合成副腎皮質ホルモンを添加した場合の器官培養人胎児皮膚の所見を,後者とも比較検討した結果につき報告する。

列序性母斑上に限局発生した乾癬

著者: 須貝哲郎 ,   下峠雅史 ,   斎藤忠夫

ページ範囲:P.987 - P.992

 乾癬の活動期に,ささいな皮膚外傷,絆創膏貼布,レントゲン照射,注射などの機械的,化学的ないし化学線性刺激,あるいは他の炎症性皮膚疾患に続発して,同じ部位に乾癬皮疹を生ずることは,古くからKöbner疹1)またはKöbner現象2,3)としてよく知られている。他方,各種瘢痕,熱傷とくに灸の瘢痕ヒに乾癬皮疹が好発し,治療に抵抗することもしばしば経験される。かかる瘢痕と乾癬皮疹との密接な関係は持続性Köbner現象として,Köbner現象と同様な条件が瘢痕組織において持続するのであろうと解釈されているようである3)
 著者らはたまたま右半側の広汎な列序性母斑を有する症例において,乾癬皮疹が母斑上にのみ限局して,出没を繰り返すという興味ある所見を経験したので,ここに報告するとともに,Köbner現象との関連性について若干の考えを述べる。

皮膚科学の流れ 人と業績・10

Jean Louis Marc Alibert

著者: 高橋吉定

ページ範囲:P.998 - P.1000

 近代科学的皮膚科学はまずイギリスにおいてWillanによつてはじめられ,そのあとを継いだイギリス学派は,19世紀半ばに近づくや,衰勢に陥つたことを前回までに述べた。ヨーロッパにおいてそれぞれ独立した学派を形成したものには,イギリス人のほかに,フランス人とドイツ人とがある。この3者がどういう立場で皮膚科学を興したか。これについては土肥慶蔵先生1)が次のように記している。"英,仏,独の3国民は近世科学の建設者にして,其史跡よりすれば,英人先ず唱へて,仏人之に和し,独之を行ひたりと謂ふを得べく,其国民性より観れば,英人は沈毅にして,其学問は実際より入りて,学理之に従ひ,仏人は聡明にして,其学問は学理より出でて,実地に入れり。而して両者の間に立ち,其短を捨て長を取り,之を大成したる者は即ち重厚なる独人なり。医学既に然り,殊に皮膚科学に於て最も然るを認む"。
 ここにおいて,わたしは目をイギリスからフランスに転じようと思う。イギリスのWillanよりややおくれて世に出て,のち世界に覇を唱えるに至つた皮膚科学フランス学派を創始したのは,Jean Louis MarcAlibertであつた。土肥先生の記述2)によると,Alibertの皮膚科学における業績の大要は次のようである。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.1001 - P.1002

ACTA DERMATO-VENEREOLOGICA50 : 1, 1970
Remarkable Cytoplasmic Structures in Mast Cells of Urticaria Pigmentosa : T. Kobayashi and G. Asboe-Hansen 3
Ultrastructure of Scobutic Human Skin : K. Hashimoto, A. E. Kitabchi, W. C. Duckworth and N. Robinson 9

〈原著論文抄録〉

限局性鞏皮症の5例と脊柱の変化,他

著者: 福士堯 ,   平山泰照

ページ範囲:P.1005 - P.1005

 限局性鞏皮症の5例中3例にレ線学的に,1例に肉眼的に脊椎の側彎がみられた。これらの皮疹存在部位は側彎の存する脊椎からの脊髄神経の皮膚節に一致した。他の1例は腰部を強打後,下腹部左側から左下股伸側に発疹を生じたものである。発汗試験,ヒスタミン試験は病巣部で減弱し,組織学的に均質化した膠原線維および基底膜のPAS陽性反応を認めた。
 発症病理の1因として脊柱の変形による外力の影響が関与するように思われた。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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