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文献概要
原著
SLEの1剖検例
著者: 熊坂鉄郎1 宮沢偵二1
所属機関: 1仙台逓信病院皮膚科
ページ範囲:P.963 - P.968
文献購入ページに移動 SLEが皮膚のみならず血管,結合織をふくむ全身臓器を,増悪と緩解をくり返しながら,系統的かつ広範にわたつて侵すきわめて重篤な疾患であることはあまねく知られている。本症はKlem-perer1)の提唱以来膠原病2)の代表的疾患とされてきたが,Hargravesら3)のLE現象観察以後病理発生論的な見地よりも,むしろ免疫化学的色彩の強い自己抗体病4)的性格をもつ疾患としてとりあげられてきている。
本症の治療として,今日では副腎皮質ホルモンの全身療法が諸種の症状をおさえる中心的方法と考えられているが,そのねらいはあくまでも対症療法による延命効果であり,本剤の長期使用による副作用発現をいかに抑制するかが治療上の重要な問題である。また本症のうちでも白血球減少症・貧血などをみる例では死亡率が多く,腎機能障害を伴うものはその予後絶望とされている5)。私どもは,高度の腎障害を有し終極的にはステロイド潰瘍による穿孔性腹膜炎で死亡の剖検例を経験したので報告する。
本症の治療として,今日では副腎皮質ホルモンの全身療法が諸種の症状をおさえる中心的方法と考えられているが,そのねらいはあくまでも対症療法による延命効果であり,本剤の長期使用による副作用発現をいかに抑制するかが治療上の重要な問題である。また本症のうちでも白血球減少症・貧血などをみる例では死亡率が多く,腎機能障害を伴うものはその予後絶望とされている5)。私どもは,高度の腎障害を有し終極的にはステロイド潰瘍による穿孔性腹膜炎で死亡の剖検例を経験したので報告する。
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