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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科24巻11号

1970年11月発行

雑誌目次

図譜・326

Subcorneal pustular dermatosis

著者: 番場秀和 ,   内海滉

ページ範囲:P.1026 - P.1027

患者 65歳,主婦
初診 昭和41年6月11日

図譜・327

Creeping Diseaseの1例

著者: 村上文男

ページ範囲:P.1028 - P.1029

患者 62歳,♀,主婦,八代市在住
初診 昭和43年9月9日

原著

Epidermolysis Bullosa Hereditaria Letalis(Herlitz)—症例報告

著者: 熊谷武夫 ,   長井忠 ,   石崎宏 ,   小西喜朗 ,   江上三義 ,   荒井邦夫 ,   佐藤保 ,   毎田武夫 ,   岩口力男

ページ範囲:P.1033 - P.1042

 Epidermolysis bullosa hereditaria letalis1)(以下E. letalisと略)については,われわれ2)は前に1例を報告した。ここでは,その後に観察した本症の1例および類似例(1例)を述べ,若干の考察を加える。

原発性皮膚クリプトコックス症

著者: 三浦隆 ,   秋葉弘 ,   斎藤信也

ページ範囲:P.1043 - P.1048

 従来クリプトコックス症としては髄膜炎の形で発症する場合が多いとされていたが,近年肺,肝,脾,腎,リンパ腺,などという各臓器の罹患例の報告もかなり散見される。もつとも他臓器に比し本症が皮膚に発症したという例はなお依然として少ない。しかもこれまでの皮膚クリプトコックス症症例のうちには,皮膚以外の病巣からの全身播種の1部として皮膚に発症した例,すなわち続発性皮膚クリプトコックス症と考えられる症例が多く,原発性皮膚クリプトコックス症はきわめて少ない。
 今回われわれは顔面に原発した皮膚クリプトコックス症の1例を経験した。本例は臨床的に特異な皮膚形態を示し,臨床像のみからでは本症の診断を下すことは不可能であつた。

Lichen sclerosus et atrophicus

著者: 本間真

ページ範囲:P.1051 - P.1057

 Lichen sclerosus et atrophicusは比較的まれな疾患ではあるが,その臨床像に特異な所見を有するにかかわらず,1887年のHallopeau1)の最初の報告以来その独立性に関して種々論議がなされ,ことに扁平苔癬あるいはMorpheaとの異同については臨床像,主として組織学的所見を中心に数多の記載がある。しかしKogoj2)らによつて扁平苔癬から分離され,Montgornery & Hi-ll3),Miescher4)らの臨床的組織学的検索から本症の独立性が支持され,以後独立疾患とするものが多く本症の概念はほぼ明瞭になつてきている。しかし初期像に関してはいまだ意見の一致をみない点が少なくないようである。
 一方,本邦においては小堀ら5)の報告以来,相次いで症例追加がなされ10例あまりが数えられ,本症の臨床像はようやく明確にされてきた。最近,舌変化を伴い全身に対側性に皮疹の発生をみた本症の1例を経験し,初期像ならびに組織化学的に2・3検討を加えたので報告する。

Purpura hyperglobulinemicaの1例

著者: 中西綾子 ,   水野信行 ,   小栗隆 ,   松橋直 ,   臼井美津子

ページ範囲:P.1059 - P.1066

 1943年にWaldenström1,2)はhyperglobulin-emiaに伴う慢性で再発性の紫斑症を報告し,purpura hyperglobulinemicaとよんだ。その後本症については現在までアメリカ,ヨーロッパで数多くの症例が報告されている。本邦では1959年三好3)の発表以来現在まで22例に過ぎない4)
 著者らは臨床的に両下腿のlivedo reticularisと紫斑とを主訴とし,高グロブリン血症を伴う1例を経験した。この例はmacroglobulinの増加がなく,臨床検査で骨髄腫の所見を欠如していた。

螢光抗体法によるいわゆる自己免疫性皮膚疾患の観察

著者: 西川武二 ,   清水夏江

ページ範囲:P.1071 - P.1076

 Beutnerら1,2)により尋常性天疱瘡患者血清中に表皮有棘細胞間物質に対する抗体が存在すること,また皮疹部のγ-グロブリンの沈着の事実が螢光抗体法の導入によつて明らかにされて以来,その病因本態を解明するまでには至らないにしても天疱瘡群2),水疱性類天疱瘡3,4),Duhring疱疹状皮膚炎5)などにおける自己免疫現象の関与が相次いで見いだされて注目を浴びるところとなってきた。また,主として内科領域でその自己免疫現象が追求されている全身性紅斑性狼瘡においても皮膚科的には皮膚発疹部あるいは無疹部のγ—グロブリン沈着の存在が患者血清中の抗核抗体とともに補助診断の1つとしてあげられている6,7)。このようないわゆる自己免疫性疾患の病因あるいは診断面での急速な発展はCoons & Kaplan8)により確立された螢光抗体法の導入によるところがきわめて大きい。
 われわれは当科で経験した天疱瘡群,水疱性類天疱瘡を中心としたいわゆる自己免疫性皮膚疾患々者の血清中に存在する自己抗体を螢光抗体法を用いて検索した。同時にそのうちの若干の症例については皮疹部に沈着するγ-グロブリン(IgG)をも検索したので報告し,本領域における最近の研究とあわせて,螢光抗体法の応用が皮膚科診断学の一助として,また,経過を観察する上にも有用であることを紹介したい。

Recurrent Neutrophilic Dermatosis:Variant form of Sweet's syndrome

著者: 桑原宏始 ,   吉永愛子 ,   小野友道

ページ範囲:P.1077 - P.1083

 1964年Sweet1)は発熱,白血球増多を伴い,多型紅斑様疼痛性発疹を有する8例を経験,その臨床像および組織像からAcute Febrile Neutrop-hilic Dermatosisと命名報告したが,翌年Fuld2)は本症が単に個体の細菌あるいは化学物質に対する感受性の相違によるもので,改めてclinicalentityを認める必要はないと反論した。
 しかし1968年Crowら3)が3例を追加,詳細に検討した。またSweet2)自身もその後4例を追加,さらに1968年Whittleら4)はその異型と考えられる2例を経験,その独特な臨床像と組織所見からRecurrent Neutrophylic Dermatosisと仮称,上記Sweet's syndromeを1つの独立疾患でWhittleら4)の症例はそのvariant formであるとした。最近筆者らは顔面に再発性に発生したUlerythema sycosiforme様発疹をきたした18歳,女子例を経験,その臨床,組織所見ともにWhittleら4)の報告した症例にきわめて類似していることから表記の病名で,報告したので,この機会にSweet's syndromeを紹介し,あわせて2,3他の類似疾患との鑑別をしてみたい。

Sézary Syndrome知見補遺—ブレオマイシンの奏効した本症候群の1例

著者: 重松正雄 ,   島田光義 ,   武田克之

ページ範囲:P.1085 - P.1094

 Sézary & Bouvrain1)は1938年,紅皮症性皮膚細網症のうち,異型単球様細胞"cellules mon-streuses"の末梢血出現と皮膚浸潤を特微とする病変を菌状息肉腫の近縁疾患と考えながらもその独立性を主張して,"Erythrodermie avec pré-sence de cellules monstrueuses dans le dermeet le sang circulant"の表題で1例を報告した。その後Sézaryは1949年までに類似症例2例2,3)を追加したが,これとは別にBaccaredda4)は1939年,"reticulohistiocytosis cutanea hy-perplastica benignacum melanodermia"と題して,紅皮症と色素異常を伴い,末梢血中に異型細胞の出現がめだつ症例を報告している。さらにSézaryの名にちなんでSézary's reticulosis5)6),Sézary's syndrome7〜11)のほかmalignantreticulemic erythroderma,malignant leuke-mic reticuloendotheliosis11)として今日までに欧米で30余1〜21)の類似症例が報告されている。本邦では斎藤ら(1965)22),自験例(1967)23),笹岡ら(1967)24),正木ら(1968)25),鈴木ら(1969)26)の報告があり,最近では笹岡ら30)が総説し,正木ら31)は1剖検例を詳細に記載している。
 今回,われわれは4年余にわたつて長期観察し,しかもブレオマイシンが劇的に奏効した自験例の臨床経過を詳細に記載し,本症候群の独立性の問題について私見を述べてみたい。

縦線状爪甲白斑の2例とくに他種爪甲白斑との差異

著者: 東禹彦 ,   池上隆彦 ,   須貝哲郎

ページ範囲:P.1095 - P.1102

 爪甲に白色線条が縦走する爪甲白斑はきわめてまれなもので,1925年にSiemens1)が,1935年にLombardo2)が報告した以外には文献的には記載がなく,爪疾患を扱つた教本3,4)にも記載がない。最近著者らは爪甲に白色線条が縦走する爪甲白斑を2例経験したので報告し,爪甲白斑の組織学的所見について若干の考察を加える。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.1104 - P.1105

DER HAUTARZT 21 : 5, 1970
Indikationen und Technik der operativ-plastischen Behandlung des Haarverlustes : H.C. Friederich 197
Über die Bedeutung des sogenannten Antilymphocyten-Serums : G. Brehm und H. Pulvermacher 202

〈原著論文抄録〉

Epidermolysis Bullosa Hereditaria Letalis(Herlitz)—症例報告,他

著者: 熊谷武夫 ,   長井忠 ,   石崎宏 ,   小西喜朗 ,   江上三義 ,   荒井邦夫 ,   佐藤保 ,   毎田武夫 ,   岩口力男

ページ範囲:P.1107 - P.1107

 Epidermolysis bullosa hereditaria letalis(Herlitz)の症状を持つて生まれた2例を記述した。これら2例にほぼ同様の看護と治療を加えたところ,1例は4歳6カ月まで生存したが,他は生後6カ月で死亡した。水疱部における基底膜の所在については,比較的長期生存例ではそれが光顕的には主として表皮側に,電顕的には表皮側にのみみられたが,6カ月で死亡した例ではそれが光顕的に真皮側にのみ認められた。以上から比較的長期生存例をEpidermolysis bullosa hereditariadystrophica et polydysplastica,6カ月で死亡した例をEpidermolysisbullosa hereditaria letalisと最終的に診断した。なおE.letalisの既報告例および金沢大学皮膚科において観察された他の9例についても,水疱部における基底膜の所在を改めて検索し,その成績を述べた。さらに本症における水疱形成部位,予後などについて若干の文献的考察を加えた。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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