原著
Sézary Syndrome知見補遺—ブレオマイシンの奏効した本症候群の1例
著者:
重松正雄1
島田光義1
武田克之1
所属機関:
1徳島大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.1085 - P.1094
文献購入ページに移動
Sézary & Bouvrain1)は1938年,紅皮症性皮膚細網症のうち,異型単球様細胞"cellules mon-streuses"の末梢血出現と皮膚浸潤を特微とする病変を菌状息肉腫の近縁疾患と考えながらもその独立性を主張して,"Erythrodermie avec pré-sence de cellules monstrueuses dans le dermeet le sang circulant"の表題で1例を報告した。その後Sézaryは1949年までに類似症例2例2,3)を追加したが,これとは別にBaccaredda4)は1939年,"reticulohistiocytosis cutanea hy-perplastica benignacum melanodermia"と題して,紅皮症と色素異常を伴い,末梢血中に異型細胞の出現がめだつ症例を報告している。さらにSézaryの名にちなんでSézary's reticulosis5)6),Sézary's syndrome7〜11)のほかmalignantreticulemic erythroderma,malignant leuke-mic reticuloendotheliosis11)として今日までに欧米で30余1〜21)の類似症例が報告されている。本邦では斎藤ら(1965)22),自験例(1967)23),笹岡ら(1967)24),正木ら(1968)25),鈴木ら(1969)26)の報告があり,最近では笹岡ら30)が総説し,正木ら31)は1剖検例を詳細に記載している。
今回,われわれは4年余にわたつて長期観察し,しかもブレオマイシンが劇的に奏効した自験例の臨床経過を詳細に記載し,本症候群の独立性の問題について私見を述べてみたい。