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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科24巻12号

1970年12月発行

雑誌目次

図譜・328

結核様癩

著者: 林紀孝 ,   大野忠義

ページ範囲:P.1130 - P.1131

患者 20歳の男子,昭和44年1月沖繩宮古島より上京
初診 昭和45年1月12日

図譜・329

Syringocystadenoma papilliferum

著者: 杉山伸三

ページ範囲:P.1132 - P.1133

21歳,男子。昭和45年4月23日初診
現病歴 幼少時より右眼瞼下部に米粒大の血紅色の腫瘍に気づく。はじめ数年間はきわめて徐々に大きくなつた。最近ほとんど増大の傾向はないが,容易に出血しやすく,時々痛みを訴之る。

検査法

細胞内顆粒分離法—表皮細胞への応用

著者: 大城戸宗男 ,   松尾聿朗 ,   花岡宏和

ページ範囲:P.1137 - P.1143

 1949年,Paulingによつて鎌形赤血球はグロビン蛋白の構造異常によるという発見があつて,いわゆる分子レベルにおける研究がさかんになり,近年に至つては分子病molecular diseaseなる概念さえあらわれてきた。アミノ酸尿症群,ポルフィリンやビリルビン,グリコーゲンなどの代謝異常など,ふくまれる疾患数も多く,1冊の教本となつているくらいである1)。その代謝異常を調べるさい,分子生物学的には,たとえばグロビン蛋白の構造決定が主眼となるが,その変異遺伝物質を対象とすれば染色体の異常とのみでかたずけず,DNAを目標とした核やグロビン蛋白合成部位としてのribosomeの検討の必要性がでてくる。一方,これらの細胞内顆粒cellular or-ganelles,subcellular particlesの追求によつて,それまで見のがされていた新らしい分子病が発見される。骨格筋のmitochondriaの異常のため発生する酸化的リン酸化coupling異常症,me-gaconical myopathy,pleoconical myopathyさらにはmitochondrial myopathyなどの疾患群はその例である。
 かかる分子病なる特殊な概念に対してのみに限らず,今日では種々の組織の機能や免疫などの反応まで細胞内顆粒のレベルでの研究は広がつている。

原著

色素性蕁麻疹とくにその電顕的観察

著者: 桑原宏始 ,   緒方明詔 ,   中村作恵子

ページ範囲:P.1149 - P.1155

 肥胖細胞の微細構造についてすでにOrfanosu.Stütgen1),Hashimoto et al2,3),堀木4),森安5),Combs6)の報告がある。これら諸家の報告で顆粒内微細構造はほぼ明らかにされているが,顆粒内微細構造と顆粒形成過程との相関関係,顆粒の形成部位,顆粒とlysosomeとの関係などなお未知の問題がある。また色素性蕁麻疹の幼児型(Unna型)と成人型(Rona型)とは組織学的に相違するが,電顕的にいかなる相違がみられるか興味あるところである。
 筆者らは最近,幼児型2例,成人型1例の色素性蕁麻疹について電顕的観察を行なう機会を得たので,その結果を記載し,2,3検討を加えたので,ここに報告する。

乾癬に対する5-FU軟膏のODT療法

著者: 辻卓夫

ページ範囲:P.1157 - P.1163

 乾癬の治療法の1つとして,近年抗腫瘍剤すなわちaminopterin1,2),methotrexate3)などの葉酸拮抗剤やmercaptopurine4),5-fluorouracil3)(5-FU),triacetyl azauridine5)(TA-AZUR)などの核酸拮抗剤の全身療法が行なわれ,その有効性が認められてきた。作用機序としてかかる物質は主として核酸合成機転に働き,表皮細胞に対する再生抑制作用を持つためとされている。しかしこれらの全身投与による白血球減少,口腔内粘膜潰瘍,出血,各種臓器障害などの副作用もまた見のがせない大きな問題となつている。
 最近Kleinら6)は各種皮膚腫瘍に対して5-fluorouracil(以後5-FUと略す)軟膏の閉鎖密封療法(以後ODT療法と略す)を開発したが,この方法は腫瘍組織のみが選択的に破壊され,かつ上記副作用もみられないことより,皮膚腫瘍の治療学上の新分野をひらいた感を与える。

DNCB反応について

著者: 田久保浩

ページ範囲:P.1165 - P.1169

 免疫現象は生体が非自己因子より防禦され,健康な状態を常に保つ上に必要欠くべからざる現象である。この免疫現象は現在体液性免疫と細胞性免疫に分けて考えられている。前者は生体内にある血清を主とした体液中の非特異的および特異的因子による反応であり,後者はリンパ球・単核細胞が主として作用する反応である。近年前者における研究発表は著しく,特異抗体は化学的にγ-グロブリンにあること,さらにこれらはいくつかの免疫グロブリンよりなることなどが証明され,臨床例での応用も簡便となつている。一方後者における研究は主役細胞の検討が不十分であつたり,その収集が困難であること,また試験管内にみる簡便な検査法が開発されていないなどの理由から臨床応用にはまだ至つていない。この細胞性免疫機構の破綻は,患者治療の上で種々の難治性感染症(ことに結核および深在性真菌症)の発生を招きやすく,また疾患本態解明の大きな手がかりともなりうることから今後の研究が期待される。
 さて著者らはこの細胞免疫能を遅延型アレルギー反応から推測しうるとの考えで,従来主として臨床例に基づく成績を検討報告してきた1,2,3)。すなわち感染アレルギー・接触アレルギーおよび同種移植拒否反応の3種の遅延型アレルギー反応を,ツベルクリン反応(以下ツ反応と略),DNCB反応および皮膚移植拒否反応にて観察したのである。これらの検査は試験管内の検査と異なり,患者自身の皮膚をとおして観察するのであつてみれば如実に免疫性を測りうるものと考える。これら3種のうちツ反応は最も簡便であり,今日日常診療の上でも細胞免疫能検索に利用されているが,近年自然陽転者が減少するためか信憑性にとぼしくなつてきており,また細胞性因子以外の関与するとの意見も聞く。同種皮膚移植については反応自体の検討も不十分であるうえ,手技観察がやつかいで実用化にほど遠く,DNCB反応検査の標準化が急がれるわけである。著者は数年にわたり本反応の実用化を目指し検討してきたが,正常人群臨床例群間に有意の差を認めほぼ標準化し得たのではないかと思われるので述べてみたい。

Nodular Vasculitis様所見を示した子宮癌の皮膚転移の1例

著者: 最上晋 ,   高野敦

ページ範囲:P.1171 - P.1175

 さきに境1)は臨床的にherpes zoster様外観を示した膵臓癌の皮膚転移例を報告したが,今回nodular vasculitis様皮膚所見を呈し,組織学的に基底細胞癌の像を示した子宮頸癌の皮膚転移例を経験したので報告する。

癜風の統計的観察,とくにウッド燈による罹患部位の検索と二硫化セレンの外用療法について

著者: 三浦隆 ,   牧野好夫 ,   斎藤信也

ページ範囲:P.1177 - P.1183

 今回われわれは,昭和32年5月から同45年6月までの13年間に東北大学医学部皮膚科外来を訪れた癜風症例を集計し,その臨床像を統計的に観察した。特に昭和43年以降の症例においては,ウッド燈による皮疹の発見法に重点をおいて検索し,本症の好発部位などに検討を加えた。また本症の治療として,本邦においては初めての二硫化セレンの外用療法を試みた。以上の検索結果から2,3の興味ある新知見がえられたので,以下報告する。

絆創膏皮膚炎の一考察

著者: 鳴海淳郎

ページ範囲:P.1185 - P.1188

 絆創膏皮膚炎に関する研究はすでにかなりなされており,欧米におけるPeck et al.1),Russellet al.2)の論文をはじめとして,わが国でも小堀ら3)についで最近ではとくに姉小路4,5)の詳細な報告がみられるが,まだ少し研究の余地が残されているように思われる。
 著者は日常の診療においてしばしばパッチテストをする機会があるが,そのさい同一人に同じ絆創膏を貼つても,部分的にかぶれたりかぶれなかつたりすることをよく経験する(第1図)。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.1197 - P.1198

BRITISH JOURNAL OF DERMATOLOGY 82 : 4, 1970
Some Clinical and Fundamental Aspects of Erythropoietic Protoporphyria: D. Suurmond, J. van Steveninck and L. N. Went 323
Fabry's Disease in Children: W. P. de Groot 329

〈原著論文抄録〉

色素性蕁麻疹—特にその電顕的観察,他

著者: 桑原宏始 ,   緒方明詔 ,   中村作恵子

ページ範囲:P.1201 - P.1201

 Jadasshon-Rona型1例,Unna型2例計3例の色素性蕁麻疹を経験,皮疹の電顕的観察を行ない,肥胖細胞とくに細胞内顆粒の微細構造,顆粒の形成過程,成人型と幼児型の異同について2〜3考察した。特に顆粒の形成についてはGolgi装置より形成される過程とlysosomeの形成と同一形成過程を想定した。成人型と幼児型の異同については前者に結晶状構造をもつ顆粒を見いだしえず,後者では正常人肥胖細胞と同様結晶状構造の顆粒にしばしば遭遇できたことである。しかしこの点については今後さらに検索の必要あることを述べた。

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臨床皮膚科 第24巻 総索引

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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