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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科24巻12号

1970年12月発行

文献概要

検査法

細胞内顆粒分離法—表皮細胞への応用

著者: 大城戸宗男1 松尾聿朗2 花岡宏和3

所属機関: 1名古屋市立大学医学部皮膚科教室 2慶応義塾大学医学部皮膚科教室 3横浜警友病院皮膚科

ページ範囲:P.1137 - P.1143

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 1949年,Paulingによつて鎌形赤血球はグロビン蛋白の構造異常によるという発見があつて,いわゆる分子レベルにおける研究がさかんになり,近年に至つては分子病molecular diseaseなる概念さえあらわれてきた。アミノ酸尿症群,ポルフィリンやビリルビン,グリコーゲンなどの代謝異常など,ふくまれる疾患数も多く,1冊の教本となつているくらいである1)。その代謝異常を調べるさい,分子生物学的には,たとえばグロビン蛋白の構造決定が主眼となるが,その変異遺伝物質を対象とすれば染色体の異常とのみでかたずけず,DNAを目標とした核やグロビン蛋白合成部位としてのribosomeの検討の必要性がでてくる。一方,これらの細胞内顆粒cellular or-ganelles,subcellular particlesの追求によつて,それまで見のがされていた新らしい分子病が発見される。骨格筋のmitochondriaの異常のため発生する酸化的リン酸化coupling異常症,me-gaconical myopathy,pleoconical myopathyさらにはmitochondrial myopathyなどの疾患群はその例である。
 かかる分子病なる特殊な概念に対してのみに限らず,今日では種々の組織の機能や免疫などの反応まで細胞内顆粒のレベルでの研究は広がつている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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