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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科24巻4号

1970年04月発行

雑誌目次

図譜・312

Necrobiosis lipoidica

著者: 北村啓次郎

ページ範囲:P.320 - P.321

患者 31歳,♀,主婦 初診 昭和44年7月23日
主訴 左下腿伸側の紅斑性局面。既往歴 糖尿病,外傷の既往なし。

図譜・313

Naevus naevocellularis partim lipomatodes

著者: 永井智子

ページ範囲:P.322 - P.325

〔症例1〕32才,女性
現病歴 約10年前より鼻根部右側に自覚症を欠く小腫瘤のあるのに気付いていたという。

綜説

サルコイドージスの免疫学

著者: 河合忠

ページ範囲:P.327 - P.334

はじめに
 1969年にJ.Hutchinsonが第1例を報告してからすでに100年を経過するが,サルコイドージスの病因は未だ不明である。しかしサルコイドージス患者が奇妙な免疫異常を示すことが判明し漸く本邦においても注目を浴びている。しかも,近年結核患者の激減によりサルコイドージスも肺病変の鑑別診断上頓に一般臨床医にとつても重要な疾患の1つになりつつある。本邦では1960年サルコイドージス臨時疫学調査班が発足し,現在ではサルコイドージス研究協議会に引継がれ活発な検討が全国的におこなわれてい。
 サルコイドージス(類肉腫症)は青年層に多く,臨床的には肺門リンパ節腫脹,肺病変,皮膚症状,眼症状,指趾骨の多発性嚢腫様骨炎,など多彩な所見を認め,これらの病変は組織学的にasteroid body, Schauman bodyを伴なう類上皮細胞肉芽腫である。検査成績としては血清γ-グロブリンの増加,血清カルシウム濃度の増加あるいはCa負荷試験の異常,アルカリ性フォスファターゼの増加傾向,単球増多,好酸球増多などが認められ,さらに免疫異常の存在が注目されている。これらの臨床所見および検査所見のどれ1つとしてサルコイドージスに特有なものがなく,多くの所見を綜合して診断している。

原著

Chromoblastomycosisの5例

著者: 原田誠一 ,   文入正敏 ,   本田光芳 ,   植田時司 ,   村上通敏 ,   服部怜美 ,   三好朋子

ページ範囲:P.339 - P.344

はじめに
 昭和36年より昭和43年までの間に当科において経験した黒色分芽菌症の5例について報告するとともに,いささか考察を加えたいと思う。

多彩な悪性腫瘍を伴つた色素性乾皮症の兄妹例

著者: 浜田稔夫 ,   斎藤忠夫

ページ範囲:P.345 - P.351

緒言
 色素性乾皮症は単純劣性遺伝子によると考えられる遺伝性疾患で,先天性に光線過敏症を有し,幼児期より慢性日光性皮膚炎の像を繰返すとともに雀卵斑ないし黒子様の点状色素斑が出現し,毛細血管拡張,皮膚萎縮とともに,遂には悪性腫瘍の発生によつて,早期に死の転帰をとるもので,予後の不良なことより,種々の治療法が行なわれているものの,完全には治癒せしめ得ず,日光照射を避けるとともに発生した腫瘍は積極的に早期に切除するのが原則とされている。
 発生する悪性腫瘍の組織像は多彩であるが,基底細胞癌が最も普通にみられ,また多数,出現する。有棘細胞癌もまた普通にみられる。悪性黒色腫もそれ程,稀ではなく,多発する1)。しかし間葉性の悪性腫瘍は稀である。これらの腫瘍が同時にみられる場合もしばしばで2)3),一般の悪性腫瘍とかなり趣きを異にしている。

Generalized Granuloma Annulare

著者: 佐藤吉昭

ページ範囲:P.353 - P.359

はじめに
 本邦における環状肉芽腫の報告は,昭和6年の第1例1)以来123例に達したが2),最近稀有とされる本症の汎発型が相ついで報告され,とくに昭和41年以降わずか3年余のうちに9例3〜10)を数え,10例となつた。そこで,われわれの教室における症例を記載するとともに,これら症例につき2,3の考察を加えたい。

高グロブリン血症性紫斑病—症例報告

著者: 島野晧三

ページ範囲:P.361 - P.367

はじめに
 高グロブリン血症性紫斑病1)(purpura hyper-globulinemica,Waldenström)の記録はわが国に20例2)〜21)みられるが,皮膚科からの報告はまだない。われわれの観察した本症の1例を述べ,若干の考察を加える。なお,本例は金沢大学皮膚科で扱われた患者であるが,血清蛋白の諸検査の一部については徳島大学第一内科(西条一夫博士)の援助を受けた。

先天性魚鱗癬様紅皮症(Epidermolytic Hyperkeratosis)の発症病理について—その電顕的検索

著者: 徳田安章 ,   大久保正己

ページ範囲:P.369 - P.377

はじめに
 先天性魚鱗癬様紅皮症は1902年のBrocqの報告以来報告例は決して稀ではない。その後魚鱗癬を主徴とする疾患の種類は漸次累積されて現在ではその主要なものが十種を越えている状態である。さらに最近の遺伝学の進歩はGene分析に肉迫し,分子生物学的な遺伝子の面とその伝達形式から疾患の分類配列の再編成をうながしている。近刊のRook, Wilkinson and Eblingの教本1),Jaddasohnの叢書のSchneyder und Klunkerの綜説2),Butterworth and Streanの著書3)などがそれである。しかし各々の本症に対する取り扱い方はまちまちであり,なお多くの疑念を抱かしめるのが現状であろう。
 一方,病理発生についてはVan Scott一派4)5)6)は本症をEpidermolytic Hyperkeratosisとし,原因的にはLamellar Ichthyosisと同様と述べ,本症をして現象論的でなく病因論的に改めて見直さんとしている。

ヂューリング疱疹状皮膚炎を思わせた落葉状天疱瘡

著者: 大矢正己

ページ範囲:P.379 - P.383

はじめに
 ヂューリング疱疹状皮膚炎と天疱瘡はきわめて近似の疾患で,時にいづれか診断に迷う場合がある。私は初め典型的な疱疹状皮膚炎と考えられたが,組織的には表皮内水疱であり,後に落葉状となつて,重篤な脳症状を伴つた1例を経験したので報告する。

薬剤

2,3の瘙痒性皮膚疾患に対するHS−592錠の使用経験

著者: 佐藤健 ,   大河原章

ページ範囲:P.389 - P.392

はじめに
 抗ヒスタミン剤は1930年代にはじめて記載されて以来現在までに多くのものが臨床的に応用されている。近年その進歩は著しく,強力な抗ヒスタミン作用を有し,しかも副作用の比較的少ない薬剤が数多く開発されている。しかし現存する抗ヒスタミン剤は多かれ少なかれその治療量で嗜眠作用,中枢神経抑圧作用などの好ましくない作用を示すものが多い。今回我々は抗ヒスタミン剤でありながら動物実験上その副作用が極めて少ないHS-592錠を2,3の掻痒性皮膚疾患に用いる機会を得たので報告する。

皮膚科学の流れ 人と業績・4

Robert Willan

著者: 高橋吉定

ページ範囲:P.396 - P.398

(前号から続く)
 Willanが専属の医師に任命された公立診療所は,施療院といつてよい性格を多分に具えた医院であつたが,ここがはからずも近代皮膚科学の発祥地になろうとは,誰も予測しえなかつたことである。彼は約30年間,殆んどその終生をこの診療所に捧げたが,群つて診療を乞うた甚だ多数の患者に鋭い目を向けているうち,その天賦の科学的才能は,遺憾なく皮膚病の上に発揮され,科学的皮膚科学は彼によつて誕生することになつたのである。
 Willanの天才については暫くおくとして,それをのばす直接の原因となつた厖大な数と伝えられる皮膚病患者は,どうしてその診療所に集つたのであろうか。彼が劃期的研究業績をあげるのに幸いしたのは,彼が医業に携わつた診療所が,18世紀の後半においてロンドンにおけるスラム街に最初の医療施設として設立されたことであつた。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.399 - P.401

DER HAUTARZT20 : 7, Juli 1969
Neuere immunologische Entwicklungen in derDermatologie : W. P. Herrmann 293
Morbus Kyrle : J. Tappeiner, K. Wolff und E. Schreiner 296

〈原著論文抄録〉

Chromoblastomycosisの5例,他

著者: 原田誠一 ,   文入正敏 ,   本田光芳 ,   植田時司 ,   村上通敏 ,   服部怜美 ,   三好朋子

ページ範囲:P.403 - P.403

 昭和36年より43年の7カ年に当教室において経験した黒色分芽菌症5例について報告するとともに,その臨床像,組織像,鏡検所見などについて考察を加えた。
 1.原因菌はすべてHormodendrum pedrosoiであつた。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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