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原著
多彩な悪性腫瘍を伴つた色素性乾皮症の兄妹例
著者: 浜田稔夫1 斎藤忠夫1
所属機関: 1大阪市立大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.345 - P.351
文献購入ページに移動緒言
色素性乾皮症は単純劣性遺伝子によると考えられる遺伝性疾患で,先天性に光線過敏症を有し,幼児期より慢性日光性皮膚炎の像を繰返すとともに雀卵斑ないし黒子様の点状色素斑が出現し,毛細血管拡張,皮膚萎縮とともに,遂には悪性腫瘍の発生によつて,早期に死の転帰をとるもので,予後の不良なことより,種々の治療法が行なわれているものの,完全には治癒せしめ得ず,日光照射を避けるとともに発生した腫瘍は積極的に早期に切除するのが原則とされている。
発生する悪性腫瘍の組織像は多彩であるが,基底細胞癌が最も普通にみられ,また多数,出現する。有棘細胞癌もまた普通にみられる。悪性黒色腫もそれ程,稀ではなく,多発する1)。しかし間葉性の悪性腫瘍は稀である。これらの腫瘍が同時にみられる場合もしばしばで2)3),一般の悪性腫瘍とかなり趣きを異にしている。
色素性乾皮症は単純劣性遺伝子によると考えられる遺伝性疾患で,先天性に光線過敏症を有し,幼児期より慢性日光性皮膚炎の像を繰返すとともに雀卵斑ないし黒子様の点状色素斑が出現し,毛細血管拡張,皮膚萎縮とともに,遂には悪性腫瘍の発生によつて,早期に死の転帰をとるもので,予後の不良なことより,種々の治療法が行なわれているものの,完全には治癒せしめ得ず,日光照射を避けるとともに発生した腫瘍は積極的に早期に切除するのが原則とされている。
発生する悪性腫瘍の組織像は多彩であるが,基底細胞癌が最も普通にみられ,また多数,出現する。有棘細胞癌もまた普通にみられる。悪性黒色腫もそれ程,稀ではなく,多発する1)。しかし間葉性の悪性腫瘍は稀である。これらの腫瘍が同時にみられる場合もしばしばで2)3),一般の悪性腫瘍とかなり趣きを異にしている。
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