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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科24巻6号

1970年06月発行

雑誌目次

図譜・316

アミロイド苔癬

著者: 原田栄子 ,   小宮勉

ページ範囲:P.528 - P.529

患者 58歳男 既往歴 約10年前より癲癇様発作がある。
家族歴 特記すべきことなし。

図譜・317

M.gypseumによる上口唇部白癬

著者: 中嶋弘

ページ範囲:P.530 - P.531

患者 2歳,男児,熱海市在住 初診 昭和43年9月26日
家族歴並びに既往歴 特記すべきものなし。

綜説

眼科からみたBehçet病

著者: 浦山晃 ,   今井克彦

ページ範囲:P.535 - P.540

はじめに
 眼科からみたBehçet病という折角の題名をいただいたのであるが,Behçet病(以下B病とする)に関する筆者のかねての持論は,B病の本態はいわゆるTriasと呼ばれる皮膚粘膜および眼部の各症状に限られる性質のものでなく,もつと蔵するところの深い一大全身病であるから,症候学的な面にしても,広くあらゆる領域から究明してゆかねばならない,という立場で検索を進めてきた。したがつて眼科だけのせまい領域からB病を覗いてみるという態度はむしろ逆行に近いもので,解決のために資することが少ないと考えられる。しかし,本稿は.皮膚科領域の方々に眼症状に関する理解をさらに高めていただく主旨のもとに,現段階における知見の解説を中心に,1,2の私見をも交えて述べてみたいと思う。

原著

Histiocytosis Xの3型(Letterer-Siwe型,Hand-Schüller-Christian型,好酸球肉芽腫型)におけるLangerhans細胞顆粒について—電子顕微鏡的観察

著者: 伊藤光政

ページ範囲:P.547 - P.561

はじめに
 表皮には,その主な構成要素である外胚葉由来のMalpighi系細胞(keratinocyte)の他に,基底層に神経櫛由来とされるmelanin色素産生細胞であるmelanocyte,有棘層にはLanger—hans細胞(以下LCと略す)があることが知られているが,このLCは1868年のLangerhansによる最初の記載1)以来,その由来機能等その本態に関して,多数の研究にかかわらず定説がなかつた2)〜4)
 従来,電顕的にLCに特徴的なものとみなされていた特異なorganella (Langerhans細胞顆粒またはBirbeckの顆粒;LCGと略す)が,表皮とは一見なんら関係のないhistiocytosis X (以下HXと略す)の好酸球肉芽腫型(以下EGと略す)の病巣部細胞内に報告される(1965)5)〜7)に及んで,LCを真皮から表皮内に遊走した組織球性のものとし組織球類似の機能を営んでいるという説8)が有力となつてきている。著者はさきにHXのLetterer-Siwe型(以下LSと略す)の皮膚病巣部におけるLCGの存在を報告9)し,その結論で,HX3型のうち,当時未だ報告のなかつたHand-Schüller-Christian型(以下HSCと略す)にもLCGの存在を予測したが,ごく最近,Gianottiら10)がHSC病巣にもLCGの存在を報告し,著者の推察は実証された。著者もこれとは別に,LS型の皮膚,EG型の骨,HSC型の骨および皮膚病巣部にLCGの存在を確認したので,HXの3型すべてにおける所見がそろつたことになつたため,まとめて報告し,あわせて電顕的連続切片法,試料傾斜法を用いてLCGの3次元的構造の解析を行なつた。また,LCの本態に関する既存の諸文献を渉猟して,現在までの知見の概観を試みた。

良性若年性黒色腫の1例

著者: 石川謹也

ページ範囲:P.563 - P.568

はじめに
 1948年Spitz1)はMelanomas of Childhoodなる題名の下に論文を発表し,その中で小児期の悪性黒色腫は成人のと異なり良性に経過する事実をとりあげ,その臨床的ならびに組織学的特徴について記載し,成人の悪性黒色腫と区別する意味でjuvenile melanomaなる名称を与えた。これはそれまで混沌としていた小児期の悪性黒色腫の診断基準に大きな解明のメスを入れた真に画期的業績である。その後,McWhorterら2)を初めとして世界各国の学者の注目するところとなりその報告が続出したが,最初Spitzが記載したごとき小児期の悪性黒色腫としての臨床的ならびに組織学的特徴をそなえた本症と同じ形のものは成人にも発生することが認められてきて,今日ではSpitzの本症に対する概念とかなり異なつた新たな一病型として考えられている。
 本症は欧米ではきわめてその症例が多いが,本邦では大高ら3)の報告を初めとしてなお,37例かぞえるにすぎない3)〜26),55)。最近,著者も成人に発生した本症を経験したので報告する。

Naevus lipomatodes cutaneus superficialis(Hoffmann und Zurhelle)について—自験例を中心として

著者: 平野京子 ,   升水達郎 ,   森嶋隆文

ページ範囲:P.569 - P.576

はじめに
 Naevus lipomatodes cutaneus superficialis (Hoffmann-Zurhelle)(以下N.1.c.s.と略す)という病名は1921年にHoffmann u.Zurhelle1)により,臨床像と特異な組織像が紹介されて以来一独立疾患として確立された。Hoffmann u.Zurhelleの記載によれば,それより以前にこのような病形の報告および近似の観察例は,見出せなかつた,と記している。ただしHyde(1885),Manassei(1877),Scarenzio(1877),Little (1910),Fox(1912)らがNaevus lipomatodesという広い意味の名称をもつて発表した観察があるが,組織学的検索はなされていないという。
 その後,欧米においてRobinson2),Nikolow-ski3),Kúta5),Thöne4),Holtz6),Hering7)らによつてそれぞれ本病形が観察せられてその組織像の特異性が強調され,成因や誘因等に関する見解の表明があり,最近に至るまでも観察例が相次いで報告された。本邦においては,小嶋,池田9)(昭和33年)によって,はじめて,症例報告と共に詳細な外国文献の紹介がなされ,最近も観察例が散見する。わたくしどもも本症の3例を観察する機会をえたのでこれを記載し,併せて本疾患の展望を試みたい。

趾の腱鞘に発生したPigmented Villonodular Synovitisの1例

著者: 秋葉弘 ,   斎藤信也 ,   三浦隆

ページ範囲:P.577 - P.583

はじめに
 腱鞘由来のpigmented villonodular synovitis(以下P. V. S. と略す)は主に指に単発する結節性慢性良性疾患であり,特異な病理組織像を呈する。1852年Chassaignac1)により腱鞘の結節性病変として最初に発表されて以来,海外においてはxanthoma2),giant cell tumor3)4)あるいはP. V. S. 5)6)などの名称にてすでに数百例の報告がなされ,決して稀な疾患ではない。しかしながら本邦における本症の報告は比較的少なく木下ら7)によれば1965年までに21例をかぞえるにすぎないという。また本症は一般に整形外科的疾患であつて,皮膚科的対象となることは少なく,過去の報告の大部分は整形外科および外科領域においてなされている。著者らは臨床的に皮膚腫瘍と考えられ,しかも発生頻度が少ない趾に生じた本症の1例を経験したので,以下に報告しあわせて文献的考察を加えたい。

印象記

28 th Annual Meeting of American Academy of Dermatologyに参加して

著者: 浜田稔夫

ページ範囲:P.585 - P.587

 第28回Annual Meeting of American Academy of Dermato-logyが1969年12月6日より6日間,Walter C.Lobitz, Jr.(Oregon大)を会頭として米国Florida州Miami Beach(Bal Harbour)のAmeri-cana Hotelにて開催され,参加する機会を得たので,その感想を少し述べてみたい。
 American Academy of Derma-tologyの学会は毎年12月始めに,ChicagoとMiamiで交互,ないしMiamiが3年に一度の割合で開催されている。これは他の皮膚科学会,例えばAnnual Meeting of the Society for Investigative Der-matologyなどのように独自の研究論文が発表されるのと少し異り,特定の主題が設定され,それをその分野の専門家によつて,postgraduateeducationとして行なわれるいわば教育を主とした学会ということが出来よう。しかもその内容は新しい高度の知見が組入れられてある。特に最初の2日間に行なわれるspecialcoursesでは,9つの主題(1.His-topathology,2.Radiation Physics and Therapy,3.Fundamentals of Cutaneous Allergy and Immu-nology,4.Structure and Function of the Skin,5.Cutaneous Sur-gery,6.Advances in Biological Sciences in Relation to Dermato-logy,7.Microbiology,8.Syphi-lis,9.Photobiology)が毎年ほとんど同じように設定され,出席者は会費を払つてどれかを選んで聞き,翌年はまた違つた主題を聞くという風にして新しい知識,技術などを吸収するようになつている。

皮膚科学の流れ 人と業績・6

Robert Willan

著者: 高橋吉定

ページ範囲:P.590 - P.594

(前号から続く)
5.丘疹(papula)
 甚だ小さい先細りの(acuminate)表皮隆起で,炎症性基部を有し,液体を含まず,また化膿の傾向を示さない。丘疹の継続期間は不定であるが,大部分は粃糠様鱗屑をもつて終る。

外国文献

外国文献—専門誌から

ページ範囲:P.602 - P.603

THE JOURNAL OF INVESTIGATIVE DERMATOLOGY 53 : 6, December, 1969
The Use of Human Skin for the Detection of Antiepithelial Autoantibodies: S. I. Katz, K. M. Halprin and T. M. Inderbitzin 390
Factors Affecting the Induction of Porphyria in the Laboratory Rat. Biochemical and Photobiological Studies Using Diethyl 1,4-Dihydro-2,4,6-Trimethylpyridine-3,5-Dicarboxylate (DDC) as a Porphyrogenic Agent : I. A. Magnus, D. A. Roe and L. K. Bhutani 400

〈原著論文抄録〉

Histiocytosis Xの3型(Letterer-Siwe型,Hand-Schüller-Christian型,好酸球肉芽腫型)におけるLangerhans細胞顆粒について(電子顕微鏡的観察),他

著者: 伊藤光政

ページ範囲:P.605 - P.605

 著者は,Letterer-Siwe病の皮膚病巣部におけるLangerhans細胞顆粒の存在を本誌23巻153〜161頁(1969)に報告したが,その後さらに,Letterer-Siwe病,Hand-Schuller Christian病および好酸球肉芽腫の各1例について,すなわち,histiocytosis Xとして総括されている3疾患のすべてに,同様の構造物をみたので,まとめて報告した。また,電顕的連続切片法により,Langerhans細胞顆粒の立体構造,特に細胞膜付着部における状態の復元を試みた。つぎに試料傾斜法により,Langerhans細胞顆粒の中心軸の微細構造を解析した。また,Langerhans細胞顆粒の本態に関する諸説を文献的に考察した。以上から,①Letterer-Siwe病,Hand-Schuller Christian病,好酸球肉芽腫をhistiocytosis Xという名のもとに,1つの疾患単位とみなすのは妥当である。②Langerhans細胞顆粒は,円盤状または茶碗状の立体構造をもち,細胞膜の彎入によつて形成される可能性が強い。③Langerhans細胞顆粒は,外側を2枚の単位膜に囲まれ,その内部に碁盤の目状に規則正しく配列した顆粒状物質をいれている。④間葉系由来の組織球と共通の顆粒をもつているので,表皮Langerhans細胞は,真皮から表皮内に遊走した組織球性の細胞である可能性が強い,と結論した。

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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