文献詳細
原著
Naevus lipomatodes cutaneus superficialis(Hoffmann und Zurhelle)について—自験例を中心として
著者: 平野京子1 升水達郎1 森嶋隆文1
所属機関: 1日本大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.569 - P.576
文献概要
Naevus lipomatodes cutaneus superficialis (Hoffmann-Zurhelle)(以下N.1.c.s.と略す)という病名は1921年にHoffmann u.Zurhelle1)により,臨床像と特異な組織像が紹介されて以来一独立疾患として確立された。Hoffmann u.Zurhelleの記載によれば,それより以前にこのような病形の報告および近似の観察例は,見出せなかつた,と記している。ただしHyde(1885),Manassei(1877),Scarenzio(1877),Little (1910),Fox(1912)らがNaevus lipomatodesという広い意味の名称をもつて発表した観察があるが,組織学的検索はなされていないという。
その後,欧米においてRobinson2),Nikolow-ski3),Kúta5),Thöne4),Holtz6),Hering7)らによつてそれぞれ本病形が観察せられてその組織像の特異性が強調され,成因や誘因等に関する見解の表明があり,最近に至るまでも観察例が相次いで報告された。本邦においては,小嶋,池田9)(昭和33年)によって,はじめて,症例報告と共に詳細な外国文献の紹介がなされ,最近も観察例が散見する。わたくしどもも本症の3例を観察する機会をえたのでこれを記載し,併せて本疾患の展望を試みたい。
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