文献詳細
原著
趾の腱鞘に発生したPigmented Villonodular Synovitisの1例
著者: 秋葉弘1 斎藤信也1 三浦隆1
所属機関: 1東北大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.577 - P.583
文献概要
腱鞘由来のpigmented villonodular synovitis(以下P. V. S. と略す)は主に指に単発する結節性慢性良性疾患であり,特異な病理組織像を呈する。1852年Chassaignac1)により腱鞘の結節性病変として最初に発表されて以来,海外においてはxanthoma2),giant cell tumor3)4)あるいはP. V. S. 5)6)などの名称にてすでに数百例の報告がなされ,決して稀な疾患ではない。しかしながら本邦における本症の報告は比較的少なく木下ら7)によれば1965年までに21例をかぞえるにすぎないという。また本症は一般に整形外科的疾患であつて,皮膚科的対象となることは少なく,過去の報告の大部分は整形外科および外科領域においてなされている。著者らは臨床的に皮膚腫瘍と考えられ,しかも発生頻度が少ない趾に生じた本症の1例を経験したので,以下に報告しあわせて文献的考察を加えたい。
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