文献詳細
文献概要
原著
Wegener肉芽腫症の1例—本症の皮膚型は存在するか?
著者: 木村恭一1 三浦国輝1 小山高司2
所属機関: 1岡山大学医学部皮膚科教室 2岡山大学医学部耳鼻咽喉科教室
ページ範囲:P.767 - P.774
文献購入ページに移動古典的結節性動脈周囲炎(以下P.Nと略)をその典型とし,皮膚をふくめて全身諸臓器に壊死性血管炎という1つの特徴ある病理組織学的変化をその共通基盤とする一連の疾患概念がある中でも,Wegener肉芽腫(以下W.Gと略)は特に気道を選択的に侵す点のみを取つても,P.Nから独立した理由がうなずけるほどに,きわめて特異な位置を占める疾患といえる。侵襲部位が気道および腎を主体とする関係上耳鼻科領域,内科領域からの報告が多いのは当然としても,本症の約半数には皮疹を伴うというReedら7)の指摘にもみるごとく,皮膚科領域にも深い関連のある境界領域疾患の1つである。わけても病変がまれならず皮膚に初発する事実は,すでに教室でも植木4)が報告したところであるが,本症の早期診断に皮膚科医の十分な知識が必要であることを示している。そして早晩起こるであろう腎変化(致命的結果につながる)をきたす以前にできうる限り適切な治療を早期に開始することは,予後不良な本症治療に当たつて重要なポイントとなるのではなかろうか。最近われわれは顔,四肢の多発性潰瘍を主訴に来院し,当初壊疽性膿皮症を疑われたが,鼻腔に特異な病変を併発してきたことからW.Gと考えられる1例を経験した。その皮膚症状,発症経過などに若干の興味ある知見を得たので以下に報告する。
掲載誌情報